7 鶴亀算
今回は、お話の都合上、天さん視点でお送りします。
問題
80円切手と50円切手が合計で10枚あります。合計額が710円の時、それぞれの枚数は何枚でしょう。
お。こういうの、梓好きそうだな。
新聞の折り込みに書いてあった問題を見て、梓に見せてやろうと思った。
梓は、文系のくせに、結構数字に強い。
翼の高校受験の時は、数学を教えてやっていたくらいだ。
「中学生の数学なら、まだいけるね♪」なんて言ってたけど、実際、翼が特に苦手だった図形なんかは、梓の独壇場だった。
「梓、こんなの解けるか?」
「ん? なに?」
梓は、じっと問題を見ると、おもむろに
「50円が3枚で、80円が7枚ね」
と答えた。
おいおい、10秒くらいしか経ってないぞ。
「ん~、こういうの、翼だと連立方程式で解くんだろうけどね。鶴亀算ってのを使うと、一発なのよ」
「鶴亀算って、何だ?」
「えとね、全部80円切手だとすると800円になるから、710円だと90円足りないよね。
80円と50円の差額は30円だから、50円が1枚加わるごとに30円減るでしょ。
で、90÷30で3。
50円が3枚で、あとの7枚が80円、と。
こういう考え方が鶴亀算。2年くらい前に、どっかで読んだのよね」
「何が足りないって?」
「だから、710円だと90円足りないでしょ」
「何に?」
「800円に」
「余ってるだろ」
「あ~、そっか。そういうこと。
じゃあ、全部50円だったら500円。
710円だと210円足りない。
こう言えばいいのね?」
「ああ、それなら」
「結局、言ってることは同じなんだけどね。
全部片方だった場合の理論値と実際の数字を比較して、差額で割るの。
江戸時代とかの計算のやり方の1つらしいわ」
「解けるだろうとは思ってたけど、思ってた以上に早かったな」
「連立方程式だとね、x+y=10、50x+80y=710で考えるわけ。
y=10-xを代入して、50x+80(10-x)=710
50x+800-80x=710
800-710=30x
30x=90
x=3、と。
気が利けば、小学生でも解けるよ」
「なんかイラッときた」
「しょうがないじゃない、あたしはこういう勘の良さで生きてるんだから」
「その勘と記憶力を好きなこと以外にも使えないか?」
「だから、勘の良さは、仕事で使ってるって。
記憶力は、ホームズも言ってるじゃない。必要なこと以外は覚えないって」
「梓の場合、偏りすぎだ」
解説
ホームズも言ってるじゃない
シャーロック・ホームズが、出会ったばかりのワトソンに「必要なこと以外は忘れることにしている」というようなことを言って呆れさせるシーンがある。もっとも、実際には知らないふりしているだけらしい。