60 パソコン入院
8月9日の日曜日、検索除外にしている短編にレビューが入った。
あたしは、趣味でネット小説を書いているんだけど、そのサイトでは、ユーザーの投稿小説一覧に、最新の10作品しか表示されない。もっと深く見ると、10作品ずつページ分けで表示されるけど。
なので、あたしは、読んでほしい作品が最初の10作に並ぶよう、いくつかの作品を検索除外にしている。それらの作品は、「異世界もの」とか「現実世界の恋愛もの」とかシリーズにして、シリーズ一覧からなら読めるようにしている。シリーズから読んでくれる人は、ほとんどいないけど。
ともかく、そんな作品にレビューを貰ってしまった。あたしの作品ってレビュー貰うこと少ないから、ほんと嬉しい。
せっかくだから、検索除外から戻して、トップページに表示させることにした。
ちょうど、この日、4月からずっと作業中だったウルトラマンのUSBメモリ2号(目とカラータイマー青が光るやつ)が完成して、写真や動画を撮ったので、デジカメに撮り溜めてた写真なんかをパソコンに取り込んで。
さぁ、活動報告にレビュー貰ったの披露するぞ、とリンクを貼りまくっている時、「ヒューン…」という音と共に、パソコンが止まった。
「…え? あれ? ちょっと、何よそれ、せっかくリンク貼りまくったのに」
あたしは、何かの拍子にスリープになってしまったんだと思って起こそうとした。したんだけど、起きない。電源ボタンを押してすら、うんともすんとも言わない。
これは、電源ケーブル抜けてたかな?
ノートパソコンの場合、電源ケーブルがアダプター部分で抜けることがあるし、本体からジャックが抜けてることもある。そうすると、勝手にバッテリー駆動になって、電池切れなんてこともあるから、それかなと思ったんだけど。画面暗くなってなかったよなぁ。
とりあえず確認したけど、どこも抜けてなかった。
こうなると怪しいのは、電源ケーブルの切断と、マザーボードの物理的故障だ。どっちにしても、交換すれば復活するはずね。
レビューの披露にリンク貼れなかったのは残念だけど、スマホでなんとか活動報告は書き込めた。
天さんは、あたしが騒いでるの見て、
「1年も経ってないのに壊れるとか、とんだ不良品だよな」
と怒ってた。
そうなのよね。このパソコンは、去年の12月に買ったばかり。
この1月でWINDOWS7の保障が終わるからってことで買い替えたのだ。ちなみに、古い方は、翼にあげた。iTunesのデータ整理やスマホの写真の管理なら、ネット使わなくてもなんとかなるから。それまで翼が使ってたXPマシンは、これでサヨナラになった。
で、翌日、あたしは、パソコンを買ったジョー○ンに行った。
「今日まで休みでよかったなあ」と言う天さんに見送られて。
行ったんだけど、修理の窓口では、非情な対応が待っていた。
「修理は、全てメーカー送りとなります。
お盆時期ですので、2〜3週間は掛かると思います」
うん、まぁしょうがないね。お盆だし。
「SSDの初期化の同意書にサインお願いします」
なんですと⁉︎
「初期化、必要なんですか⁉︎」
「あ〜、まあ、必要になる場合もあるので、念のためいただいておくことになってるんです」
なるほど。焦ったけど、要するに、どこが悪いかわからないし、予め同意を取っておくってことか。
あー、びっくりした。
電源ボタン押しても全く反応しないし、電源ケーブル繋いでもパワーランプすら点かないから、十中八九、電源関係の物理的な故障だよね。
仕方ない、サインだけはしようか。
「サインはしますけど、初期化するようなら、事前に一報もらえますか。
多分、物理的に電源がイカレてると思うんで、可能ならデータのコピーとかして逃したいんですけど」
「SSDだと、難しいらしいですよ。
一応、連絡は入れますが」
なんて感じで、パソコンは入院してしまった。
そして、8月21日。ジョー○ンから電話が入った。
「メインボードの故障で、ボード換えたら直ったそうなんですが…」
よかった、やっぱり!
「起動するのに、48桁の暗証番号がいるそうなんです」
48桁⁉︎ なにそれ?
「あの、起動のテスト用にパスワードがいるとかいう話じゃないんですか?」
「メーカーが言うには、初期設定時にユーザーが決めた48桁の暗証番号がいるということなのですが…」
そんな桁数、考えた覚えはないぞ!
「あの、PINとかいう4桁の数字なら決めましたけど、48桁なんて考えてません。
本当にユーザーが決める数字ですか?
どこかに書いてあるのをただ打ったってことならあるかもしれませんけど、そしたらどこかに載っているはずですよね。
その辺り、メーカーにきちんと確認してください」
確認してもらったところ、マイクロソフトの回復キーというもので、マイクロソフトのサイトにログインして取得するとのこと。なぁんだ、やっぱり自分で考えるんじゃないんじゃない。
取得したら連絡することにして、一旦電話を切る。
んで、マイクロソフトのサイトにログインして、回復キーの発行をしてから、表示を見て目を疑った。
“本人確認のため、登録されたメアドにコードキーを送りましたので、入力してください”…おいおい、そのメアドが入ってるパソコンがイカレたんですけど。「こんな時、飛影がいれば、邪眼で飛影を探してもらうのに」という牡丹のセリフを思い出した。
説明を読んでいくと、連絡先を変更する場合、なんてのがあったから、連絡先をスマホにしてみた。
で、再度ログインすると、アカウントがロックされてる!
何を言ってるのかわからねえと思うが、俺にもさっぱりわからねえ。
1か月もロックがかかるって、どういうこと⁉︎
慌ててマイクロソフトの相談センターに電話してみた。
「連絡先の変更手続きに30日掛かるので、それまでお待ちください」
待てるか、ボケェ!
もう一度ログイン画面を見る。
ロックされているという表示の下の方に連絡先変更の取消という項目があった。
それを押すと、またパソコンのメアドにコードキーを送ったという表示。
えぇい、わかったわよ! パソコンのメールを見りゃいいんでしょ!
翼にあげた旧パソコンは、念のためにネットワークを使えない設定にしてあるけど、あたしのユーザーアカウントは残してあるから、メールを使えるように戻すことは可能だ。
ただ、WINDOWS7だから、万が一のことがあると、翼のデータがダメになる恐れがある。
どうしよう。
ほかに方法は……そうだ! スマホの方でメアドの設定をすれば!
メアドの設定情報を見つつ、スマホでパソコンのメールが見られるよう設定してみたら、なんとかやれた。あたしってば、天才!
うわ…メールが170件も溜まってるよ。
えっと、最新のメールのコードキーをメモって、と。
なんとか回復キーを入手できたので、ジョー○ンに伝えた。
これで、無事に帰ってきてくれるといいんだけど。
それから1週間。何の音沙汰もなかった。
じりじりしながら待っていると、不安が募る。
「やっぱり初期化しないとダメです」とか言ってこないんだから、大丈夫だと思うんだけど、放置されると不安になっちゃう。
そして8月29日、天さんと買い物に出てる最中に、ジョー○ンからメッセージが入った。無事戻ってきたらしい。修理の依頼票がないと受け取れないそうなので、後で出直しだ。もう少し早くメッセージが来てれば、一度ですんだのに。
メインボードの故障とは聞いていたけど、具体的にどこがどう悪かったのか、何が原因かはわからないらしい。ていうか、多分、そんなことは考えず、単に悪いと思しきところを交換したんだろう。
一緒にUSBポートのボードも交換されていたのが気になるけど、やはり理由はわからないそうだ。販売店の店員さんじゃ、わからないのは仕方ないね。
帰宅して、電源を入れてみる。
見慣れた起動画面にホッとする。WINDOWSではなくマイクロソフトのパスワードを要求されたり、PINの変更を求められたりしたものの、データは完全に無事だった。
さっさとバックアップを取ろう。いやぁ、連載中の小説、全部アップロードした後の故障でよかったよ。
あーっ! バックアップ用に、1TBくらいの外付けHDDとか買おうと思ってたのに、忘れてた!
ま、いいか、次回で。
こうして、20日がかりの入院は終わりを告げた。しかし、USBポートの交換が気になる。まさか、USBメモリ改造の弊害だったりしないよね?
そして、パソコン不在の間、スマホとブルートゥース・キーボードが大活躍だった。
キーボード、買っといてよかった。ありがとう、ウルトラマン!
こんな時、飛影がいてくれたら…
週刊少年ジャンプ連載の漫画「幽遊白書」のキャラ:飛影の額にある邪眼は、探し物を見つける力がある。そのため、ほかのキャラを探したいなら飛影がいると便利なのだが、当の飛影を探すのに、飛影がいれば、というナンセンスなセリフで、テンパり具合を表現していた。
何を言ってるかわからねえと思うが…
週刊少年ジャンプ連載の漫画「ジョジョの奇妙な冒険」第3部終盤でのポルナレフのセリフ。
階段を1段上がったはずなのに、1段下がっていたことを承太郎たちに説明した時のもの。
一見ミステリアスだが、実際は、ディオが時間を止めてポルナレフを担いで1段下げていた、というオチになっている。もちろん、本編中に説明はない。




