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54 ウルトラマンが光るのって漢のロマンだよね(ソフビ・ダイナ編 その2)

 第51回の続きです。

 なお、茂木多弥さまからいただいた梓の作業風景のイラストを貼ってみました。

 さて、と。

 方針は決まった。

 電池1の(プラス)を白と青の(プラス)に繋いで、(マイナス)をメインスイッチに繋ぐ。

 メインスイッチから、白の(マイナス)と青のスイッチに繋ぐ。

 青のスイッチから青の(マイナス)に繋ぐ。

 次に、電池2の(プラス)を赤の(プラス)に、(マイナス)を赤の(マイナス)に、それぞれ繋ぐ。

 そして、赤の点滅回路のタクタイルスイッチの端子から、ダイナ本体の外に置くスイッチにコードを伸ばす。

 これで完成ね。


 挿絵(By みてみん)


 スイッチ類は、全部ダイナの背面に集中。位置は肩甲骨辺りでいいよね。

 大きめのソフビとはいえ、小さなボディの中に配線這わせながら背中の穴を通してスイッチにハンダ付けするのって、結構大変。


 しまった。点滅スイッチのコード用の穴、奥まっていすぎてコードを通せないじゃない。

 …仕方ない。腰の方に穴を開け直しね。上の方の穴は、後でレジンかなんかで埋めて、銀色塗ってごまかしときましょ。


 挿絵(By みてみん)


 とりあえず仮固定。この状態でテストしてみないとね。

 メインスイッチON。白と青が点く。

 青スイッチOFF。青が消える。赤点滅スイッチを押す。赤が点く。もう1回押す。赤が早点滅。もう1回。赤が遅点滅。もう1回。赤が消える。

 OK! 回路はこれで完璧ね!

 後は、カラータイマーのカバーを作るのと、下半身の接続部を切って、後で上半身と下半身を外しやすくするのと、かな。

 ソフビは基本的に、一度はめるとそうそう外れないよう、接合部に返しがついてるから、あらかじめ接合部を削って小さくしておかないと、電池交換とか修理の時に困るのだ。

 かといって削りすぎると、固定できなくなるから、その辺の加減が難しい。

 ガイアの時は、相当削ったよね。




 まだLEDが剥き出しのままのダイナの上半身を翼に見せる。


 「ほらほら翼、ここまでできたよ!」


 ある程度できあがったら、見せびらかすのは基本だよね。

 メインスイッチON。


 「今までに作ったのと、どこが違うの?」


 翼は、あたしが今まで改造してきたウルトラマン系のフィギュアを全部見てるから、今更目とカラータイマーが光ったくらいじゃ驚かない。ガイアの時は感心してたのになぁ。慣れってつまんないよね。

 でも。今回は、ひと味違うのだ。

 青スイッチを切ると同時に、赤点滅スイッチを3回押す。


 「わ! これはすごいね、点滅するんだ。

  どうやったの?」


 イマイチ感動薄いけど、一応感心はしてるらしい。うむうむ、よきかなよきかな。


 「ストックしといた点滅回路を組み込んだんだよ。

  3色全部ちゃんと光らせるために、電源が2系統になっちゃったけどね」


 「うん、これはすごいんじゃない」


 「そうでしょそうでしょ。

  後は、カラータイマー作ったりして完成だよ」


 「あ~、うん、まあ、がんばって」


 どうも翼は感動が薄いよねぇ。

 でも、天さんだと、相手にもしてくれないし。




 カラータイマーは、レジンで2つ作ってある。

 デキのいい方を使うつもりだったけど、ふと、2枚重ねにしてもいいんじゃないかって思った。

 ダイナのカラータイマーは、ほかのウルトラマンに比べて光る面積が広いせいか、中にヒダのような不思議な模様が見える。

 多分、光を乱反射させるために何か入れてるんだと思うけど、今回はそこも再現してみたい。

 レジンで作ったカラータイマーのパーツ、気泡が入っちゃった方をソフビに埋め込めるサイズにカットして、表面をヤスリで削る。

 磨りガラス状に表面を荒らすと、上手い具合に光が散って全体的に光ってくれるから、LEDのところだけ妙に明るいってことにならないですむ。

 裏側から光を当ててみると、うん、いい感じ。

 次は、表面に付ける方だね。

 トリプルサウンドから型を取ったから、少しは曲面になってはいるんだけどね。まだ全然足りないから、型から作ったパーツの表面に少しずつレジンを盛って、凸を大きくする。

 あとは、いいサイズにカットして表面に接着するわけだけど、この2枚のレジン板の間に、ラップを入れてみようかなぁって思ってんのよね。

 ヒダっぽい模様になってくれるかはわからないけど、試してみる価値はあるよね。




 あとは下半身。

 背中に穴を開けた時にも思ったけど、このソフビ、材質が柔らかいんだね。ガイアとは明らかに堅さが違うもの。

 カッターだけで、さくさく切れる。

 もしかしたら、ガイアはでっかい分、自重を支えられるように、ってことで堅いのかなぁ。


 挿絵(By みてみん)


 今回は、ガイアより小さい体に、基板やら電池やら、色々突っ込んでるから、切り欠きは大きめにしないと。


 「梓、気持ち悪いの置いとくなって、いつも言ってるだろ!」


 あっちゃあ。また言われた。

 作業中のダイナの下半身をリビングの隅に立てておいたら、天さんにまた怒られた。

 この前、カラータイマー部分を切り抜く作業中も、上半身立てておいたら


 「このバラバラ死体みたいなの、なんとかしろ」


って怒られたんだよねぇ。

 まぁ、床の上に上半身だけ生えてるダイナって絵面はシュールだとは思うから、おとなしく怒られといたんだけど。

 あたしとしては、キカイダーみたいでラブリーと言えなくもないと思うんだけどなぁ。




 むぅ…。これは、ちょっと予想外のピンチだわ。

 配線も終わって、後はソフビのボディの中に基板を詰め込むだけって状態まできたけど、思わぬところで作業が止まっちゃった。

 コードが引っかかって、基板が中に入らないのだ。

 当然のことながら、スイッチ類が背中に集中している以上、コードが背中から何本も…具体的には7本も生えてることになる。

 で、そのうち3本は、基板にくっついてるけど、後の4本は基板とは別に──頭の中に入る白のLEDや、下半身に入れる予定の電池に──繋がってる。

 それで何が困るかっていうと、基板をボディに突っ込もうとすると、コードが基板に絡むのだ。

 う~ん。これってあたしの手順ミスも大きいなぁ。要するに、スイッチにコードをハンダ付けする時に、後々の位置関係を考えなかったもんだから、基板をひねらないとダメな向きでコードが繋がったりしてるんだわ。それも、コードによってひねる向きが違っているという悪夢のような展開。

 意図せず縦横無尽に張り巡らされたコードは、まるで蜘蛛の糸のようで、憐れな基板は蜘蛛の巣に絡め取られた蝶のようになってしまったのよ。うん、あたし、上手いこと言った。

 いや、笑いごっちゃないのよ、

 引っ張りすぎて、ハンダ付けしたコードが取れちゃったんだから。

 今度は、ひねりをちゃんと計算してハンダ付けしないとね。

 あれ? 赤が点かない!? なんで~~~~っ!?




 色々調べてみたら、点かないのはハンダ付けしたコードが外れていたからだった。

 コードの長さには多少の余裕があったはずなのに、いざボディに詰め込んでみると、長さがギリギリな感じになってしまった。たゆませて使うということを計算に入れなかったのが敗因だね。

 ボディの中に基板やらLEDやら突っ込む時に、どうしても引っ張られるからなぁ。

 今後の課題だね。

 そういう意味でも、本番前にダイナで練習しといてよかった。君の献身は忘れないよ。いや、壊したわけじゃないけど。




 さんざん苦労したけど、なんとかダイナは完成した。

 挿絵(By みてみん)

 挿絵(By みてみん)


 右肩甲骨のスライドスイッチで、目と青が点き、左肩甲骨のスライドスイッチで青が消え、左腰のタクタイルスイッチ(押してる時だけONになるボタンスイッチ)で赤が点灯→点滅する。予定どおりのギミックが実現した。

 挿絵(By みてみん)


 細かいことを言うと、目と青を同じ電池に並列で繋いでるので、青が点いてる時は目の光が少し弱いんだけどね。

 今後の課題もたくさん見つかったし、素晴らしい実験体だったよ、君は。

 挿絵(By みてみん)


 挿絵(By みてみん)

 左から、トリプルサウンド、アルティメットルミナス、ハイパーウルトラマン、今回のソフビ



 これで、究極のウルトラマン&ウルトラマンティガにまた一歩近づいた。


 挿絵(By みてみん)

 このティガを改造したい。


 欲を言えば、もう1つくらい習作を作りたいところだけど。今度はいきなり赤点滅できるやつで。

 やっぱり点滅回路、自分で組まなきゃダメかな~。エッチングで基板作るのは一般家庭じゃキツいから、穴だけ開いてるフリー基板かしら。それも結構大変なんだよねぇ。百円ショップで使えそうな点滅ライト見繕おうかなぁ。




 ほらほら天さん、ダイナ完成だよ。もうバラバラ死体じゃないよ。


 「お前、今年のGWは本っ当~にパソコンやってるか原稿書いてるかウルトラマン作ってるかだったなあ」


 天さんが嫌味を言ってくるけど、あたし、ご飯だって作ったし、庭の草むしりだってしたよ。

 空いた時間を全部趣味に突っ込んでただけで。

キカイダーみたいでラブリー

 「人造人間キカイダー」41話「壮絶 ジロー空中分解!」で、キカイダーはアカジライガマに負けてバラバラになってしまった。

 バラバラになったパーツを地下牢に運び込まれたキカイダーは、閉じ込められていたミツ子によって修理を受けることになる。頭部と電源だけ繋がれた状態で、自分の修理方法をミツ子に指示するキカイダーは、ロボットものの面目躍如といった感じである。

 修理の途中で、ハカイダーが光明寺博士を殺そうとやってきて、上半身しか修理の終わっていないキカイダーがハカイダーを止めるシーンがある(床に穴が開いていて、上半身だけ出して撮影)。

 床から上半身が生えているようなダイナを見て、梓はこの上半身だけのキカイダーを思い浮かべていた。




エッチング

 自作で基板を作る方法は、大きく分けて2つある。

 1つは、基板片面全てに銅が貼られた物にエッチングで回路を引く方法。エッチングというのは、銅を残したいところを油性マジックで塗って基板を酸性の液に漬けて銅を溶かす方法。マジックをシンナーで落とすと、そこだけ銅が溶け残って回路になる。

 梓は、中学時代に、学校のクラブでやったことがあるが、酸性の薬液を手に入れるのも、使った後で廃棄するのも、大変だった。

 もう1つの方法は、穴が等間隔に開いているだけの板(銅は貼られていない)に、部品とコードをハンダ付けするやり方。銅の代わりに、裏側でコードを這わせることで電流を流すわけだが、全部コードを繋がなければならないので、これはこれで面倒である。

 そこで梓は、百円ショップで“点滅だけするLEDライト”を探してその点滅基板を流用しようと考えた。

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