266 長岡花火を見てきた
久しぶりに長岡花火を見に行くことになった。
結婚した年に行ったきりだから、かれこれ四半世紀ぶりになる。
その間に、全席有料指定席になったりと、ずいぶん様子が変わった。
去年、翼が大学の研究室の人達と見に行ってすっごくよかったって言ったことから、天さんが「翼が学生のうちに、3人で見に行くか」って言い出して、応募することになったのだ。
長岡花火は、第2次大戦中の長岡空襲の被害者鎮魂のためもので、毎年8月2日3日の日付固定で開催される。
2005年からは、2004年10月発生の中越地震の復興祈願の「フェニックス花火」──平原綾香のジュピターに合わせて打ち上げられる一連の花火──が加わった。
今年は土日に当たる上に、戦後80年、フェニックス20年目と、節目の年になってるから、大盛況が予想される。
けど、見に行く側としても、土日の方が行きやすいから、今年は行こう! ってことになったのだ。
2日3日両方で枡席を申し込んだところ、3日で当選した。
枡席は、2畳分のスペースで2万1000円。
一応6人用とされてる。
狭いのが嫌いな天さんは、1人当たり90cm四方のスペースと聞いて、「それギュウギュウだろう」とか文句を言ってたけど、あたし達は3人だから1人当たり180cm×60cmで、その気になれば寝転がれるだけの余裕がある。
1人当たり7000円と、いす席とかベンチ席に比べると倍の金額になっちゃうけど、本当に2人分のスペースだからなぁ。
ともかく、保冷バッグその他の荷物を置くスペースは十分確保できる。
保冷バッグに入れる飲み物その他を仕入れたりして準備万端な当日、あたし達は裏道を通って国道8号線に流入するルートを選んだ。
8号線は、三条市から見附市までの間が片側1車線になっているため混雑する。
だから、2車線になったところで8号に流入するルートを選んだわけ。
この辺は、昔長岡花火を見に行った時の経験から。
ついでに言うと、あたしの独身時代の経験から、高速道路も混むだろうと踏んで避けた。
通常、新潟市から長岡市まで、国道だと2時間掛かるから、混んで3時間と予測して午後3時に出発した。
おかしい。スイスイ進む。
時間が早いからかなぁ、
あんまり早く着きすぎても、炎天下で待つ羽目になるんだけど、遅いと駐車場の出入りもボトルネックになるからなぁ。
時間に余裕ができたので、こまめにコンビニに寄って休憩する。
適当に時間を潰して、午後6時半に現地入り。
観覧場所ごとに色分けされたチケットを首から下げて、色ごとに分けられた入口から入場する。
観覧席は信濃川を挟んで両岸に2km以上にわたって並んでるから、色分けして動線をはっきりさせてるんだろうね。
特設トイレは、20基くらいずつ3か所とかあるけど、始まる前から長蛇の列だった。
笑っちゃうのが、和式のトイレだけ空いてて、「こちらすぐ入れます」とか係の人が案内してること。
男の人は、結構そっちに入ってる。
枡席は、大手大橋と長生橋の間で、一番いい場所にある。
川原の低いところのせいか、かなり涼しい。
ほとんど汗もかかないくらい。
たぶん、27~28℃くらい?
「川風が涼しいから、去年は5時くらいから席にいたよ」
翼、そういう情報は先に出しなさい。
時間潰す必要なかったんじゃないのよ。
花火のプログラムは、2日と3日で少し違ってて、3日はいきなりナイアガラから。
ナイアガラっていうのは、長さ1kmほどの大手大橋に仕掛けられた花火が滝のように川に降りそそぐという長岡花火の名物のひとつ。
以前は、三尺玉とナイアガラが同時打ち上げだったんだけど、変わったみたい。
ジャズ風にアレンジされたパッヘルベルのカノンに合わせてナイアガラが流れる上を、カラフルな尺玉が彩る。
もう、鳥肌が立つほど綺麗。
場所がいいせいで、アナウンスの声(「○○、打ち上げ開始でございます」)が明瞭に聞こえる。
昔、土手に腰掛けて見てた頃は、あちこちのスピーカーからの音が混ざって全然聞き取れなかったのよねぇ。
一番小さくて10号玉(尺玉)とか、戦闘力がインフレした花火が頭上で炸裂する様は、迫力満点。
10号ったら、新潟市の花火じゃ大きい方なのに、それが雑魚のように出てくるんだもん、さすが長岡ね。
適度に風も吹いていて、煙がうまい具合に流れている。
煙が残ると、花火が綺麗に見えなくなるし、風が強すぎると花火が流れちゃうのだ。
1晩2回の三尺玉、その1発目は、三尺玉3連発とかいう耳を疑う豪華さ。
七色にライトアップされた長生橋の上空に咲く大輪の花火。
開いた花火の向こうに月が見える。
位置取りの偶然から、ここからじゃないと見られない奇跡のコラボ。
2発目は、細かいキラキラが散るタイプで、3発目がまた大輪。
フェニックスは、差し渡し2kmほどの範囲を左から右に次々と打ち上げられるもの。
うねるように流れていく統制の取れた動きは、「一度見た方がいい」と言われるだけのことはある。
鳥の形を象った花火なんかも混じってて、花火師の実力の高さをうかがわせる。
2回目の三尺玉も迫力だったけど、流れてきた煙で月が隠れちゃってたので、1回目の時のようなコラボは見られなかった。
下に写ってるのが長生橋
1回目の時に写真撮っとくべきだったかなぁ。
あたしは、こういうものは生で見るのが好きなので、写真撮るのに気を取られるのが嫌なんだよね。ちょっと後悔。
プログラムはまだ続くけど、あたし達はここらで撤退する。
完全に終わってからだと、帰る人の波もとんでもないし、駐車場を出るのも大変になるから。
暗い中歩いてたら、天さんが何かにつっかえてコケた。
何に引っかかったのかわからなくて凹んでる天さんの手を握ったら、握り返してくれた!
ラッキー!
コケると悪いからということで、実に10年ぶりくらいで手を繋いで歩いた。
空気を読んだのか、翼も何も言わない。
駐車場まで約2km、ずっと手を繋いで歩いた。
こんなに長い距離を手を繋いで歩いたのなんて、新婚旅行以来だよ。
来てよかった♡
混む前にうまいこと車を出して、見附から高速道路に上がって、11時には家に着いた。
やっぱり花火は生で見ないとね。
空気の圧まで感じられて、サイコーだったよ。
後日、テレビ放送された花火を見ると、2日は風がなくて煙が残り、花火がよく見えなかった。
3日でよかった♪




