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260 「GQuuuuuuX」を最後まで見た

 「GQuuuuuuX(ジークアクス)」を最後まで見た。

 一言で言うと、同人誌。

 “僕の考えた幸せなガンダム”の世界。

 いいか悪いかは置いといて、新しいガンダムを作っているという感じじゃなくて、既にあるガンダムの設定を流用して物語を作ったって感じ。

 あたしは、1話で、看板の文字が日本語で、コロニーに電柱がある時点で、原典の世界とは世界観が違うと怒ってた。

 異世界ってことで、その点は飲み込むことにしたんだけど、でも、スタッフが世界観を原典に寄せる気はないって表明だよね、これ。




 さすがにプロが作ってるだけあって、作画のクオリティは高かったし、アクションも綺麗だった。

 「SEED Destiny」みたいにバンクの嵐ってこともなくてちゃんと作画してたように感じる。

 個人的にはメカデザインが好みじゃないからあんまり評価してないけど、高機動するブラウブロ(キケロガ)はすごかった。

 ホワイトベースが緑に塗り直されて「ソドン」って名前変えたのは「白くないからねぇ」で納得できたんだけど、ブラウブロがキケロガになったのはなんか納得できなくて、最終回近くまで名前を覚えられなかった。

 あと、ブラウブロから人型が出てくるのも意味不明だったね。

 それでもキケロガを嫌いにならなかったのは、ブラウブロが高機動戦闘してる姿が意外だったのと、パイロットであるシャリア・ブルのキャラに寄るところが大きい。

 はっきり言って、「GQuuuuuuX」はシャリア・ブルが主人公だったと言っていい作品だったし。

 この辺は、「GQuuuuuuX」の欠点だと思う。

 本来の主人公であるマチュ、ニャアン、シュウジの3人のキャラが薄っぺらすぎて、年寄り組(といってもせいぜい30代くらい)ばかり活きてるのだ。

 シャリア・ブルが何を企んでいるのかがわからないのに、有能さは描写されていた、というのが深さに繋がったんだと思う。

 シャアを探してた目的が排除するためとか、シャロンの薔薇を元の世界に戻すためとか、ちょっとどうかとは思うけど、自分なりの思惑がちゃんとあったキャラって3人くらいしかいなかったから。

 キシリアとギレンを排除して自分は処刑される覚悟だったとか、好感が持てるね。

 最終回ラストで変な仮面を付けてた理由って、まさか正体隠すためとかじゃないよね?




 次に深かったのがキシリアかな。

 ニャアンに対する優しさも“使えるコマ”に対するものだったし、人を道具として割り切ってる感があるのは、政治家・軍人として優秀なんだろうと思わせてくれた。

 特に、ギレン一味を揮発性の毒で一網打尽にしたやり口は、口元のマスクを巧く使ったもので、膝を叩いて喜んじゃった。

 まぁ、反対にギレンは“出た、死んだ”で情けないことこの上なかったけど。




 一方で、メインの3人はというと。

 一番マシだったのは、さすがに(一応)主人公のマチュ。

 流されてるだけのようでいて、3人で地球に行くためにスペースクルーザーを買う契約をしてたり、ちゃんと実務能力と実行力が伴ってるんだよね。

 1話で、パーツに仕込まれてた発信器を逆利用してニャアンをおびき出したりと、頭も回る。

 頑なにパイロットスーツを着ないのは、原典でのシャアのオマージュかな。

 わかんないのはニャアンに対する態度で、スマホ壊されて「弁償!」って追っかけてたのが一緒に地球に行きたいまで親しくなるのがわからない。

 こっちの世界のララァを好きになってたり、感覚的なのはわかるけど、ニャアンに対してはわからない。

 普通、大量虐殺したのがニャアンとわかった上で共闘はできないと思うんだけど、そこを飛び越えてくマチュなりの論理とか意思形成の過程が欲しかった。

 ちなみに、「ガンダム」シリーズ唯一の“主役で1人も殺していないガンダムパイロット”だったり。

 本当に最後まで1人も殺さなかったなぁ。

 あと、パイロットスーツを一切着ない主人公もほかにいないんじゃなかろうか。



 流されてるニャアンの方は、すっごく薄い。

 描写が、というよりは、そもそもの人格(キャラ)が薄っぺらいんだと思う。

 難民として、安アパートに住んで日々の生活に追われ、違法物品の運び屋になっている。

 相方になってる運転手とはそれなりに関係を築けていたようだけど、彼が捕縛されたことでニャアンは住処(アパート)に戻れなくなった。

 自分を排除しないマチュとシュウジを居場所にしようとしていたのにシュウジが消えて。

 代わりに、スカウトしてくれた軍とキシリアに居場所を求めた、と。

 キシリアにはかなり懐いてたのに、マチュを助けるためについ撃っちゃった。

 この辺、もうちょい掘り下げてくんないと、性格異常者に見えちゃうのよねぇ。




 一番わかんないのが、シュウジ。

 「…と、ガンダムが言ってる」という謎のワードで、アタマおかしい系キャラだったんだけど、ラスボスになっちゃった。

 ララァとの関わりもわからず、なんでファーストガンダムに乗ってるのかもわからず、そもそも原典にいないしこの世界の人間でもないくせにシュウジ・イトウって名前で認識されてて、ホント、「え、こいつ誰?」だよ。




 最終回の前話である11話のEDが「逆襲のシャア」の「Beyond the time」で、ファーストガンダムが飛んできたのは確かに驚いたけど、なんでこの曲でファースト? ってモヤモヤした。

 GQuuuuuuXとGFreD(ジフレド)とファーストの戦闘シーンは迫力あったけど、なぜかハイパー化しちゃうし。またオカルトかよ。

 GFreDが握られた時、指を砕いて脱出するかと思ったわよ。

 ハイパーガンダムの首チョンパで終わったのって、やっぱ原典へのオマージュなんだろうなぁ。

 オマージュといえば、赤ガンダムとキケロガの戦いも、原典でのファーストとジオング頭との相討ちっぽい感じだった。

 その後、コアファイターで逃げてくところも。

 一方で、キケロガから出た脱出ポッドをエグザベのギャンが捕まえる辺りも逆シャアのオマージュなのかしらね。

 すっごく無意味な感じで、碌な機動力もない脱出ポッドを握るとか、シャリア・ブルに対する殺意を感じちゃう。




 マチュは、最終的にニャアンと一緒にGQuuuuuuXで地球に降り、海に行くという目標を達成した。

 そこでやっと母親にメッセージを送ってたけど、家に帰るつもりはなさそう。

 結局、好きに生きるってことにしたみたい。

 シャロンの薔薇なしで異次元に行く方法があるかは知らないけど。

 多分、シャリア・ブルに連絡を取れば、ジオンで国籍もらえそうだけどね。




 ちょっとわからないのが、マチュを地球に誘導したのが誰か。

 マチュのスマホにメッセージを送ったり、ソドンの独房のロックを外したり、シャロンの薔薇のありかを知っていたりする都合のいい存在は誰?

 真っ先に思いつくのは、シャリア・ブル。

 その場合、ミラー云々はフェイクってことになる。

 ただ、彼は、本当にシャロンの薔薇のありかを知らなかったっぽいのよね。

 そもそもこのメッセージ、マチュの初登場シーンでUnknownから「Let's get the Beginning」って送られてきてマチュが「誰?」って返したもの。

 2回目の送信が独房のマチュに送られてきた「もうじき薔薇が咲く」からの一連のものなわけ。

 シャリア・ブルは、1話の段階では、赤いガンダムのパイロットがシャアじゃないって気付いた程度で、GQuuuuuuXにマチュが乗ってたことは知らなかったっぽい。

 そうすると、シャリア・ブルのわけがないのよね。


 次にありそうなのは、シャア。

 でも、彼があの時点でマチュを知っていたとは思いにくいし。

 あと、人間で考えられるのはシュウジくらいだけど、彼はあの頃大元の世界に帰ってたっぽいからなぁ。


 マチュにメッセージが送られてきたのは、まだニャアンと出会う前なので、マチュの存在を知ってる関係者っていないはずなんだよね。

 シャアがガンダムに乗った世界は今回が初めてみたいなことも言ってたはずだから、マチュが絡むの自体初めてだろうし。


 この世界のララァはマチュの来訪を予言していたから、その繋がりでマチュが絡むことを知った誰かが送ったって考えることもできるけど、じゃあ、マチュのメアド知ってる誰かって誰よ?


 人間以外では、GQuuuuuuXが──というか、それ以外該当者がいないんだけど。

 「~とガンダムが言ってる」とは符合するけど、GQuuuuuuXでもエンディミオンユニットでもいいけど、マチュのスマホにメッセージ送れるの? 独房のロック外せるの?

 (ドラグナー)3かよ。

 最終回前に公式で、ハロが「自律型AIロボット」って発表したからって、ハロ黒幕説を挙げてる人もいたみたいね。

 マチュが初めてGQuuuuuuXに乗った時に「ロックが外れる」って言ったのが根拠なんじゃないかと思うけど、あれは察知しただけだと思うのよ。

 あのハロは、ジャンク屋にいたのがマチュについてきただけで、別にマチュが来ることを知ってたってわけじゃないと思うんだけどなぁ。

 そう考えると、本当に候補がいないのよねぇ。


 結局、考えていくと、GQuuuuuuX自身がララァ経由でマチュのニュータイプ能力を感知して引っ張っていったって考えるのが一番しっくりくるんだけどさ。それでも説明不足っていうか、描写不足なのは否めないねぇ。





 「GQuuuuuuX」での“大元の世界”は、原典のファーストの世界とは別物らしい。

 この世界のララァが出てきた時に言っていたとおり、“シャアはガンダムに殺される”ので。

 要するに、原典ではゲルググの右腕を斬り落としたガンダムがトドメで突き出したビームサーベルが、ゲルググを庇ったエルメスのコクピットを貫いたのに対し、「GQuuuuuuX」の大元の世界では、そのままゲルググのコクピットが貫かれたってわけ。

 なんてこったい。

 「GQuuuuuuX」は、“ジオンが勝ったifの世界”じゃなくて、“ゲルググに乗ったシャアがガンダムに敗死するifの世界のそのまたifの世界”だった。

 もう完全に、原典を下敷きにした二次創作の世界。


 なんていうか、“描きたい部分だけ抜き出して作った”って感じで、本当にあちこち説明が足りない。

 イオマグヌッソを、後日どう説明したのかとか。


 正直、バスク・オムとか出てきても「0083」とか「Ζガンダム」とか知らないと、「何、この偉そうなハゲメガネ親父?」としか思わないでしょ。

 ムラサメ研究所だって、「Ζガンダム」にしか出てこないわけだし。

 細かい情報を他作品に依存しながら、実はその情報がアテにならないという、ズルいんだかバカなんだかわからない作風よね。





 この作品、何をしたかったのかというと、“シャアとララァが幸せになる世界を作ろう”だったらしい。

 “僕が考えた幸せなファーストガンダムの世界”だね。

 地味に、ガルマが生き残ってたりするのも、その一環かもしれない。

 アルテイシア(=2話のキャノンのパイロット)がいつシャリア・ブル達に担ぎ上げられたのかはわからないけど、落下直前のソロモン内部にいたくらいだから、その頃に繋がりができたと考えるのが自然かな?

 ランバ・ラルが名前すら出てこない(ラストでアルテイシアの近くにいたのがそうだよね?)のは、アルテイシア絡みで暗躍してたせいかもしれないね。

 そう考えると、原典登場キャラばかり輝いてたのは、それだけスタッフの思い入れが強いからなんだろうね。

 そうそう、シャアの偽名が「シロウズ」なのは、4つ目の名前だからよね。

 「Ζガンダム」でクワトロだったみたいに。




 そう、「GQuuuuuuX」は、番組オリジナルのキャラが異様に薄っぺらい。

 ジャンク屋達は、マチュをクランバトルに引っ張り出して巻き込ませるという役回りのためだけにいた(マチュの指名手配後はエピローグまで出てこない)し、シイコは何しにでてきたかわかんないレベルで死んだし。

 後は、視聴者の興味を惹くためだけに出てきたバスク・オム、ゲーツ・キャパ、デュー・ムラサメなんかも何しに出てきたかわかんなかった。

 この辺のキャラの使い捨てっぷりは、かなりとんでもない。

 マチュの母親も友達も、マチュがテロリストとして指名手配された後の描写が全くない。高校生がクランバトルのパイロットでテロリストだよ? 意外性抜群なのに、リアクション描きなさいよ!

 や、ラストで母はメッセージ受け取ってたけど、普通はテロリストとの関係を疑われたり職を追われたりして、まともに生活できなくなってそうなもんじゃない。

 引越荷物があるように見えたけど、数か月経った時点でその程度ってことはないと思うのよ。

 それなのに「連絡が来た!」って手放しで喜んでるのは、どういう冗談よ!?




 そんなわけで、「GQuuuuuuX」って作品は、制作者が妄想垂れ流して作った同人作品なのよ。




 GQuuuuuuXのエンディミオンユニットの声が古谷徹だったのにはビックリした。

 例の不倫騒動以来干されてたのに、使ってもらえたのね。

 元の世界のシャアとララァがオリジナルキャストの潘恵子、池田秀一ペアだったことなんか吹っ飛ぶくらいにビックリしたわ。

電柱

 「機動戦士ガンダム」におけるスペースコロニーでは、電線は地下(といおうか床下)に埋設されている。

 人工物なんだから、最初から地面の下に埋設用ルートが作られているのだ。

 この点は、ファーストの先進的な世界観として評価されていた。




ハイパー化

 1983年放映「聖戦士ダンバイン」後半で発生する巨大化現象。

 37話「ハイパージェリル」で、ジェリルの乗ったレプラカーンが巨大化したのが最初。

 10倍以上のサイズになり、ダンバイン・ビルバインと戦闘した。

 オーラバトラーなどのオーラマシンは、パイロットの生命力=オーラ(ちから)によって動き、地上では球形のオーラバリアを纏う。

 後半、一部のパイロットがオーラ力を移譲に増大させ、ハイパー化した。

 作中でハイパー化して戦ったのは、ジェリルのレプラカーン、トッドのライネックの2体。

 巨大な姿のまま斬り結ぶことも敵を握ることもできる。

 明確な回答は出ていないが、作中では、オーラバリアがオーラマシンの形で可視化したものではないかと推測されていた。

 オーラバトラー本体は、ハイパー化した姿の胸部(コクピット位置)奥にいるが、パイロットは巨大なボディの視界を得るらしく、ジェリルは「敵が小さく見える」と言っていた。




D3

 1987年放映のサンライズアニメ「機甲戦記ドラグナー」に登場する主役メカ3機のうち1機。

 近接戦用D1、砲撃戦用D2とトリオを組む電子戦用。

 「ガンダム」でいうところのガンタンクに相当する。

 「ドラグナー」自体、「ガンダム」を意識した構成になっている作品だったりする。

 D3は、頭部がレドーム状になっており、強力なジャミングや、接触しての敵艦のコンピュータハッキングなど特殊な用法をされる。

 D3は、敵艦に乗り込んでハッキングし、レーダーに嘘の敵影を表示させたりしたことがある。

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― 新着の感想 ―
エヴァも電柱がよく出てたなぁ… 彼氏彼女の事情でも電柱がよく出てたなぁ…(笑)
まあ監督が監督だし そうなるよね
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