21 ウルトラマンを見に行こう!(須賀川編)
今回は、写真多めでお送りします。
「天さん、連休は福島に蕎麦食べに行こう!」
「どうした突然? 最近やたら蕎麦食べたがるな」
言われてみれば、最近あたし、そば屋に行きたがってるなぁ。だって好きなんだもん。
あたしの好きなそば屋さんは、新潟市内に1つと、福島の山都に1つある。福島の方は、毎年新蕎麦の時期になると行くんだけど。
「行ったついでに、福島空港と須賀川行きたいの」
「そっちがメインか」
福島県須賀川市は、円谷英二生誕の地。だから、福島空港や須賀川商店街には、ウルトラマンのモニュメントがいっぱいある。
以前から、一度行ってみたいという話はしていたんだけど、今回のゴールデンウイークに行こうという話を出してみたわけ。
「天さんが興味ないのは知ってるから、どっかでお茶飲んで待っててくれていいからさ」
「いや、見てみたい気はあるから、一緒に行くよ。問題は翼の方だろ」
「翼だって、蕎麦ちらつかせれば乗ってくるって。ね?」
「まあ、蕎麦は食いたがるだろうな」
梓ちゃんのささやかな野望の1つ“でっかいウルトラマンの前に光るウルトラマンを持って行って写真を撮る”が遂に実現するのだ!
えっと、持って行くのは、「ウルトラの星計画 ウルトラマンCタイプ」と、目とカラータイマーが光るように改造した「装填トリプルサウンド ウルトラマンティガ」でいいかな。
ウルトラマンは商店街に立ってるし、ティガは空港にでっかいのがあるし。
須賀川にあるモニュメントは全部昭和ウルトラマンだし、あんまりいっぱい持って行っても持ち歩いてるうちに壊れちゃうとまずいし、この2つでいいよね。
あとは、不測の事態に備えてドライバーも1本持ってっとこう。応急修理ができるかどうかは重要だもの。
そして、当日。
きっちり晴れたね。さすがあたし! 晴れ女の伝説がまた1ページ!
毎年行ってるお気に入りのおそば屋さんは、天ぷらが美味しいから、天もりが定番。3人ともそれを食べるのがお決まりのパターンになってる。
本当は、向かう最中にばんえつ物語と併走するのも定番だけど、今年は走ってないから残念。
ちゃんと直るといいんだけど。
絶妙な揚げ具合の海老にナス、肉厚のピーマンとニシン。やっぱサイコー♪
蕎麦の後は、道の駅・会津でジェラート食べてシフォンケーキを買って、いざ須賀川へ!
アップルパイが秋限定だったのは残念だったわ。
須賀川駅に到着!
いきなり駅前の街灯が、ウルトラマンにセブンだよ!
ご丁寧に、裏側から見るとちゃんとポールにウルトラマンやセブンの背中の模様が描いてあるんだ!
ウルトラマンの変身モニュメントまであったりして、テンションあがるね!
駅前から商店街に向かうと、まずはタロウの像、そして、ウルトラの母とエースがある。
像はゾフィーからタロウまでの6兄弟と母、ゼットン、ベムスター、エレキング、ゴモラ。あと、ベンチに座った等身大のカネゴンとピグモンもいるらしい。事前に調べたのだ、えっへん!
タロウを撮っていると、どこかの親子がやってきて、やっぱり記念写真を撮ってる。
ほら、天さん、あたしだけじゃないよ!
大人だけのグループもちらほらいるじゃん!
ゼットンがあった!
おお、スペシウム光線を受け止めた時のポーズだ!
腕が水平だ。なら、ウルトラの星計画を光らせないで横たえよう!
むう。
赤ちゃんを寝かしつけてるようにも見えるなぁ…。
…どうしよう。
天さんと翼の歩く速度が遅い。
あたし1人なら、もっと早く動けるのに。
でも、せっかくついてきてくれた天さんに文句言うわけにもいかないし…。むう。
おー、ウルトラマンの顔を模したパンを売ってる! 「ウルトラパン」かぁ! これは買うしか! ちゃんと袋に円谷の公認シールが貼ってある。さっすが姉妹都市!
「梓、俺達はあっちにあった円谷記念館とかってとこに行ってるから、あと好きに見て来いよ」
あ…。あたしが先に進んじゃ振り返ってるから、天さん、気ぃ遣ってくれたんだね。ごめんね。そんじゃ、楽しませてもらうね!
ここからは全力モードだよ!
商店街の端には、スペシウム光線ポーズのウルトラマンがいる。
ウルトラの星計画は、スペシウム光線のポーズとれないんだよね。スーツの張力が強すぎて、ポーズの固定ができないから。
なら、せめてファイティングポーズでも取らせるか。
む~ん。目とカラータイマー光らせても、屋外で昼間じゃ、光ってんのわからないなぁ。
ウルトラマン載っけて撮ってたら、知らないおじいちゃんおばあちゃんのグループが面白がって自分達も撮っていいか訊いてきた。いいよいいよ、一緒に楽しもう♪
ウルトラマングッズのショップもあった。円谷の公式ショップだ。
でっかいソフビとか色々飾ってある。
写真って撮っちゃダメですよね? え、いい? やったぁ!
撮るだけじゃさすがに申し訳ないから、コースターセットを買った。これで一応、お客だ。撮りまくるぞぉ。
身長30cmクラスのソフビや、60cmクラスのソフビ、30cmくらいで電飾仕込まれたキングジョーのフィギュアもあった。
その中で、一際目立つのが、2mクラスのティガの巨大フィギュア。
たぶんオモチャ屋さんの客寄せ用のものだと思うけど、こんなのがあるのは知らなかった。
トリプルサウンドは、空港用に持って来たんだけど、これは撮るしか!
手で持ちながらなので、スマホで撮るしかないのが残念。くぅ~っ、天さんさえいれば…。
ピグモンが座ってるベンチに腰掛けて、同じく写真撮って歩いてる人に頼んで写真撮ってもらったりもした。
写真を撮り終えて円谷記念館の入っている建物に着くと、天さんと翼が休憩所で座っていた。
6階建ての建物で、図書館やら学習室やら入っている、市営のカルチャーセンターっぽい建物。ここの5階に円谷英二ミュージアムが入っている。
入場無料で、撮影不可だけど色々なプロップが置いてあった。全部当時ものじゃなくて復刻ものだったけど。
初代ゴジラの着ぐるみ(何かの撮影用に復刻されたもの)や、50cmのマイティジャック号、メーサー殺獣光線車、ビオランテ版メーサー車などなど。
特に感動だったのは、1m弱の轟天号と、60cmの国連V-TOL。
天さんに「これが、あたしがよく歌ってる轟天号だよ」って言ったけど、全然わかってくれなかった。
国連V-TOLは、ウルトラマンのジェットビートルの元になったもの…というか、まんまだった。
あ~、こりゃ、成田さん悔やむよ。完全に流用だもの。違いは、機首上部の飾りの形と、翼端のミサイル先端部がないくらいしか見当たらない。
なんで撮影禁止なのよ~。本物じゃないんだから、いいじゃないの。
そうは思うけど、禁止と言われれば、敢えて破る気にはなれない。自分の鉄の良識が恨めしい。
天さんは、ミニチュアの置いてある部屋のホリゾントに感心しまくっていた。
うん、空も雲も山もすごいもんね。
思いがけず天さんの食い付きの良かった記念館を後にする。
気が付くと、須賀川だけで2時間もいた。
やばい、暗くなる前に福島空港に行かなきゃ。
福島空港の外には、5mサイズのジェットビートルや三角ビートル、4mくらいのティガの像がある。
トリプルサウンドは、このために持って来たんだよね。
空港内では、トイレの表示板までウルトラだった(^^)
空港内には、目が光るウルトラマンの像があったりもした。
これもやっぱり、ウルトラの星計画が必要だね。
むぅん。屋内なのに、光が弱いなぁ。
空港で写真を撮っていると、天さんと翼の姿が見えない。
探してみたら、土産物売り場にいた。
「知り合いと思われたくないし」ってなによ!
「いや、だって、子供みたいに興奮してすっ飛んでったし、大はしゃぎで動きまくってたし。あのエネルギーはどこから来るんだ?」
「お母さん、周りの子供がポカーンとして見てたよ」
とはそれぞれの評。
基本的に、天さんは、あたしが子供みたいに夢中になって動くのは微笑ましいと思ってるけど、翼は母親がガキっぽいことに辟易してるって感じ。
いいの! あたしは好きなことに全力投球するの!
これでまたひとつ、梓ちゃんのささやかな野望が実現したんだから!
次は祖師谷よ! …いつになるかわからないけど。
梓ちゃんのささやかな野望シリーズ
梓がいつかやりたいと狙っているものごと。
今回のように、ウルトラマンの前にウルトラマンを持っていくなど、一般的に見てくだらないものが多いが、本人は至って真剣。
ウルトラの星計画 ウルトラマンCタイプ
メーカー、ガレキメーカー、雑誌が“究極のウルトラマンフィギュア”を目指して共同開発した大人向けアイテム。電飾付きの可動素体に樹脂製のスーツを着せるという、変身サイボーグのような構造(着替不可)になっている。
最初にティガが発売され、その後、同じ素体を流用してウルトラマンCタイプ、同Bタイプ限定版、同Bタイプ一般発売版の3種が発売された。Bタイプ2種の違いは、付属の戦闘機で、限定版は三角ビートル、一般版はジェットビートル(Cタイプと同じもの)が付属している。その後、素体を新造してウルトラマンマックスが発売されて終了した。
目が光り、カラータイマーはベータカプセル型の磁石スイッチを近づけることで、青→赤点滅に変化する。
ティガではゼペリオン光線のポーズが取れたが、残念ながら、ウルトラマンはスペシウム光線のポーズで固定できない。
この写真では、背中のファスナーを開けて無理矢理ポーズを取らせている。
装填トリプルサウンド ウルトラマンティガ
2000年に発売された。
防衛隊の銃・変身アイテム・ティガのフィギュアの3点で構成される。子供向けのはずだが、造形レベルはとても高い。
ティガ単体では背中のボタンを押すと声が出るだけであり、3点揃ってはじめてギミックが成立する。
ギミックは、当時バンダイが力を入れていた赤外線によるリモコン操作となっていて、ティガ頭部には赤外線受信部があり、透明な目を通して受信するようになっている。
円筒型の電池ボックスをGUTSハイパーに入れて数回撃ち、電池ボックスを抜いてスパークレンスに差し込む。電源の入った状態のティガに向けてスパークレンスのボタンを押すと、スパークレンスから赤外線信号が出て、ティガから変身音が出る。その後、ボタンを押すたびにティガが掛け声を発し、やがてカラータイマーが赤点滅して点滅音が出る。次にボタンを押すと光線発射音が、次に飛び立つ声が出て終了する。
梓は、ティガフィギュアに改造を加え、ギミックを残したまま、目を光らせ、カラータイマーが青く光るようにした。ただし、まだ完成しておらず、現状では、ギミックによる赤の点滅時にも青く光り続ける。
晴れ女の伝説がまた1ページ
アニメ「銀河英雄伝説」の次回予告の決めぜりふ「銀河の歴史がまた1ページ」をもじったもの。
梓は晴れ女であり、本当に楽しみにしているイベント時に雨が降ることがほぼない。
かつて、梓が楽しみに出掛けた「忍者戦隊カクレンジャー」の後楽園野外劇場ショーの最終日では、東京に雪が降ったため、5回予定されていたショーが4回まで中止になったが、千秋楽だけは行われたという逸話がある。
ばんえつ物語
JR東日本が所有する蒸気機関車C57を使用した快速列車。基本的に4~11月の週末・祝日に運行する。レギュラー営業のSLとして、日本一長い営業距離を誇る。
2018年夏に、炭水車(機関車の後ろの、石炭と水を積んだ車両)の車軸が壊れ、新造するため&大規模点検のため、現在は運行していない。
オモチャ屋さんの客寄せ用
オモチャ屋に展示する巨大な人形。立体の看板といった存在。
1980年代のウルトラ怪獣のソフビシリーズ発売の際は、怪獣のものなども多数あった。オモチャ屋さんの買い取りであり、1体2~3万円もするので、あまり持っているお店はないらしい。
総じてディテールは甘いが、結構なお宝価格だそうな。
くぅ~っ、天さんさえいれば…。
戦隊シリーズ「超電子バイオマン」のライバルキャラ:バイオハンターシルバの台詞をもじったもの。
「バイオマン」中盤で、500年前からの宿敵であるシルバと巨大ロボ:バルジオンが地球へとやってくる。大気圏突入時にバルジオンは行方不明になり、シルバはバイオマンと戦いつつバルジオンを探していた。
以降、シルバは、バイオマンと新帝国ギアとの戦いにちょっかいをかけては、巨大ロボ戦になると「くぅ~っ、バルジオンさえあれば…」と言って逃げていくようになった。まずはバルジオン捜索に全力を尽くすべきだったと思う。
ちなみに、シルバのデザインは、「人造人間キカイダー」に登場するライバルキャラ:ハカイダーを銀色にした感じ。
マイティジャック号
1968年放送の円谷作品「マイティジャック」に登場する万能戦艦。正確には「マイティ号」という。マイティジャックは、組織の名前。
梓は、放送当時は生まれておらず、後にビデオで見た。
マイティ号がドック内で注水・発進するシーンのリアルさは評判。
海中から発進するシーンでは、アルコールを張ったプール内にミニチュアを沈め、それを高速度撮影カメラで撮影したものをゆっくりと逆再生しているらしい。アルコールを使ったのは、水面下の深さを感じさせるため、屈折率の違いを利用したのだとか。
ヒーローの登場しない大人向けの1時間ものの特撮ドラマだったが、視聴率が低迷して打ち切られ、「戦え!マイティジャック」として子供向け30分ドラマとして続けられた。
梓は、主題歌の歌詞「MightyJack is going♪」を「MightyJack is 強引~♪」と歌って、誰も気付かないことにほくそ笑んでいる。
メーサー殺獣光線車
1966年封切の東宝映画「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」に登場する自衛隊のビーム兵器。
ガイラをあと一歩まで追い詰めた、東宝怪獣映画史上最も有効だった攻撃兵器。
そのため、後の作品に似たようなものが登場しては蹴散らされることになった。
ビオランテ版メーサー車
1989年封切の東宝映画「ゴジラvsビオランテ」に登場する。
大した戦果を挙げたという記憶はないが、壊滅は免れたらしい。その後は、ゴジラ映画に登場しては壊滅しているとか。
轟天号
1963年封切の東宝映画「海底軍艦」に登場する、空飛ぶ万能戦艦。艦首に巨大なドリルを装備、というよりは艦首そのものが巨大なドリルになっている、ドリル戦艦の元祖。
梓は、なにかというと「ドリルが回るぞ轟天号、轟天号♪」と歌うが、実はそこしか歌えない。
国連V-TOL
1962年封切の東宝映画「妖星ゴラス」に登場する国連の脱出用飛行機。V-TOLとは、垂直離着陸機、つまりオスプレイのように滑走路を必要としない飛行機のことで、飛行機の世界では一般用語。
「ウルトラマン」では、時間の都合で科特隊の主力戦闘機のデザインを起こすことができず、これの木型からジェットビートルを作った。そのことをデザイナーの成田亨さんは気に病んでいたらしい。
ホリゾント
空が描いてある板。スタジオでのセット撮影の際、背景として使うもの。
ここにスモークを焚いて背景をぼかすことで距離感を出す。
円谷英二ミュージアムのミニチュアセットの部屋には、1959年以来東宝でホリゾントを描き続けてきた人の手になる空があった。
次は祖師谷
かつて円谷プロがあった東京都世田谷区祖師谷には、ウルトラマン商店街というのがある。
須賀川と同様、商店街のあちこちにウルトラマンのモニュメントがあり、中には目とカラータイマーが光る像まであるので、梓は見たくてたまらない。
ただ、東京なので、簡単には行けず、涙を呑んでいる。