206 ウルトラマンが光るのって漢のロマンだよね(ウルトラの星計画・ティガ編)
MagicQのティガ(198回)を作ったことで、究極のウルトラマン可動フィギュアは一応完成した…んだけど、あたしの求める究極には、まだ先がある。
なんせMagicQは、造形レベルが低いからね。
あたしは、ウルトラの星計画にヒカルナルを内蔵させたいと思ってるのだ。
ウルトラの星計画に点滅音を加えるというのは、梓ちゃんのささやかな野望の1つだからね。
やっぱりウルトラマンには、継ぎ目はあってほしくない。
成田さんが求めた“服なのか肌なのかわからない”は、フィギュアーツでは満たされないと思うのよ。
ウェットスーツの上から手術用ゴム手袋を着けるとか、スーツと地下足袋をテープで留めて継ぎ目を消すとか、継ぎ目のない一体感は、特に初代ウルトラマンでは重要だと思う。
そこで、ウルトラの星計画よ!
元々このシリーズは、それこそプロが“究極のウルトラマン”を目指して企画したものだもの。
服を着せるタイプのウルトラマンフィギュアは、メガハウスとかバンプレストとかいくつも出てるけど、スーツの質感・造形・可動範囲とかを考えると、ウルトラの星計画が抜きん出てると思う。
はっきり言って、それでも完璧とは言えない。肩に縫い目があったりとか、ね。
でも、たとえばメガハウスのティガも持ってるけど、スーツの張力が強すぎて関節がロクに曲がらないし、固定もきかない。
光線ポーズで飾れないって、ウルトラマンの可動フィギュアとしては致命的だと思うのよ。
まぁ、その意味では、ウルトラの星計画も完璧ではないけどさ。
ティガはゼペリオン光線のポーズをとれるけど、ウルトラマンCタイプはスペシウム光線のポーズをとれない。
これが、背中のファスナーを開くと、とれたりするのよ。
(ティガはそのまま、ウルトラマンは背中のファスナーを開けてる)
つまり、フィギュア本体の可動範囲は問題ないのに、スーツのせいで腕が前に出ないというのが欠点。
服を着せるタイプの可動フィギュア全般が持つ弱点だけど、中のフィギュアの可動が阻害されちゃうのだ。
これの大きな原因は、“フィギュアと服が合ってない”ことだと思う。
端的に言うと、フィギュアがたくましすぎるのだ。
まぁ、スーツの材質が厚すぎたり固すぎたりすることも原因の1つではあるんだけどね。
GIジョーなんか見ると、上腕が意外と細い。
これは、肘を曲げるためだと思う。
銃を構えるために、肩・肘の可動範囲は重要だからね。
中身は、スリムでいいのよ。どうせ服で隠れるんだから。
まぁ、中身があまりに細すぎると、スーツがしわしわになったりもするから、あんまりガリガリ過ぎても困るんだけどさ。
で、あたしは、大きなヒントを見付けた。
ネットで、ウルトラの星計画のウルトラマンを改造した人のサイトを見付けたんだけど、その人は、胸部の形を整えるパーツを外し、上腕部・大腿部のカバーパーツも外して、可動範囲を大幅に増してたのだ。
動かしてみるとわかるけど、ウルトラの星計画のウルトラマンは、太もものカバーパーツが腰に干渉して、腿が90°まで上がらない。
で、このパーツは、あくまで太さと形を整えるためのカバーでしかないから、外しても問題ない。
件のサイトでは、ウルトラマンが膝立ちしてスペシウム光線のポーズをとってた。
で、カバーを外して細くなった分を、スポンジを貼ってフォローしてた。
もうね、目から鱗が落ちたわよ。
スポンジ貼るって、確かに見た目は悪いけど、どうせスーツを着たら見えないんだから。
スーツの中で太さがあって、なおかつ押せば凹む。
あと、お腹にもスポンジ入れて、細腰もフォローしてたわね。
あたしも、胸部カバーはヒカルナルユニットを入れるのに、どのみちいじるつもりでいたけど、丸々外すというのは思いつかなかったわ!
頭柔らかい人って、いるのねぇ♪
そして、とりあえずティガからやってみる。
ちょうど、ティガ2体目(ジャンク)と、ヒカルナルSP三組目を手に入れたからね。
ティガのボディをばらしてみると、赤いボディパーツの上から、黒っぽい半透明のカバーパーツが覆ってるって構造になってた。
このカバーパーツを外す。
カバーパーツのネジを外して背面側を取り、赤いボディパーツのネジも外して背面側を取る。
そうすると、電池ボックスとスイッチがむき出しになる。
電池ボックスは、穴に突起を突っ込んで軽く固定されてるだけ。
電池ボックスを外すと、ネジ留めされた基板がある。
赤いボディパーツの中には、首・腕・腰がジョイントされてるから、それらを外すと、ボディ前面が外せるようになる。
で、自動的に黒いカバーパーツも外れる。
赤いボディパーツの前面には、楕円の穴が開いていて、基板に付いた青と赤のLEDの光はそこを通る。
LEDは三極型じゃなくて、二段(上が青、下が赤)になってる。
基板のネジを外すと、磁石スイッチが基板に付いてるのがわかるね。
この基板を丸々外して、ヒカルナルの基板と交換するわけだ。
首のLEDの銅線は、スイッチじゃなくて基板に繋がってるから、これのハンダを溶かして外す。
どういう理由か知らないけど、目のLEDは+が2本、-が1本になってる。
片目ずつ光らせることなんてないのに、どうしてわざわざ+を別立てにしてるんだろう?
ともかく、目の銅線とスイッチの銅線を外して基板は外せた。
試しに、カバーパーツをはめないで赤いボディパーツだけ組んでスーツを着せてみたけど、違和感はないね。
肩の関節の前後スイングが阻害されないから、かなりよく動く。
これは、ウルトラマンでもスペシウム光線のポーズいけそうね。
次は、ヒカルナルユニットの準備ね。
電池ボックスとの接続のハンダを溶かして、基板とスピーカーを外す。
基板を外したケースの「ウルトラマンティガ」って入った電池蓋は、この前(204回)作ったコンバージモーション・ティガの「ガイア」の蓋と取り替えよう!
さて、ヒカルナルの基板だけど。
赤いボディパーツの前面に入れようとしても、入らない。
ヒカルナルの基板の方が幅広いのね。
基板削るわけにはいかないし、ボディパーツの外側に貼る感じかなぁ。
カバーパーツ外してるから、容量的には問題ないし。
ボディパーツの外側にヒカルナルの基板を当ててみると、ヒカルナルのスイッチがぶつかって邪魔になる。
これは、外さないとダメだね。
ハンダごてを当ててハンダを溶かしながら抜こうとしたけど、スイッチが小さいのと、基板に密着してるのとで、うまく外せない。
ラジオペンチで挟んでみてもダメだったので、ニッパーの刃を基板との間に入れてみたら、スイッチを握り潰すみたいになっちゃった。
外すという目的は果たせたんだけど、スイッチは手に入らなかったなぁ。こういうの、結構後で利用できるんだけど。
ウルトラマンの時は、うまくやらなきゃ。
あと、貼った基板がスーツに擦れて外れないかってことと、スピーカーや磁石スイッチをどうするかってのが問題ね。
さすがに、スピーカーはどこに置いても邪魔よねぇ。
肩のスイングのところにぴったりはまるけど、それじゃせっかくフリーになったスイング機構が死んじゃうし、なにより可動部に固定なんかしたら、耐久性がなくなっちゃう。
ボディパーツの胸の内側──前の基板があったところ──には、ピッタリはまる。
うん、磁石スイッチにさえ干渉しないなら、ここがベストね。
後で、干渉しないか確認しなきゃ。
それと、ボディパーツには、スピーカーを通せるほどの大穴は開いてないから、一旦スピーカーの銅線を基板から外す必要があるわね。
さて、基板を胸にどう付けたら、腕の可動に影響がないかってとこなんだけど。
LEDを中心に、斜めに付けると、一応可動域に影響させないでやれるかな?
あと、問題は銅線だね。
ん~、この位置だと、元のカラータイマーの穴から、スピーカーと電源の銅線は通せるけど、磁石スイッチ用の銅線は無理っぽい。
磁石スイッチはボディパーツ内に入れるとして、ボディパーツに穴を開けて中に通そうか。
で、基板の固定なんだけど、おゆまるくんかシリコンゴムをボディパーツとの間に挟んで接着しようかな。
何か挟まないと、平らな基板と曲面のボディパーツじゃ、安定しないもんね。
ああ、それから、ボディパーツ内側の、カラータイマー穴の壁も、なんとかしないとスピーカー破れちゃうかも。
こっちも、おゆまるくんで周り囲んで平らにしようか。
整理してみよう。
ボディパーツの外側にヒカルナルの基板を貼って、カラータイマー用の穴からスピーカーと電源の銅線を内側に通す。
で、カラータイマーの穴の裏にスピーカーを外向きに置いて、電池ボックスで押さえる。ここ、ちょうどいい厚みでよかった。
で、位置調整は必要だけど、スイッチの下辺りの空いてるところに磁石スイッチを貼る。
電池ボックスからヒカルナル基板と目の-に、スイッチからそれぞれの+に繋ぐ、と。
基板の保護は、ウレタンとかスポンジとかを貼って、かな。
そうそう、目も少し白っぽくしなきゃ。
目の裏側に、白のレジンを薄~く塗る。あんまり厚くすると、目の光が弱くなっちゃうからね。
あと、可能であれば、太もものカバーパーツも外して、足の上がりをよくしたいなぁ。
スーツの素材が固めで、脱がせられないんだけど。
次は、太股ね。
下半身と腕が入ったままのスーツを脱がして、カバーパーツを外したいんだけど、スーツが脱がせられない。
ネットで見た改造記事では、ドライヤーで温めて柔らかくして脱がしたってあったけど、ドライヤーだと、ちょっと怖いよね。
てなわけで、エアコンの風が当たるところに置いてみた。
うん、なんとかずり下ろせたね。なんか、あたし、痴女みたいだ(^^;)
太股のカバーパーツは、接着とかネジ留めとかされてなくて大腿骨パーツの突起に挿して、スーツのテンションで固定してる感じだった。
カッターを隙間に挟んでやると、パカッと取れた。
骨パーツの突起を切り落とし、スポンジを両面テープで骨パーツに巻き付ける。
あんまり厚くすると面倒だから、前から外回りに後ろまで。内股には貼らない。
スーツを戻してみると、太さ自体はあんまり変わってない感じ。
まぁ、こっちはこれでいいか。
ただ、可動範囲の改善は、ビミョーだから、ウルトラマンではやらなくていいかも。
次は、スピーカー。
スピーカーも一応極性があるから、どっちかわかるように銅線に色を塗って基板から外して、カラータイマー穴を通して基板にハンダ付けし直す。
磁石スイッチの足を短く切って銅線をハンダ付けし、ボディパーツの内側に入れる──あれ? 銅線が思ったより短い? 予定の位置に届かないや。
これだから、目分量がわかんない奴は…。
しょうがない、一段上にも入れられるから、そっちに入れよう。
さて、おゆまるくんを温めて、基板を押しつけてみたんだけど。
ダメだね。
おゆまるくんじゃ、どうしても厚みが出るわ偏るわで、全体を覆いきれない。
とすると、スポンジ使った方がいいかも。
スポンジを薄く剥がして、両面テープでボディパーツに貼る。
これを四隅にやって、スポンジの上からまた両面テープを貼って、基板を貼る。
で、基板の角がスーツに刺さったりしないように、基板の角にかぶせるかたちで薄く剝がしたスポンジを貼る。
お次はマスクね。
目の裏側に白のレジンを薄く塗って、ティガっぽい目にしよう。
その分、目の光が弱まるから、頭部パーツの前面カバーパーツも外そうかな。
後ろ側さえあれば、ちゃんとはまるだろうし。
なんなら、目の辺りだけくり抜いてもいいし。
って、LED、白なの!?
そっかぁ、このカバーパーツで光に色を付けてたのかぁ。
え、そうすると、白に黄色のせて、その上からまた白のせるの?
なんか、一気にやる気がなくなってきたような…。
LEDを電球色に交換すれば、かなり光が強くなるんだろうけど。
まぁ、いいや。今更すぎるし、今回は白のレジンを薄く塗るだけにしようか。
スーツの首の穴から頭部を突っ込んで、ボディパーツにはめ、目のLEDの銅線の+2本を基板の+の銅線とハンダ付けしてから、スイッチからの+銅線とハンダ付けする。
それぞれの-銅線をハンダ付けして、電池ボックスの-銅線とハンダ付けする。
スイッチをボディパーツにネジ留めして、電池ボックスをはめ…はめ…はまんないじゃん!
えっと、これはあれだ、スピーカーの厚みではまらないんだ。
最初に試した時ははまったんだよねぇ。
ってことは、おゆまるくんの厚みではまらなくなっちゃったってことだね。
そうすると、やるべきことは、おゆまるくんを剝がして、穴の裏側の壁部分を削る、かな。
瞬着使っちゃったから、剝がすの大変そうだなぁ。
ラジオペンチでおゆまるくんを砕く勢いで剝がして、壁部分をニッパーで切り取る。
で、スピーカーの位置合わせをしてたら、基板からスピーカーの銅線が取れちゃった。
引っ張ってると、こうなるのよねぇ。
銅線の先端が千切れるかたちだったから、もう一度基板の穴に突っ込むのは無理っぽい。
基板を貼る前だったらどうにでもなったんだけど、ここで基板を剝がすと、また面倒なことになりそうだから、無理に穴を通そうと思わないで、基板の表側から直接ハンダ付けしよう。
再度スピーカーをはめ込んで、スイッチをネジ留めしようとしたら、今度はスイッチの銅線が切れちゃった。
被膜を剥いてみると、中の銅線が腐ってる。
古いおもちゃって、こういうのがあるんだよねぇ。腐った銅線って、ハンダ付けしづらいんだよ。
しょうがない、別の銅線を使おう。
すんなりスピーカーがはまってれば、こんな苦労はなかったんだけどなぁ。
ここで、一応作動テスト。よし、ちゃんと光る。
銅線繋ぎ直して、スピーカーの上に電池ボックスをはめて、首・両腕・腰のジョイントを挟んで、背面パーツをはめ込む。今度は、ちゃんとはまった。
もう一度テスト。OK。
スーツを着せて、マスクをはめて、またテスト。OK。
さて、スイッチオン! 1、2、3!
よし、目が光った!
ヒカルナルの基板を使う以上、メインスイッチで光るのが目だけっていうのは、宿命なのよね。
フリップフロップ回路を自分で組めれば、目をON・OFF・OFFにして、カラータイマーの青・赤点滅&点滅音・OFFに合わせられるのに。
そしたら、同じ磁石スイッチに繋げて、メインスイッチで待機、1回目で目と青が光って、2回目で目が光ったまま赤点滅&点滅音3回目で目もカラータイマーも消える、ができるのに。
あ…、いや、ダメだ。
それだと、時間経過で赤点滅になった場合、放っておくと目だけ光ってるとか、磁石スイッチでカラータイマー消しても目が光ったままでもう1回スイッチ入れると目が消えて青が点くなんていうけったいなことになっちゃう。
ヒカルナルを使って目と連動させるのって難しそうね。
ともかく、磁石スイッチでカラータイマーを光らせようか。
…あれ? 反応にぶいなぁ。
あ、そっか! 予定より上に入れたから、ちょっと内側気味なんだ。
ま、それでも正確にポイント突けば、きちんと反応するから問題ないね。
赤点滅は…っと。
ありゃ? 目も一緒に点滅してる。
これは、あれだね。おなじみの、電池の消耗。
前から入れてた電池だからなぁ。
気を取り直して、新品の電池を入れて。
よし、赤点滅&点滅音もばっちりよ!
カバーパーツを外したことで可動範囲が広がりつつ、スーツの張りというか固さで、まっすぐ立たせても貧相にならない。
スーツだから、ポーズ取らせた時に関節で模様がズレることもない!
変身音とか掛け声は出ないけど、これは、あたしが20年来追い求めてきたウルトラの星計画の完成形よ!
究極のウルトラマンティガ・ウルトラの星計画版、完成で~~~~す!!
ウルトラマンの方も、そのうちやるからね!
ウルトラの星計画・ウルトラマンティガ
2000年に、バンダイ・海洋堂・ホビージャパンが共同で開発した究極のウルトラマンティガの可動フィギュア。
メインスイッチを入れると、目とカラータイマー(青)が光り、スパークレンス(磁石入り)を腹に近付けることでカラータイマーが青←→赤点滅に切り替わるギミックを持ち、造形も当時のマスプロ製品としてはハイレベルで、正に当時の技術の結晶といえるアイテムだった。
多分、マスプロ製品でカラータイマーが青く光るウルトラマンのフィギュアは初めてだったはず。
梓は、発売当初に買って、「これで点滅音が鳴ればなぁ」と考えていた。
ヒカルナルが発売された際も、「これをウルトラの星計画に組み込めれば」と思っていた。
梓ちゃんのささやかな野望
梓が機会があればやりたいと思っている様々な物事。
基本的に、他人から見ると馬鹿馬鹿しいものが多いが、梓は平気で30年とか挑戦し続ける。
“準決勝で、勝っている選手が映っている時に「いくぜいくぜ結晶!」と歌う”という野望は、今年のWBCでは果たされなかった(準決勝は逆転勝利だったので)(160回)。
今回達成された“ウルトラの星計画に点滅音を加える”は、23年越しの野望だった。




