18 CMにゼニクレイジー!
これは、2月22日の活動報告に書いたものに、用語解説が欲しいと言われたので、加筆修正したものです。
朝食の洗い物をしながらふとテレビを見ていると、なぜかゼニクレイジーが映っていた。
「ゼニクレイジーっ!? なんで!?」
バーでゼニクレイジーが何か飲んでいるCMらしい。どうやら現金代表として、電子マネーと戦っているらしい。電子マネーのCMなんだから、当然負けるはずだ。
こんなマイナーな作品の怪人を使うなんて、度胸あるなぁ。
あ、でも。頭がでっかいコイン型のかぶり物なんて、何かは知らなくても現金代表と一目でわかるデザインだから、視覚効果は抜群だね。企画した人、いい仕事してるわ。
「なんだ梓、でかい声出して?」
脇にいた天さんが、寄ってきた。
「天さん、今、CMにゼニクレイジーが!」
「なんだ、ゼニクレイジーって?」
あ、そうか、天さんはコンドールマン知らないよね。
「ゼニクレイジーは、コンドールマンの怪人だよ」
「今の、全然日本語に聞こえなかったんだけど」
ちょっと! カタカナは混じってるけど、どこから見ても日本語しかないよね?
「だから、コンドールマンの怪人だって」
「まずコンドールマンがわからない」
「だから、昔のヒーロー物だってば」
ネットで画像を探して見せようとしたけど、
「いや、別に興味ないから」
ってばっさり断られた。
そして、夜。
「翼、ゼニクレイジーが出てる電子マネーってなんだかわかる?」
うちで一番CMに詳しい翼に聞いてみた。
「ゼニクレイジーって何さ?」
「頭にでっかいコインのかぶり物してるやつ」
「ああ、それならdocomoだよ」
あれ? 翼に「コンドールマン」見せたことなかったっけ?
「そっか。って、あれ? 翼って、コンドールマン知らなかったっけ?」
「どうして知ってるって思うの?」
あれぇ? なんであたし責められてるの? だって、車の中でコンドールマンの歌とか流してるよね?
コンドールマン
1975年放送「正義のシンボル コンドールマン」のこと。
「レインボーマン」「ダイヤモンドアイ」に続く川内康範原作の特撮ヒーロー物。俗に川内ヒーロー3部作と呼ばれる。ただし、前の2作が東宝制作なのに対し、「コンドールマン」は東映制作。アクションがJAC(現:JAE)で、コンドールマンを演じたのは、宇宙刑事ギャバン・一条寺烈を演じた大葉健二(当時:高橋健二)さん。大葉さんは、「キカイダー」のトランポリンアクションも担当していた(それ以外は大野剣友会が担当)。
日本侵略を企むモンスター一族に立ち向かうコンドールマンの戦いを描く。
要人暗殺をしたモンスター一族を追っていた三矢一心は、ゴールデンコンドルの卵を守るために命を落とした。
ゴールデンコンドルの親にして、間もなく寿命を迎えるドラゴンコンドルは、一心に報いるべく、モンスター一族を倒すため、タバ老人に依頼し、古代ムー帝国の秘術で合成鳥人コンドールマンを誕生させる。
コンドールマンは、一心の遺骨(の一部)とドラゴンコンドルの遺体、ゴールデンコンドルから生まれ、一心の正義の心、ゴールデンコンドルの闘争心、ドラゴンコンドルの鋼の肉体を併せ持つ。あれ? 心心体で、技がないぞ?
コンドールマンは、自分を構成するそれぞれの姿に化身できるが、当初は一心の姿に擬態できるだけだった。理由は、他の化身の強さにある。ゴールデンコンドルはコンドールマンの十倍の力、ドラゴンコンドルは百倍の力を持っているのだ。そのため、ドラゴンコンドルに化身できるようになったのは、全24話中22話だった。
本体がコンドールマンで、一心の姿に化身しても、一心の記憶はない。日本に来た後、一心の家族と遭遇し、死んだ息子に瓜二つだからという理由でアパートを紹介してもらい、その後もなにかと交流している。
なお、一心の遺体は駆け付けた父によって荼毘に付されているが、その際、タバ老人は遺骨の一部をちょろまかしてコンドールマン誕生の際に使ったようだ。
モンスター一族
エンパイアステートビルに本拠を構えるモンスター達。キングモンスターを頭に、十数体のモンスターからなる。
ほとんどのモンスターが人間に擬態できる。とことんがめついサタンガメツク、大食らいのバーベQ(人間名:デーブ百貫)など、ネーミングも楽しい。
モンスター一族は、一種の付喪神であり、人間の醜い心が物に宿って誕生するらしい。OPでは「命を賭ける価値もない。それほど汚れた日本の人の心が生み出した」と謳われている。
最終的に、キングモンスターにはドラゴンコンドルの力でさえ勝てなかったが、配下のモンスターを全て失ったキングモンスターは、ひとまず日本から戦略的撤退をした。
ゼニクレイジー
モンスター一族の怪人。手提げ金庫の付喪神で、頭が巨大なコイン、胸に「¥」マーク、ベルトのバックルはがま口。
ゼニクレイジーは、1話から登場しているものの実質2話くらいしか活躍していない普通の怪人なのだが、OPで三大幹部(ゴミゴン、スモッグドン、へドロンガー)より先に名前が呼ばれる。
また、ED「ザ・モンスター」では、スモッグドンを押しのけて1番の歌詞になっている(2番はへドロンガー、3番はゴミゴン)ため、死後もEDで目立ち続けた。
なお、デザインに反して札束が好きで、腹のがま口に札束を放り込む。小銭が好きなのは、コインマーの方である。