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12 DIY

 信じられるか…事実なんだぜ、これ。

 「ピコンピコンピコン…」

 朝の寝室にカラータイマーの音が鳴り響いた。

 「うわっ!? なに、何の音!?」

 天さんが飛び起きる。

 「あ~、ごめん、あたしの目覚ましの音…」


 「はあ!? 目覚まし!? これが!?」


 「ごめん。あの、目覚まし代わりにスマホのスケジュールタイマー掛けてたの。

  まさか、こんなに心臓に悪いとは、あたしも思わなかった」


 「なんでスケジュールがカラータイマーなんだ?」


 「いかにも“時間です!”って感じになるから」

 だって、時間切れを教える音だし。


 「寝覚めにこれは、かなりきつい。もうやめてくれ」


 「うん、ごめん。あたしも、さすがにこれはないと思った」


 「だいたい、どうしたんだ、その音」


 「この前ネットでね、“歴代ウルトラマンのカラータイマー音”なんてのを見付けてさ、色々使えると思って作ったんだよ。スケジュール用はティガ、タイマーはタロウなの。3分経ったらピーパーピーパーって鳴るんだよ」


 「なんだ、その擬音は」


 「タロウのはそんな感じなのよ。エースはピポピポピポって感じ。1人1人違うんだから」


 「ああ、ほら、早く起きなくていいのか? 鳴ってからだいぶ経ったぞ」


 「あ、やば!」




 あたしはスマホにiPhoneを使ってる。

 で、着信音とかあちこちで被ってるのが嫌で、着うたとか着メロとか、自作してるんだ。

 CDから取り込んだ音で作ることもあれば、録音した音を使うこともあれば、ネットで拾ってきた音を使うこともある。

 MP3の音源があれば、iTunesで一部を抜き出してAAC形式で保存→拡張子変更、で着メロ(うた)が作れる。

 最近のバージョンのiTunesだとできないみたいだけど。

 あたしはそれで、着メロなんかを自作してる。

 天さんからの電話着信は「大好きだよ」だし、家電(いえでん)からの着信は“獣奏剣の召喚”だ。

 召喚の音が響く時、それは、翼からの緊急コールだったから。

 翼にケータイを持たせてなかった頃、家でお留守番させてる時に何かあったら、コールするように言ってあった。電話機には、あたしのケータイ番号をワンタッチ登録して。

 前は、仕事関係の着メロには自作の“ギルの笛”を使ってたんだけど、今は自作できないからなぁ。




 「♪♪♪♪~」


 「なんだ、今の? さくらか?」


 「そう! さすが天さん、耳がいいね。さくらのサブタイトルん時の音だよ」

 天さんは、フルートをやってたからか、耳がいい。ちなみに、お義兄さんはピアノとトロンボーンだったそうだ。翼も、音感いいらしいんだよね。あたしに似なくてよかったよ。あたしったら、音感もリズム感もないからなぁ。


 「いや、耳っていうか…。どこから拾ってきた?」


 「CDに入ってた。ちなみに天さんからのメッセージの着メロは“ケロちゃんといっしょ”だから。好きでしょ?」


 「その情熱を何か別のところに…」


 「おっと、血液交換の時間だ」


 「逃げるな」


 「好きこそものの上手なれって言うでしょ? いいじゃない、欲しいものを自分で作って。DIYってやつでしょ」


 「DIYって、普通は日曜大工とかで使う言葉じゃないのか」


 「DIYって、Do It Yourselfでしょ? どこに大工って書いてるのよ?

  本当はねー、着信の画面でバードスクランブルとかアニメーションさせたいんだけど、やり方がわからないのよねぇ」


 「梓の場合、Doushite Itsumo Yogosunoの略だけどな」


 「天さん、そこでネタに走らなくていいから」


 どうせ汚すの上手ですよーだ。

カラータイマー

 ウルトラマン達の胸についている青い半球体の名称。ウルトラマンティガ以降、半球状でなくなった。また、ウルトラマンガイアではライフゲージ、ウルトラマンマックスではパワータイマーなど、呼称が違う場合もある。

 普段は青く光っているが、エネルギーが残り少なくなると赤く点滅して音が鳴る。梓が言っているとおり、この点滅音は、1人ずつ違っている。

 一般にはあまり知られていないが、元々ウルトラマンのデザインにはカラータイマーは存在しない。そのため、変身して登場するシーンのウルトラマンをよく見ると、カラータイマーがない。カラータイマーを付けたこと、目に覗き穴を空けたことの二点は、デザイナーの成田亨さんは後々まで不満だったらしい。

 セブンにカラータイマーがなく額にビームランプがあるのは、“後から変なものを付けられないように”と、成田さんが予防線としたためだそうな。

 とはいえ、今となってはカラータイマーはウルトラマンのアイデンティティの主たるものになっており、成田さんは忸怩たるものを感じていたのではないかと思われる。

 なお、カラータイマーが赤くなるだけでなく点滅するのは、放送当時、カラーテレビはまだ普及しておらず、白黒テレビで見ても変化がわかるように、という配慮だったとか。

 ついでに言っておくと、3分間という時間設定は「ウルトラマン」の本編では明言されていない。

 「ウルトラマンを支える太陽エネルギーは地球上では急激に消耗する。エネルギーが残り少なくなると、胸のカラータイマーが点滅する」としか言っておらず、活動時間3分間と明言されたのは、「帰ってきたウルトラマン」になってから。



ギルの笛

 この小話集ではおなじみとなった「人造人間キカイダー」の敵首領プロフェッサーギルが持つ笛。敵組織(ダーク)のロボットは、この笛の音によって操られる。

 キカイダー(ジロー)もまたダークで作られたロボットなので、この笛の音に逆らえないが、ジローには不完全ながら良心回路が内蔵されているため一応抵抗することができ、キカイダーになると良心回路の性能が上がるため、笛の音を受け付けなくなる。

 梓は、これを“仕事の指示を受け付けざるを得ない”という形で、鳴ると嫌な着メロとして使っていた。



獣奏剣

 「恐竜戦隊ジュウレンジャー」に登場するシリーズ初の6人目レギュラー戦士“ドラゴンレンジャー・ブライ”が持つ短剣。

 笛になっており、奏でる曲でドラゴンシーザーを操る。ドラゴンシーザーは普段は海の中にいて、召喚の曲で呼び出し、攻撃の曲で戦わせる。

 梓は、翼が家から電話をかけてくることを非常事態と規定しており、召喚の曲が聞こえたら飛んで帰るつもりでいた。



さくら

 「カードキャプターさくら」のこと。鷹野家は3人とも大好き。

 アニメで本編が終わると“ケロちゃんといっしょ”というコーナーがあり、天さんのお気に入りだったため、梓はそのコーナーの曲をメッセージの着メロに使っている。



血液交換の時間

 「人造人間キカイダー」に登場するキカイダーのライバル:ハカイダーは、頭部に光明寺博士(キカイダー、ハカイダーを作った博士)の脳が入っており、キカイダーが攻撃できなくなっている。

 ただ、この脳は単なる人質ではなく、ハカイダーの重要な回路の一部となっており、脳が死ぬとハカイダーの性能は戦闘員以下になるという。

 ハカイダーは、脳を生かしておくため、定期的に光明寺博士と接続して血液交換する必要がある。

 キカイダーを追い詰めるなどいいところで血液交換のために離脱するせいで、一向に決着が着かなかった。



バードスクランブル

 「科学忍者隊ガッチャマン」で、科学忍者隊のメンバーが左手首に付けているブレスレットは、通信機でありバードスタイルへの変身装置でもある。

 このブレスレットの五角形のプレートをトントンと(つつ)き続けると、鳥のような模様が浮き出てエマージェンシーコールが発信される。

 最終決戦では、戦闘で破壊されたジョーのブレスレットをレッドインパルスの隊員が応急修理し、バードスクランブルで健達4人を敵本部に呼び寄せている。

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