不機嫌
『大地よ、朝だ起きろ!』
声がして、起きる。寝心地の悪いベッドのせいで、身体中がバッキバキである。
『アルファか、どうしたんだ?』
欠伸をしながら、ここには居ない友の声に心で話しかける。これを、念話とも言うのだが……。
『おまえを、起こしただけだ。』
『ありかと……。うーん、眠いけど起きなきゃな。一応、冒険者ギルドに顔出ししないと。』
欠伸をまたして、着替えをすませる。いまだに、ジョブは無職だがレベルは173とかなり高い。
「とりあえず、あのカママスじゃなくてギルマスの所に行ってみるかな。」
そう言うと、部屋から出てご飯を食べる。
「あら、お出かけですか?」
看板娘のティアが、赤い表情で話しかける。
「あぁ、冒険者ギルドにな。」
笑って言うと、更に赤くなり慌てたように仕事に戻って行く。んっ?嫌われたかな?
すると、宿の女将さんが笑いながら言う。
「あんたも、罪作りな男だね。うちの娘を、こうも早く撃ち落とすなんて。」
「????」
俺がどう言う意味か、首を傾げてると女将さんは優しい目で去っていく。若いわねとか、言いながら。食事の準備が、忙しいらしい。
冒険者ギルドに、歩いて向かう。早朝の街並みや風景も、とても新鮮で賑やかであり良いものだ。途中に、屋台やお店をのぞきながら歩く。
「あの、昨日の事で来たんだけど。」
すると、受付嬢は奥に入っていく。
「お待たせ、ギルドマスターのプラムよ。」
「待ってないけどな。」
さり気なく突っ込み、椅子に座る。
「あら、可愛げの無い。」
「最高の褒め言葉だよ。」
ため息交じりに言う。プラムが、ムスッとする。受付嬢が、コーヒーとオレンジジュースを持って来て頭を下げると去っていく。
「さてと、じゃあいくつか質問に答えて。」
「良いけど、信じるかはあんたに任せる。」
素っ気なく言い、オレンジジュースを飲む。
「まずは、出身地と名前と年齢。」
「ここでの出身地は、魔物の森で名は大地。そして、年齢は、1500歳以上。」
プラムは、飲んでいたコーヒーを吹き出す。
「なっ、何ですって!」
「汚ぇな……。」
吹き出された、コーヒーを回避していう。ちゃかり、オレンジジュースを持って回避している。
「ごめんなさい、驚いて……。」
「あっそ。でっ、信じるのか?」
立ちながら、オレンジジュースを飲む。
「そうね、驚きだけど嘘では無いようですし。」
「そっか……。」
「じゃあ、ギルド権限で大地君……様かしらん?をCランク冒険者にするわん。」
「おい待て!そこは、一番最初のFランクからだろ?余計なことするなよ。」
上のランクに、上がるつもりは無い。貴族連中のごたごたやらに触れたくないからだ。
「仕方ないわね、大地様がそう言うなら。」
「いじめか?別に、ここの冒険者ギルドで登録しなくても俺は良いんだけど。」
不機嫌そうに、立ち上がるとスタスタと外へ向かい歩き出す。冒険者達が、立ち塞がるが一瞬ですり抜けドアを押し開ける。
「よお、不機嫌そうだな?」
「ガナン。まぁな、そっちは依頼か?」
「おう、今終わったんだ。良かったら、今から飯でもどうだ。俺が、奢るしな。」
純粋に、話がしたいと笑うガナンを見て少し考えてから話にのることにする。
「よっしゃ!待っててくれ、依頼達成の報酬貰って来るからな。あと、機嫌直せよ折角のイケメン顔が台無しだぜ。がははっ!」
慰めるように言うと、冒険者ギルドにはいる。