訳あり
セフィロト達は、気を失った大地を心配そうに見つめる。もう、夜があけてきている。
「なぁ、大地はこれからどうなるんだ?」
「分からない。僕にも、この呪いの効果が分からないしアルファでも無理なら大地に聞くしか無いよ。それにしても、起きないね……。」
「そうだな。そして、こう言う時に言うのもなんだが。寝顔は、年相応……じゃなくて、身体相応なんだな。何て言うか……その……」
「「「可愛い。」」」
3人同時に言って、頷き合う。
「んっ……」
大地が、目を覚ます。寝ぼけた視線で、3人を見てキョトンとしてから首を傾げる。
「大地の寝ぼけ顔とか、凄く珍しいんだけど。」
「いつも、コートのフードで隠してるからね。」
「ふむ、今日は良い日だな。」
三者三様な、反応を示す。
「大地、身体の方は大丈夫?」
大地は、あくびをして身体を見てから頷く。
「気絶して、そのまま寝ちゃったみたいだ。」
3人は、ホッとする。
「エリスの呪いも解けたし、予定通りレスケス王国に行こうと思う。ベルモは、どう思う?」
「良いけど、お前はまだ寝とけよ?」
「もう、じゅうぶん寝たよ。そう言う、ベルモこそ寝ろよな。俺を心配して、どうせ一睡もしてないんだろ?顔見れば分かるんだぞ……。」
心配そうに見つめる。すると、ベルモは苦笑して分かったと頷く。大地は、ニコッと笑う。
「大地、今の君はゴブリンより弱い。すぐに、いつもの通りにするから。」
2人は、頷いて呪文を言う。
「マジ?ゴブより低いなら、早く戻さないと。」
「はい、終わったよ。でも、この呪文は僕らにも負担をかけるから何回もは使えない。気を付けて。でないと、君は僕らに殺される事になる。」
すると、大地は真剣に頷く。
「ごめん、セフィロトそれにアルファ。」
「君のせいでは、無いけれど君はいろんなものに縛られ試されたりしているんだ。」
「セフィロト?今度は、何を隠してんだ?まぁ、言えないなら良いけど。」
「言えるけど……、言えるんだけどぉー……!!」
1人で、言った方が良いものの悩む。
「実は、聖域に異世界人達が来てな。」
「アルファ!?」
思わず、止めようとする。
「でも、2人がいるからには大丈夫なんだろ?」
「まぁな、お前の友である信次が追い出してくれた。おまえに、会いに来たと言ったが……。」
「良かった、やっと信じてくれたんだ。」
「……そうだな。」
「さて、2人も聖域が心配だろ?俺達も、そろそろ出る。また、何かあったらよろしくな。」
2人は、頷いて霧の深い森に消えてしまった。それを、しっかり見届けて歩き出す。すると、ゲンが現れる。大地は、挨拶をして近くに行く。
「大地よ、お前さんは今まで何処に居た?」
「森の中だけど?」
ゲンは、大地を見てからため息をつく。
「感謝する。少し、疲れておるな。」
「良いって。それより、俺達はもうレスケス王国に向かうからここでさよならだ。」
「待ってください!」
3人は、振り向くとエリスが旅仕度をしてる。
「エリス?えっと……、それは何だ?」
「私も、連れて行ってください。」
「断る。エリス、俺達は危険な旅をしてるんだ。おまえは、この村の次の村長でも有るんだろ?」
「それでも、ついて行くと決めました!」
大地は、困った。そして、大地は困って迷ったが傷付ける事にした。心で謝りながら。
「お前がいても、足手纏いでしか無い。たいした戦闘力も無いし、俺らの旅を邪魔するだけだ。」
「そっ、そんな……そんな風に言わなくても良いではないですか!あなたは、優しい人だと思っていたのに……この……悪魔!」
泣きながら、走って行ってしまう。
「大地、それで良い。お前は、悪くない。あの女は、お前の背負う運命を知らないからな。」
ゲンは、それだけで彼が訳ありなのだと理解する。大地は、俯いたまま微かに頷くと馬車に向かう。すると、女達が怒ったように来る。
「あんた、エリスちゃんに何て酷いこと言うんだい!どんな気持ちで、あの場にエリスちゃんが向かったがあんたにはわからないだろ!」
大地は、静かな瞳で女達を見つめる。
「それを言うなら、どんな気持ちで大地があの子を突き放すために傷付けたかお前らにはわからないだろう?あいつだって、辛かったんだぜ。」
ベルモは、素っ気なく言いため息をつく。
「あんたは、お黙り!あたし達は、このガキに言ってんだ!この子の意志とかは関係ないよ!」
「それってさ、たんなる押しつけだろ?あんたらには、エリスって子が可愛くて仕方ない。そうだろ?だから、大地の気持ちを知ろうともしない。これが、安全で楽しい旅なら大地は頷いたさ。でも、この旅はとても辛い旅だ。下手をすれば、簡単に死んでしまう。弱者は、生きられない旅。」
「ベルモ、もう良い。行こう………。」
「待ちな!なら、何で教えないんだい。」
ゲンは、ため息をついて言う。
「この村を、巻き込まんためだ。」
女達は、息を呑み大地を見る。
「俺は、残念な事に追われている。別に、悪いことをしたわけじゃない。ただ、力を持つ者には責任と義務がともなう。とある国王に、気に入られてな。まだ、追っては来ないけど行かないと。」
「まだ、あんたは子供なのにかい?」
「あぁ、忘れてた。俺、実は25歳(※本当の肉体年齢。)だから子供じゃねぇ~よ?」
例の、キラースマイル発動?
ズキューーーン
「ぐはっ……。かっ、可愛い……。」
「おまえ、無意識なのか!?無意識なんだよな!?でも、おかしいだろぉ!」
はい、発動してましたね。
「俺は、ただ笑っただけだぞ?」
キョトンとして、首を傾げる。
「これは、凄い力だのぉ……。」
ゲンは、うんうんと頷く。
「違ぇーよ!」
「力とは、この笑みじゃないのか?」
「否定できねぇけど、あいつがさっき言った力とは違ーう!勘違いするなぁー!」
「さて、ベルモ疲れたし行くか。」
「お前のせいだろ!」
大地に、思わず突っ込む。
こうして、レスケス王国に向けて旅立った。次はいよいよレスケス王国に入ることになる。




