聖域の崩壊
データが消えてしまって、遅れました(-ω-;)
セフィロトは、考えていた。自分のせいで大地に危険がおよぶのをどう回避すれば良いのか。
「アルファ、どうすれば良いかな。」
「大地のことだ、悩みながらも解決すると思うがな。それに、お前は大地に大事な事を言わない癖がある。そのうち、大地を苦しめるぞ。」
アルファは、真剣にセフィロトを見つめながら言う。次の瞬間、2人は立ち上がり聖域の結界の外を見る。その表情は、険しく神としての威厳がある。セフィロトは、武器を構えアルファは魔力をまとう。ガチャーン!
聖域が、異世界人に2度目の攻撃を受けた瞬間だった。アルファは、怒りに口をクワッとあける。セフィロトは、冷たい目で侵入者を見つめた。
「ようこそ、異世界人達。ここに、何のようかな?出来れば、帰ってくれると嬉しいのだけど…………無理そうだね。」
「神の子は、どこに行った。」
「答える事は無い。」
「神の子の血をよこせ!」
セフィロトは、プチンと切れた。
「いい加減にしてくれ!彼は、道具じゃ無いんだ……。もうこれ以上、彼を苦しめたくない。」
「セフィロト、落ち着け……。」
アルファは、なだめるように呟く。
「ごめん……。」
「なぜ、神の子の血を求める。」
アルファが、セフィロトのかわりに言う。
「あっちに、帰るための儀式に必要なんだ!」
「ふむ?それは、無理だぞ?」
キョトンとして言う。
「あの黒髪の女神が言ったんだ!」
「まさか、クリフォトか……。」
「何が、目的だと思う?」
「おそらく、大地の助けに入れないよう時間稼ぎだろう。そうなると、大地が心配だが……。」
セフィロトは、イライラを押し込む。大地の事は、心配だがここを動くわけには行かない。
「アルファ、結界を修復する暇はなさそうだ。」
「さて、久しぶりに暴れるか。」
「僕としては、暴力を振るうのは嫌なんだけど。少しは、痛い目にあわないと帰らないよね。」
これ以上、生命の樹に近づけるのはまずい。
セフィロトは、動いた。森の精霊や植物に、命じて異世界人を捕らえるようにと命じる。すると、アルファも雄叫びを上げ配下の古龍を呼び寄せる。古龍たちが、答えるように雄叫びをあげる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
森の中を歩く、考え事をするのにはちょうど良いと思ったからだ。ベルモは少し心配そうにしていたが、クリフォトがこの森に居るのを思い出し警戒して大地の背中を追いかける。
「こんばんは、我が愛しいジェノイアの器さん。少し、私と話しませんか?」
「クリフォト……。」
大地は、ポツリと言うとため息をつく。
「下がれ、大地……。」
構えるベルモ。夜の月に、3人はてらされる。
「子猫ちゃん、貴方がいくら頑張っても私には勝てないわよ。それより、私はジェノイア様に用があるの。さぁ、器の子よジェノイア様を出せ。」
いきなり、大地を木に叩きつけ笑顔で言う。呻く大地と、慌てた声を上げるベルモ。
「さぁ、早くジェノイア様に変わりなさい。」
「もし変われば、契約しているセフィロト達に迷惑がかかる。だから、変わることは出来ないよ。それより、お前からこちらに来るなんて珍しいな。今度は、何を企んでいるんだ。」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
激戦のなか、その人物は現れた。美しい金髪で金色の瞳。そして、その瞳は悲しみがある。
新たな神王、その人であった。
「この地は、お前達の居て良い場所では無い。」
「「神王様!?」」
「お願いだ、俺達をもとの世界に戻してくれよ!もう、こんな世界嫌だ!」
それに反応して、神王に怒鳴る異世界人。
神王は、悩んでいた。もし、この者達を帰せば数億年の深い眠りについてしまうだろう。しかし、そうなれば神々をまとめる神がいなくなる。
そして、悩んだ果てに神王は決めた。
「彼に、決めて貰うか……。」
ポツリと言うと、セフィロト達を見てからすまなさそうにこう言い放ったのだ。
「神の子は、ここには居ない。彼は、この世界の者達と紛れて生きている。彼を見つけ、彼の叶え人の力を通して願った者だけを帰してやろう。」
「「神王様!!」」
思わず、怒ったように2人は言う。
「まぁ彼には、迷惑かけるけど。彼も、もとはといえば異世界人だ。全員は、帰してやれないけど半分くらいは帰せる力が今の私には有る。」
神の子が、異世界人だと知りざわめく異世界人達。こういう設定は、小説ではたいてい最強チートな主人公のポジションだからだ。
そして、それは間違ってはいない。
今の大地が、全ての力を解き放てばこの場にいる全ての異世界人が全員で襲ったとしても勝てないぐらい強いのだから。
その力は、神王にも比肩する。周りの神々の中には、大地の力を封じ込めてある今のうちに殺すべきだと意見も出たのだが神王は却下した。
何故なら、そのせいで彼が堕天したら誰がどうゆうふうに責任を取るのだと言ったからである。ここでの、無責任な話はやめてほしいと。それに、彼の中にはジェノイアが居る。大地が死ねば、喜んでジェノイアはその身体を奪うであろう。
その事もあって、殺す案は消えたのだ。
それに、監視していた神々も大地の可愛げの無い猫のようで実は優しく面白い所が気に入ったのもある。神々の間では、容姿のことも気に入ったよういんなのは間違いないがその会話はここでは話さない方が良いだろう。神の威厳とか、そういったものが崩壊しかねないからだ。
異世界人の中から、信次が出て来て異世界人達に言う。もともと、信次は大地に会いに来ただけなのだ。居ないと知って、残念な気はするがこの場から去らない異世界人達の背中を押す必要を感じた。それが、大地のためになると思うから。
「お前ら、いつまでここに居るつもりだ?神の子探しを、する必要があるなら探せば良いだろ!」
「お前は、悔しくないのかよ!」
「やっと見つけた方法が、無駄になるんだぞ!」
「あのさ、それって本当にあってる情報なのか?俺からしてみれば、怪しさの塊だと思うけどなぁ。よく考えろ、今まで必死に探してたのに急に他人からこんな簡単に情報が得られる訳が無いんだ。たぶんお前らは、あの女に騙されたんだ。」
「じゃあ、何でお前はここに来たんだ。」
「友人が、ここに来たかもしれないから探してたんだ。お前らに、まざっているかと期待したけど……居なかった。だから、俺は帰る。」
「お前は、帰りたくないのかよ。」
「帰りたいよ。でも、帰るなら友人達5人で帰りたい。だから、バラバラになった仲間を探す。」
そう、悲しそうに笑って森を去って行った。
それを見て、少しずつではあるが異世界人が去って行く。セフィロト達は、ホッと息をつく。
「それにしても、大地は大丈夫だろうか。」
セフィロトは、心配そうに呟いて大地のもとに急ぐ。嫌な予感を、凄く感じながら。




