命の草と神の子の鮮血
ため息をつき、刀でナイフを弾く。すると、弾いた瞬間にナイフが粉々に砕け散る。息を呑み、慌てて大地から距離を取る信次。
「出来れば、殺したくない。」
「うるさい、偽物!」
怒鳴る信次。
「ロクに戦えない俺を、魔の森に置いていった癖に偽物扱いかよ。そうか、もう良いや……。」
信次以外、ドミアと一緒に皆殺しにする。信次は、撤退する。殺意を、こちらに向けながら。
「大地君……。」
「さて、奈落の谷に行くぞ。」
悲しげに、言うと歩き始める。
「彼を、知ってるんですか?」
少し、聞き辛そうに言う。気付いたな……。
「まぁな、元友達だった……。」
「てっ、事は……あなたは……。」
俺は、何の事だとばかりに笑うと加速の魔法をかけて走り出す。疲れるな……。
「ほら、スケルトンの群れに突っ込むぞ!」
「まって、大地君!」
暫くたつ。
「し、死ぬかと思った……。」
「これで、2つ目だな。」
「次は、魔物の森ですか?」
すると、俺はアイテムウィンドウから聖樹の枝とアルファの鱗を出して渡す。
「えっ、ええー!」
「俺は、魔物の森の出身だからな。ただ、神の子の鮮血なんて知らない。」
どうしたもんかと、ため息をつき考える。
「そっ、そんな……。」
『いいや、神の子は居るぞ。』
『でも、あの結界にはアルファとセフィロトと俺しか居ないんだよな?』
『はぁ……。もしかして、現実逃避してるか?』
ため息をつき、呆れた目で見ている気配。
まさか……。そんな、まさかな……。
いや、俺は異世界人だし神の子だとかあり得ないだろ?そもそも、俺って神様っぽく無いし。ステータスにも、人間だって書いてある。
『確かに、お前は異世界人だし人間だ。しかし、お前はあの結界の中で生きていられた。ちなみに、あの結界の中で生きていける人間はいない。つまりだ、お前はどこかで神王の血を受け継いでいることになる。諦めて受け入れろ。』
「………っ!?」
思わず、驚いてしまう。
「大地君?」
「えっ、ああ……。とりあえず、血はどうにかなりそうだ。城へ急ぐぞ。」
「本当ですか!分かりました、急ぎましょう。」
2人で、城へ向かう。俺は、こっそりナイフで腕を傷つけ血を瓶に少し入れるとドミアを追いかける。肌を切り裂いたのに、本当に痛みがしない。それに、傷がキレイに消えていく。
なんか、人間さが無くなってきたな。
俺達は、数日かけて城につき王子のもとに通される。王子は、虚ろな目でドミアを見ている。
これは……
『お前なら、治せるぞ。』
『それは、最後の手段だな。』
ため息をつき、医者に素材を渡すドミアを見る。




