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異世界最強の冒険者  作者: 隣の黒猫さん
10/28

奈落の谷への道のり

さて、奈落の谷に到着!とは言え、今日は離れた場所で休んで明日から向かうか。


「大地君、奈落の谷に行かないんですか?」


「あぁ、時間帯的にアウトだ。奈落の谷は、アンデット系の魔物が多い。そして、夜は活発だから行けば無駄な体力を使う。だから、日が昇ってから行こうと思う。それで、良いか?」


木に身体をあずけ、コーヒーを飲みつつ言う。


「はい。あの、何でそんなに詳しいんです。」


「秘密だ。」


まさか、恩恵の全知全能のせいとは言えない。だから、魅了(チャーム)を使ってから子供らしくない笑み言う。ドミアは、顔を真っ赤にすると鼻を抑えてそのまま寝てしまった。やり過ぎたか?


次の日の朝……。


「はっ、僕は昨日どうして……」


起き上がり、昨日の事を思い出し赤面する。大地君は、朝は苦手なのかまだフードを深くかぶり木に背中をあずけて寝ている。


「まったく、性格はともかくあの容姿は恐ろしいほど美しいですね。やられました……。」


ため息をつき、大地を見る。表情は、見えないけれど……可愛いんだろうな寝顔。


「………んっ。」


小さく呻くと、頭が寝ぼけているのかすこしぼーっとして伸びをしてから僕を見る。


「おはよ。」


フードを外し、立ち上がる。


「それにしても、魔物1匹も襲って来ませんでしたね。ここらは、魔物は居ないんですか?」


「居るよ。ただ、俺の魔法でどうにかしてる。」


訂正するならば、魔法なんかじゃない。


今の俺は、アルファに言われて自分に制限(リミッター)をかけている。それでも、駄目だと言われたので自分で魔力の気配(オーラ)を隠してもいる。そして、ドミアが気絶したのを見てこれはラッキーとばかりに自分で隠していた魔力の気配(オーラ)を解放したのだ。それだけで、命の危機を感じた魔物は一目散に逃げ出したのだ。


「なら、安心ですね。」


「まぁな。でもアンデット系には、危機感を感じる力が無いから効かないんだよ。」


欠伸をしながら言う。


『まったく、お前は優しすぎる。』


アルファが、ため息交じりに笑う気配がする。


『褒め言葉と受け取っとく。』


『褒め言葉だと思うけど。』


セフィロトの、優しい笑みの気配がする。


『なぁ、質問いいか?』


『何だ?』


『お前らが守りし、神の子って居るのか?』


2人は、目を合わせてからため息をつく気配。


『あの森の結界には、我らしかおらん。』


『つまり、居ないのか?』


『『…………。』』


『マジか……。』


2人が、複雑そうな表情をしているのだが気づいていない大地。2人は、ため息を漏らす。


「大地君?おーい、大丈夫ですか?」


「あぁ、大丈夫だ。少し、眠たいだけだ。」


内心は、少し驚いて頷く。


「はい、コーヒーいれました。」


「俺のこと、信じないんじゃないのか?」


ため息交じりに、コップを受けとる。


「もしかして、毒が盛ってあるとか?」


ジィーと、コップを見る大地に……


「そんなわけないでしょ!というか大地君、君にとっての僕の評価はその程度なの……。」


「もちろん、冗談だ♪」


暢気に、コーヒーを飲む。


「やっぱり、君は嫌いです!」


大地は、ただ笑うだけだった。

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