「意識の海にて」
「やあ。退屈していたんじゃないかな?喜んでくれ、新しい仕事だ。」
ん、確かに退屈していたよ。
それで、今回はどんな世界?
「今回、転生反応光が観測されたFd27528世界は、剣と魔法のいわゆるファンタジー世界だ。
しかも珍しいことに、キミの器はFd27528世界では有数の上質な肉体として適応できそうだよ。
どうだい、わくわくしないかい?」
そりゃあいいね。悠々と、ファンタジーライフを満喫できそうだ。
じゃ、続きを頼むよ。
「オーケー。まず、今回の予想滞在猶予期間は約100日間。
この100日の間に転生者を排除することがキミの任務なわけだけど、残念なことに転生者が誰かは未だ特定できていない。」
絞り込みはどの程度?
容疑者が1000人を超えているような任務はもうこりごりなんだけど。
「今回は二人まで絞り込めているよ。ただし、いまさら言うことじゃあないかもしれないけれど、注意点もある。」
個々の世界への歪な干渉を正すことが目的だから、決して転生者以外の人間を殺害・消滅させることのないように。
……確かに、いまさら言うことじゃあないね。
「うん。まあ、そういうこと。ほかに何か質問はある?」
いや、今は大丈夫かな。大まかな流れさえわかればそれで。
容疑者情報なんかの詳細は、また現地の肉体に添えておいてくれないかな。
「了解。それじゃ早速、いってらっしゃい。幸運を祈るよ、エージェントAa004。」
ん。いってきます。