0.始まりの予兆
「ゲームの中に入りたい」
「現実見て欲しい、初は」
俺の妹の初に、俺の願望を指摘される。初だって「こんな恋愛してみたいな」って妄想してるのに。俺だけ否定されて不公平。
リビングでゲームしてる俺は、ちょくちょくこんなこと思うときぐらいある。と言うか、夢を見させろ初ちゃんよ。あんただって夢見てるんでしょうが。
「兄ちゃんって、クラスにいるキモいオタク男子と思考が似ててウザい。消えて欲しい」
「いや...俺はオタクじゃないし?」
ゲーム&アニメ好きだからって、オタク呼ばわりするのはすごい腹立つ。~オタクってのはただ好きなだけじゃなくて、その事についてヤバいくらい追求して、知らない事なんて何一つない状態を言うんじゃないかって俺は思ってる。
俺なんかにわかに過ぎない。
「どう見てもオタクじゃん!」
「うるせー、アホ」
オタクの定義でも教えてやりたい。…知らないけど。
俺は再びゲームに集中する。テレビゲームだから、初もテレビ見れなくて暇してるわけで俺にちょっかいかけて来るのも仕方ない…わけでもないけど、仕方ない。
「いっつもそのゲームしてさぁ、そんなにストレス溜まってるの?そんなに人を撃ってストレス解消したいの?」
「違うけど」
今サバイバルゲームをしてる最中。確かに銃で人を撃ちまくってるけど、これでストレス解消できるかって言うとできるわけない。これでできるなら、今俺は疲れたりしてない。
「うわっ」
少し初に気を取られてしまい、殺られてしまった。
「なーに殺られてるの~?」
「くっそ…」
プププ~、と頬を膨らませて笑ってきた。うぜぇ。
「ほら、早くやりなよ」
「お前なぁ…」
何事もなかったかのように初は言ってきた。
こうしてやり続ける事、早3時間。少し動こうとしたら何か、右肩に重みを感じた。見てみれば初が寄り掛かって寝ているじゃないか。
「何でここで…」
今までこんな漫画みたいなハプニングなんてなかったのに。とうとう初は俺に心を開いたのか。…ちなみに、膝枕なら昔してた。
「初、避けて」
「ん~…」
「ほら、避けろ」
「んん~…」
「あぁーっ!」
起きなさすぎてイライラする。
「こんの野郎~」
なんとか避けた。床に寝かせつけた。
俺は、何をしようとしたのか忘れたので再びゲームをする。
このサバゲーの中に入りたい。サバゲーじゃなくても、ゲームの中に。学校や日々の生活に不満があるわけではないけど、いや、不満があるからゲーム世界に行きたい言ってるのか?
とにかく、神様。俺を異世界に連れてってくださいよ。なんかつまらないんですよ、神様。本当に…。
この物語考えてるときワクワクしてました。