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道(タオ)戦略的老子の解釈  作者: 公心健詞
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正しい政治家の見分け方

今回の内容は

20世紀の日本人―アメリカ黒人の日本人観 1900‐1945 単行本 – 1995/8

レジナルド カーニー (著), Reginald Kearney (原著), 山本 伸 (翻訳)

を参考にしました。

実際に二十世紀にアメリカに渡った一人の日本人が黒人手を組んで世界を変えようとした栄光と挫折の歴史がそこにあります。

アメリカの白人がいまでも日本人を恐れ力をそぎ落とそうと執拗に謝罪と反省を求める背景には、たった一人の日本人がいました。

「だからそれがどうした!お前らが東洋人が我々に何をしてか知っているのか!」

 初老の黒人の男性が声をあらげて机を叩いた。

「分かってますよ。その上で建設的な話しをしたい」

 冷静な顔で本多正子が言った。

 関が原の合戦で勝利を得たあと、本多正子はひそかにアメリカに渡った。アメリカロバ党の支持者たちにアメリカゾウ党の候補であるミッキー・ポーカーを支援するよう訴えるロビー活動をするためだ。

 しかし、黒人の支援団体を中心にゾウ党への不信感は強い。

「結局お前らはあの大金持ちの右翼の金持ちの手先なんだろ。お前ら東洋人は、いつも俺たち黒人を搾取してきた。俺の母親はニューヨークのネールサロンで働いていたが、東洋人はいつも椅子に座って雑談をしていた。母親はいつも立ちっぱなしで食事もたったままさせられた。少しでも黒人同士で離していると殴られた。そりゃ地獄さ。俺もさびしくて母親に会いにいったら、黒人は店に入るなって東洋人に怒鳴られたよ。お前らは白人から金をもらって、俺たち黒人やヒスパニックを虫けらのようにあつかってきた。そのお前らがやることは白人の利益のために黒人を騙して奴隷つして死ぬまで酷使することだ」

「だから、それを変えるために1%の金持ちから献金を受けていないミッキー・ポーカーに投票すべきなんです」

「信じられないね、社会主義者のエレキなら信じられたが、ミッキーは不動産王の息子の大金持ちだろ?そんな奴をどうやって信じろってんだ。お前も白人に洗脳された右翼なんだろ?」

「その右翼とか左翼という考え方自体が白人の奴隷なんですよ」

「なんだと、俺が奴隷だって言うのか」

 男は激昂して正子の胸倉をつかむ。横で護衛の兵士が刀に手をかけるが、正子は黙ったまま手でそれを静止する。

「そもそも色々なデコレイトがついているものの、右翼の本質は自由解放主義。市場をなんでも開放して、世界中で強いものだけがいきのこればいいというもの。左翼とは市場を閉鎖してとにかく物を出さない。いくら物不足になっても、物価が高騰しても、市場を開放しない。そうした状況をつくりだすために、やれ愛国心だ、やれ人権だと尾ひれ、背ひれをつけて、民衆を騙して扇動する。その実態は市場を占拠する1%の金持ちの経営する業態を維持するための詭弁にすぎない。その詭弁を正当化するために、スポンサーという名の1%の富裕層に雇われたマスコミが、国民を洗脳する装置。それが、マスコミであり、報道であり、テレビであり、ラジオであり、新聞であるわけです。その1%の金持ちの手先として、自分にとって何の利益にもならないマスコミが作り上げた妄想に踊らされて、代理で殴り合いしているのが、思想庶民。しかし、本当の国民の利益を考えれば、デフレが加速すれば、市場を閉鎖して公共投資をおこない、景気を回復させて、国民に利益を還元し、景気が過熱しすぎて物価が高騰すればインフレを抑制して、市場を開放し、物価をさげる。そうして、均衡のとれた経済状態を維持する。風呂は暑すぎればは火傷しますが、冷たすぎれば、風邪を引きます。国民にとって利益になる経済とは、常に中庸であるべきです。しかるに、駄目新蔵は過激な緊縮財政を行い、公共投資を削減し続け、わざとデフレを促進させ、そのうえ消費税の増税を行い、1%の金持ちの利益のためだけに政治をおこなった。多くの人が失業し、自殺し、子供は餓死し、内戦が起こっても、緊縮財政を行い、増税し、公共事業を削減した。そして、マスコミは、税金の無駄遣いをするな!とテレビでさけび、国家財政が破綻するぞ!と嘘をついて1%の金持ちのためにデフレが促進するよう、国民を騙し続けるプロパガンダをやりつづけ、表面上は駄目政権を批判しつつ、実際は駄目政権の政策が正しいと国民に思わせるプロパガンダをやりつづけた。その結果が現在の悲惨な内戦状態の日本です。アメリカも、このままでは日本のように内戦が勃発する。それを食い止めるためには、1%の金持ちから金をもらい、デフレを促進する政策をとるほかの候補者ではだめなんです。もっとも、このデフレ抑制策を訴えたエレキは暗殺されました。そうなれば、1%の金持ちのためにうごいていない政治家はポーカーしかいないのです。駄目新蔵がデフレを促進する増税と緊縮財政をやり続け、日本を地獄の陥れたのと同じことがアメリカで起こるのです。どうか分かってください」

 黒人の男は正子から手を離した。

「感情的になって悪かった。だが、俺たちがいかに東洋人からひどい目にあってきたか、その事もしってくれ。俺の父親はヘアーウイッグの製造販売業の社長だった。素晴らしいヘアーアイロンの生産技術をもっており、毛染めの製品もすばらしいものだった。しかし、東洋人たちはおれたち黒人を市場から排除し、なかなはずれにし、商品を売れないようにした。白人から支援されて、金をもらって、起業した東洋人たちが俺たち黒人がつかうヘアーウイッグ業界を全部占領しちまいやがった。そして、俺のオヤジの会社も東洋人資本の会社にボイコットされてつぶれちまった。それから、俺たちは奴隷のように東洋人に使われてきた。このアンフェアなやり方、汚さが分かるか。お前ら東洋人はいつもそうなんだ」

「でも、その東洋人の会社の株式は全部白人がもっているんでしょ?いくら金を稼いでもその金は白人の手に入る。東洋人は黒人から恨まれて、憎まれて、わずかな金を手にして毎日生活するだけで精一杯。1%の大金持ちは働きもせずに、毎日遊んで大金を手にしている。我々はそれに気づいたのです。だから、今こそ、その1%の金持ちからアメリカの庶民は脱却しなければならない。アメリカ人が悪いのではない。アメリカの庶民自身が犠牲やなのです。だって、日本で300円で買える虫刺されの軟膏がアメリカでは2万円もするんですよ。ばかげている。

 その300円の軟膏の残り1万9千700円は1%の大金持ちの懐にはいっているんですよ。こんなこと、どうかんがえてもおかしい」

「一つ質問していいか?」

「何で、何の利益にもならないアメリカの黒人のためにあんたは大金をはたいてアメリカ中とびまわって動いてるんだ?」

「それは、金より大事なもののためです」

「なんだそれは?」

「命です。我々は、紛争がおさまりかけると、アメリカの謀略によって指導者が殺されたり、拘束されて、混乱が激化し、新たなる内戦が深まった。それの繰り返しなんです。新しく、アメリカの国民のために動く人が大統領になれば、もう、1%の金持ちのために世界中で戦争しまわったりしないでしょ。私たちもこれ以上日本人同士で殺し合いをしなくてもすむ」

「しかし、殺されたエレキならまだしも、ミッキーがそんなことしてくれるという保障はあるのか?」

「保障はありません。しかし、ミッキー以外の政治家が大統領になれば、いままでどうりです。黒人は奴隷として酷使され、警察官が捕まえて首をしめて殺しても無罪になり、300円の軟膏を買おうとおもえば2万円請求される。そんな地獄がこれからも続くんですよ」

「……うーん、今日はあえてよかったよ。こうやって会って話すことによって、お前らの考えていることがわかった。俺たちの敵は、近所のティーパーティのオヤジじゃなくて、1%の大金持ちだってことだ」

「そうです。その事実が見えてくればおのずと選択肢はかぎられてきます。悪い政治家は緊縮財政をおこない、消費税増税を行い、意図的にデフレを促進する政治をしている政治家。選ぶべき政治家はデフレ抑止政策をとる政治家です。口先で、愛国心だの、道徳だの、国民の誇りだの、言っていても、デフレ促進策をやっている政治家は、口先だけの詐欺師です。誰を選んでいいかわからない時は政党ではなく、この部分で政治家を見極めてください」

「わかった、デフレ促進策だな。具体的には消費税増税、緊縮財政、公共事業削減を行っている政治家が悪い政治家だな」

「はい。ただし、これは現状、極度のデフレ状態の時の事です。インフレの時はまた別の処方箋があります。それままた別の機会に」

「うん、わかった、知り合いにもお前に教わった政治家の見分け方を拡散するよ」

「よろしくお願いします」

本多正子と黒人の男性は固い握手をかわした。

そして戦いは続く。

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