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道(タオ)戦略的老子の解釈  作者: 公心健詞
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戦いの現実

赤坂見付の病院でずっとボランティアをしていた武士、しかし、そこに

都庁郡が来襲した。

「あ……ありがとう」

カトリーヌは顔を赤らめながらいった。

「よかったね退院できるようになって」

武士は微笑んだ。

赤坂見付にある病院にカトリーヌは担ぎ込まれた。神楽坂からは一番近い場所にある外科がある病院だった。

しかし、神楽坂で大敗北したレジスタンス軍の防衛ラインは大きく後退し、赤坂はまさにその

最前線だった。いつ敵が攻めてくるかもわからない。しかし、レジスタンス側は赤坂に敵は攻めてこないと見ていた。

ここの付近には大きな森林と池があり、その後方に九段坂も広大な陣地や堀があるだけの場所だ。

防衛拠点としても守りにくいし、戦略上の利点もあまりなかった。しかし、念のため、早くカトリーヌを

退院させることになっていた。

「もうちょっとゆっくりしていってもいいのに。無理は禁物ですよ」

甲斐甲斐しくカトリーヌの世話をしてくださった看護婦の祖父江さんが優しく微笑んだ。

「おお、すごい回復力だねえ」

委員長の荒川さんが様子を見に来てくださった。優しくて温和な院長さんだ。

本当に優しくて思いやりのある人たちだった。カトリーヌが入院している間、ずっと武士はこの病院に通い、

そこで無償ボランティアとして病院の手伝いをしていた。

祭童の弟のカツはせわしなく武士を戦場に送るよう祭童をせかしていたが、祭童はあくまでも

武士の意思を尊重していた。武士としては戦場で人ろ殺すよりも、この病院でのボランティアが気に入っていた。

祭童の周囲の人たちと話しても武士の気持がわかってくれる人はいない。この、人の命を救う仕事をしている

人たちであれば、きっと武士の気持が分かってくれるのではないかと武士は思った。そして、

熱心に病院の人たちに、都庁軍の話し合いをするように説得した。しかし、みんな呆れて誰も武士の言葉に

耳を傾けるものはなかった。しかし、優しい祖父江さんだけは、にこやかに武士の話しを聞いてくれた。そして、

しだいに、武士の言葉を信じるようになった。祖父江さんは武士に賛同し、院長さんに涙ながらに訴えた。

祖父江さんの真剣な熱意に心打たれた院長はしだいに武士の考えに賛同するようになっていった。

武士はカトリーヌが退院したあとも、ずっとこの病院でボランティアを続けた。

そして、いくら祭童から説得されても、軍で働くことを拒絶し続けた。

そんなときである。

都庁軍がやってきて、いきなりレジスタンスと交戦をはじめた。戦闘ヘリが次々とレジスタンスの兵士を機関銃で

なぎ倒す。

武士は、ひそかに祖父江さんに読んでもらおうと思って、新作の恋愛小説をリュックに詰めて病院を訪れていた。

それまでであれば、医師であれ、都庁軍が来れば動けない病人は放置して逃げ出すのが常であった。今回も、

戦闘がはじまるとほとんどの医師が逃げた。しかし、武士に平和の大切さを教え込まれていた祖父江と、荒川院長は

その場にとどまった。そして、ヘリで、都庁軍の指揮者が地上に降り立ったのを見て、

祖父江さんと荒川院長は話し合いをするために、その指導者に近づいた。

その指揮者はすらっとした男前の若い美男子だった。穏やかで綺麗な顔立ちの人だったので、悪い人ではないと

祖父江さんも院長も判断したのだろう。

しかし、その指導者は

何の躊躇もなく、その二人を射殺したのだ。

武士は体中の血が逆流した。これまで平和の大切さを説得しつづけた日々、誰からも相手にされず、祖父江さんが

にこやかに話しを聞いてくれたことに感動した思い出。そして、きっと彼女なら自分の書いた小説を

面白いといってくれると思い、ひそかにもってききた新作小説。

「うあああああああああー!」

武士は敵の指揮者に突進する。もう小説なんてどうでもいい、祖父江さんはもういないのだ。

武士は自分の小説をその場にぶちまける。それは、その場から離脱するために急上昇した戦闘ヘリが巻き起こす

上昇気流に巻き上げあられ、上級にまいあがり、ヘリコプターに張り付いた、

武士の書いた原稿が張り付いたヘリの乗組員は悲鳴をあげて、頭が破裂して死んでいった。

武士にとって、最高傑作の面白いおだやかな恋愛小説のつもりだったのに。もし、祖父江さんに見せていたら、

祖父江さんも死んでいたかもしれない。なんともいえない苛立ちと怒りで武士の頭の中が

グチャグチャになった。その怒りを指揮者にぶつけるが、相手は機敏でなかなか倒せない。

そこにこげ茶色の鉄仮面の男が割り込んできた。その男は、手に持ったオタソードを武士に向けて振り下ろしてきた。

ガシッと音がした。気がつけば、武士は手にオタソードをもっており、鉄仮面のオタソードを受け止めていたのだ。

そうだ、怒りにまかせて武士はオタの暗黒面の力を使い、どこからかオタソードを引き寄せ、すでに先ほどから

振り回していたのだった。我にかえって周囲を見ると、無数の都庁軍の死体があたりに散乱している。

武士は愕然とした。

そこに、都庁軍に寝返った山口鳴海、山口大高親子の軍が到着する。

「どうなさいました、ユーベルトート様」

「おお、山口殿、大変です!この若者が病院を襲撃して、話し合おうといっていた病院の院長と看護婦さんを虐殺したのです!」

大声でそのこげ茶色の鉄仮面が叫んだ。

「ち、ちがう、僕はなにも」

「その手についた血はなんだ!」

ユーベルトートが叫ぶ。

武士は自分の手を見た。先ほどの戦闘で、武士の体にはべっとりと都庁軍の兵士の血が染み付いていた。

「この鬼畜の人殺しめ!」

「そうです!この加害者どもには人の心はないのです!こいつらは皆殺しにするしかないのです!」

ユーベルトートが叫ぶ。

「この人殺しめ!」

「鬼畜め!」

 山口親子の軍がたった一人の武士に襲い掛かる。

「うああああああああー!」

 頭が真っ白になった武士はオタソードを振り回し、山口軍の兵士たちをめった切りにした。

その間にユーベルトートと都庁軍は撤退した。

気がつけば、山口軍の大部分を武士一人で切り殺していた。

「ひ、ひい、人殺し!」

 山口親子はひるんで後ずさる。

「ち、ちがう、話し合おう、ちがうんだ」

「よるな!人殺し!鬼畜!」

 山口親子は罵声をあびせる。

「なんだよ……なんだよこれ!俺が何したってんだよ!腐ってやがる!世の中くさってやがるぜえええええええ!」

 武士は怒りにまかせて叫んだ。

「ひいいいっ」

 山口親子も山口軍の兵士も圧倒的強者である武士に怯え、すでに戦闘意欲を喪失している。

「いけよ、はやくいけ!」

 武士が大声で怒鳴ると、山口親子は泣きながら逃げていった。

 武士はただ、その場に呆然と立ち尽くすのであった。


 それからしばらくして、武士は秋葉原の本部で祭童や前田たちとテレビを見ていた。そこでは、神妙な顔で

山口親子が記者会見をしていて、赤坂見附の病院襲撃、大虐殺は自分たちがやったと宣言し、謝罪と賠償をすると

記者会見をしていた。自分たちの軍の関与を認める証言をしていた。

「あー、やっちまったな」

生ぬるい声で前田がいった。

その共同記者会見で山口は自分たちは罪を認めるかわりに、司法取引で無罪になることも発表した。

しかし、民衆はその不条理な判決に激怒し、都庁に対してデモを起こし、怒りに暴発した市民が暴動を起こすに

至った。この事態を収拾するために、都知事は緊急事態宣言を発令。漸減を撤回し、山口親子を

人道に対する罪で処刑すると発表。美男子で聡明な都知事は市民から熱狂的な歓迎を受け、英雄として称えられたのだった。

山口親子は処刑前に縄で縛られ、市中引き回しになり、罵声を浴びて腐った玉子を投げつけられ、

泣きながら町中を引き回された。

「罪をみとめたら、いさぎがいい、世界中が感心して褒め称えられるって言われたから、自分たちがやったと言ったのにっ……、世界中が私らを尊敬し、人道主義者として世界から称えられるはずだったのに……」

泣きながらそんな事を言っている映像が報道されていた。

「ぎゃはははは、バーか、バーか!」

 木下良太がそのテレビを見て指を指して笑っていた。山口ヒルダは悲しそうな顔をしていた。

「きっとこれ、嘘だよ、だってあの叔父さんとても優しい人だったもの。そんな……病院大虐殺なんてしないよ……」

 ヒルダは一人つぶやいていた。

「そうだね」

 武士はヒルダの横にすわってヒルダの頭をなでた。ヒルダの目からポロポロと涙がこぼれ、武士にすがって泣いた。

 武士はヒルダの頭をずっとな撫でていてあげた。

 武士は……戦いを決意した。


あまにの悲惨な現状、話し合いが通じない都庁軍を見て、

武士は戦いを決意するのだった。

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