やる夫降臨!
この東京都は実はやる夫の支配する世界だった!
ついに繰り広げられる壮絶な大バトルの幕開けだ!!!
テレビの前に写っている頭の薄いめがねをかけた真面目そうなおじさん。
誠実そうな顔立ちの人が真剣な顔で訴える。
「私たちは被害者なのです。長年にわたってレジスタンスの迫害をうけ、罪もない人たちが暴力に怯えてきました。
このまえ阿保神やる夫閣下が皆殺しにした小学校の生徒たちも全員、そうした卑劣な犯罪者であったのです。
私たちは被害者です!これからも阿保神やる夫都知事閣下の下、世界平和の祈りをささげましょう」
それを、ふかふかの椅子にこしかけて大型テレビでゆったりと見ている人物がいる。周囲に女をはべらせ、
高級ワインに舌鼓をうつ。
「はい、やる夫ちゃん、あーん」若いケバケバシイ化粧の水商売の女が箸で料理を男の口に運ぶ。
「はい、あーんだっぺ、はむっ、やっぱ都会のメシはうんめえなあ、オラの田舎とは大違いだあ。都知事選立候補してよがったー。まさかオラが通るとは思わなかったっぺよ」
コンコンとドアをノックする音がする。
「入ってええよ」
「恐れ入ります」
部屋に入ってきたのはユーベルトートだった。
ユーベルトートはテレビ画面に顔を向ける。
「国会議員の有田みかん先生ですね。この方はお味方がやったことなら、
どんな惨たらしい暴力でも正当化してくださるから助かる。しかし、小学校で虐殺はまずかったですな。阿保神都知事閣下。クレーム対応が大変な事になっております」
「なあに、インターネットだけ遮断しておけば大丈夫だっぺ。地上派は広告費さえ出しておけば何しても絶対批判して
こないっからよ」
「では、せめて、空挺師団を使うのはやめてください、貴重なガソリンと弾薬の浪費になります」
「金はくらでもあるっぺ」
「金の問題ではありません、物流の整備を何百年もおこたったため、まとこにガソリンも弾丸も入ってきません。
ですから末端の兵士は弓矢、槍刀で戦う始末。いざという時の決戦のためにガソリンの機関銃の弾丸も
温存しておかねばなりません」
「こまけえ事は気にスンナ」
その時である。
「大変ですぜ、旦那!今日はすげーいい風がふいてやすよ」
迷彩服を着た男が都庁室に駆け込んでくる。
「どうしたっぺ」
「ウインドウサーフィンには絶好の風でさあ」
「おお、そうけ、このあたりでウインドーサーフィンできるでかい池はあるか?」
「はい、赤坂あたりに」
「じゃあ、すぐにヘリを用意するっぺよ」
「はい!」
「お待ちください、この前九段坂をレジスタンスに制圧されたばかりで赤坂に空挺師団で乗り込めば
戦闘が起こります。赤坂見付には数件の病院があり、民間人が巻き込まれて大量に死ぬ可能性があります。
たとえガソリンを浪費しても、別の場所を選定してください」
ユーベルトートがやる夫に迫る。
「は?ガソリン節約しろっつったのはお前だっぺよ。オラは元々軍人あがりだあ。おめーら素人はだまってろ」
ユーベルトートの言葉を無視してやる夫は都知事室を出た。
S-97レイダー偵察用ヘリに乗ってやる夫は颯爽と空に飛び立った。
都知事直属部隊はBell V-2806機であとに続いた。
新宿から赤坂まではすぐである。赤坂見付上空に到着すると路上にレジスタンス軍の部隊がバリケードを築いて
道を封鎖しているのが上空から見えた。
「あれ、うっとおしいっぺな、皆殺しにするっぺ、れっつらごー!」
やる夫が号令をくだす。
「ミュージックスタートだっぺ!」
やる夫の命令とともに大音量の音楽が流れ出す。
「アホ!アホ!アホのやる夫!アホ!アホ!アホの都知事!あほーのとちじー!あーほーのとーちじー!
あほの都知事!あほの都知事アホの都知事アホお都知事、あほのとーちじー!」
音楽とともに機関砲が乱射され、地上のレジスタンスたちは逃げる間もなく塵あくたと化した。
やる夫のヘリは地上に降り立つ。
「何をやってるんですか、あなたたち!」
病院から看護婦が怒りの表情で走り出してきた。
「ここには病院があるのですよ、ここから先には一歩も進ませません、もし、先に行くなら私をころし……」
パン!パン!パン!
やる夫は看護婦を撃ち殺した。
そこに病院の院長が慌ててでてくる。
「まってください、話し合いましょう。貴方たちにだって家族が……」
パン!
やる夫は院長を射殺した。
「閣下、赤坂高級クラブのコーヒーでございます」
部下がコーヒーを差し出す。
それをやる夫はじっくりと味わう。
ドウン!
敵の迫撃砲がやる夫の至近で炸裂する。
「うーん、いい香りだ、血税の味がする」
やる夫はニヤリと笑う。
「都知事覚悟!」
レジスタンスの切り込みたいがやる夫に突進してくる。それをやる夫の親衛隊が次々と切りふせる。
その時である。
「ぐえっ!」
やる夫の親衛隊が切り倒される。
「この前田が相手だ!」
「おなじく佐脇!」
レジスタンスの精鋭部隊、前田旅団がやる夫に突進してくる。
やる夫はそれを無視してコーヒーを味わう。
「今日はいい風だ、久しぶりにウインドウサーフィンが楽しめる」
「貰ったー!」
やる夫のすぐ横にいた親衛隊を切り倒した前田がやる夫に日本刀を振り下ろす。それをやる夫は見もせずに
軍刀を引き抜いて受け止める。
カン!カン!カン!何ども打ち込むがすべて跳ね返される。
「くそがああああああ!」
前田が叫びながら何どもつきこむがすべてはねかえされる。
やる夫は片手にコーヒーのマグカップを持ち、それを一滴もこぼさず、池がある森のほうにゆっくりと歩いてゆく。
「アニキ、コイツ強い!二人同時にいくぞ」
「おう!」
佐脇嬢の言葉に答える前田。
二人は同時にやる夫に切り込む。
それをやる夫は一刀ではねかえす。
「うおおおおおおおおおおおー!」
やる夫の後ろのほうで叫び声が聞こえる。
「この人はカトリーヌさんを献身的に看病してくれてた人なのに、すごくいい人だったのに、オレが、
人間は話し合えばきっと分かり合うって言ったら、みんな笑って相手にしてくれなかったけど、この人と
病院の院長さんだけは笑顔で賛同してくれたのに!それなのに!それなのにいいいいいいいいああああがあああああー!」
「ん?」
やる夫はその声の方に視線を向ける。
一人の若者が背中にリュックを背負い、オタソードを片手に持ってやる夫に突進してくる。
「やばい」
やる夫はコーヒーの入ったマグカップを思わず取り落とす。
マグカップは地上に落ちて砕け散った。それと当時にやる夫の首のあたりにオタソードが横からなで斬りにされる。
やる夫はそれをすんでのところで避けて後ろに飛びのく。
「やばい、こいつ強いぞ!全員退避!攻撃ヘリでこいつを粉々に粉砕せよ!」
「はっ!」
いつにないやる夫の緊張した声にやる夫の親衛隊たちは慌てて攻撃用ヘリに乗りこむ。
土煙をあげてヘリコプタが上空に上がる。
若者は背中のリュックから原稿用紙を取り出しばら撒く。それはヘリコプターの起こした気流の巻きついて、次々に
ヘリコプターに張り付く。
「ぎゃーなんだこのヘタクソな文章は、吐き気がとまらねえー!があああ」
「つまらなすぎて意識がとおのくうううう」
「あああああ、げろげろげろー」
ばうっ!ばう!ばうっ!
やる夫の部下のヘリコプターの中で爆発が何ども起こり、へりがすべて地上に墜落する。
「ちいっ」
やる夫は日本刀で若者に切りつける。しかし、オタソードで受けると、日本刀は砕け散った。
やる夫は日本刀を捨てる。
「そこまでだな都知事、お前の負けだ。」
前田が怒鳴った。
やる夫は大きく息を吸う。そしてゆっくりと吐いた。
「推して参る!」
「ほざけ!」レジスタンスの兵士が日本刀で切りかかる。その面をやる夫の正拳突きがつらぬく。
ボコッ
鈍い音がしてレジスタンスの頭が砕ける。
「元航空幕僚長なめんな」
やる夫がするどい視線で主意を一瞥すると、そのあまりの殺気に周囲のレジスタンスたちが退いた。
「お前だけは許さない!ゆるさないぞおおおおおお!」
オタソードをもった若者がやる夫に突進する。
「なんだ、こいつ、新参か」
やる夫は若者のオタソードをすばやく避ける。
「あたらなければどうという事はない!」
やる夫はそんな言葉を吐いた。本当にどうということがなければ無視をしてコーヒーを飲み続けていただろう。
こんな言葉を吐かねばならぬほどやる夫は追い詰められていた。
「機関銃だ、機関銃でしとめろ!」
墜落したヘリのドアをこじあげ、佐脇嬢が機関銃をとりだす。
「これまでかっ!」
やる夫は覚悟を決めて佐脇に突進する。
カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!
無数の機関銃の弾丸が弾き飛ばされる。
やる夫と佐脇の間にユーベルトートが割り込んで、オタソードで弾丸を切り飛ばしたのだった。
やる夫をユーベルトート配下の騎馬隊が取り囲む。
「都知事閣下、早くお逃げください、ここはわたしが」
「うむ、任したぞ」
やる夫は騎馬兵の一人を引きずり下ろし、その馬に乗って逃げた。
「待て!」
若者が追おうとするがその前にユーベルトートが立ちはだかった。
「絶望の世界へようこそ」
やる夫はそれには目もくれず、ただ、死に物狂いでその場から逃げ去った。
やる夫東洋都知事爆誕!