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道(タオ)戦略的老子の解釈  作者: 公心健詞
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本能寺

明智軍襲来!

武士たちは国道171号線を北東に進み、京都駅付近まで進んだ。京都に近づくにつれ、明智軍の兵士と遭遇する機会がおおくなり、武士たちを追ってきたので、京都駅に入るのは危険と判断し、九条通りを東へと進み、東山方面から北進した。

 八坂神社の前に出て、八坂神社に全員で一礼したあと四条河原町を北に進むと山崎町あたりで明智軍の大軍と遭遇した。

 明智の兵は豊富に弾薬を持っており、機関銃で機銃掃射してくる。本多勝はそれを軽やかに避けながら前に進み、一人ずつ、敵兵を突き殺していった。

「機関銃を避けるなんてすごいな」

 武士が声をかける。

「なあに、いくら弾丸が早くとも動かしているのは人間。人間の速さを越える動きをすれば易々と避けることができます」

 平然と勝が言った。

 祭童は河原町三条の本能寺に宿泊していた。この本能寺の前は商店街になっており、アーケードの細い道は、大軍で押し寄せても、少しずつしか入れないようになっている。その構造をいかし、祭童直属部隊が盾になってなんとか守っていたが、その兵も徐々に明智の大軍に削られて消耗してた。武士は伊賀忍者藤林長門の案内で、河原町三条側の敵兵を駆逐して、本能寺の後ろのビルの窓を突き破り、本能寺に進入した。

「我ら松平軍なり助太刀にまいった!」

 本多勝が大声で怒鳴ると祭童軍が道をあけてくれた。

 武士が本能寺の奥座敷に入る。そこでは、今まさに祭童が割腹自殺しようとしていた。

「やめろ!」

武士がそれを止める。

「止めるな!もはやこれまでだ!」

「違う!生きろ!僕が守ってやる!」

「そう言うがどうやって」

「といかく手薄な三条側から逃げよう」

「うむ!」

 武士は祭童の手を引き河原町三条まで出た。

「そこまでだな方月祭童!」

 大声が響いた。明智光子だった。

「日本を外国に売り渡そうとする売国奴め!」

「何が売国奴か!外国から武器をもらい、内乱を起こすお前こそ売国奴だ!」

 祭童が怒鳴った。

「なんとでも言え、表通りは我が軍が密集しており、出ることかなわず、必ずここから逃げ出すと思っていた。機関銃の機銃掃射で蜂の巣になれ!」

 光子がそう叫んだときである。

「うおおおおおおー!」

 光子の背後で軍勢の怒声が聞こえた。

「なんだ!」

「我こそは方月家の忠臣、サダヒデ・フーバーなり!」

 サダヒデ・クルーグマンの軍勢が明智軍に襲い掛かる。

「ええい、お前らから血祭りだ!」

 光子が叫ぶ。

「今のうちにお逃げください!」

 サダヒデ・フーバーが叫ぶ。

「サダヒデ!」

 祭童が叫ぶ。

「逃げるんだ!」

 武士は祭童を担ぎ上げて、北へと逃げる。

「撃て!」

 光子が号令をかける。

「ぐああああああー!」

 サダヒデとその軍の兵士たちは機関銃の機銃掃射を受けて血煙をあげながら飛び散る肉片となった。

 武士たちはそのまま北に向かい、生垣がおいしげる庭のようなところに逃げ込んだ。そこがどこだか分からないが、とにかくどこか隠れるものがあるところに逃げたかった。

 明智光子の軍勢が追ってくる。生垣を乗り越え、大軍が迫る。

 バタバタバタバタ

 北の空から大きな音が聞こえる。武士はそちらの目をやる。それは軍用ヘリコプターの大軍だった。武士立ち止まった。

 もう、終った。

 武士は目を閉じた。

 後ろからは迫り来る明智軍、前からは軍用ヘリ。

 ドドドドド!

 軍用ヘリがバルカン砲を発車する。

「ぎゃー!」

 人々の悲鳴が聞こえる。

「……あれ?まだ生きてる」

 武士の目の前に軍用ヘリが下りてくる。

「ははは、お待たせいたしました。祭童殿」

 それは木下良太だった。

「おお、良太!迎えに来てくれたか」

 祭童は気色に満ちた声で叫んだ。

 良太の配下のヘリコプター部隊が明智の軍勢を空からバルカン砲でなぎ倒す。

「いやまたれい!祭童殿。このヘリコプター部隊はアメリカ軍から借用したもの。祭童殿が祭童軍支配地域の関税自主権を放棄し、アメリカに譲渡するなら我ら、お助けいたそう。我らはすでに駄目新蔵閣下のお計らいにより、毛麗軍と和睦し、アメリカの仲介で、アメリカへ関税自主権の譲渡を約束した。もし、我らに逆らうなら、あなたも敵ということになちます」

「なに!」

 祭童はは良太に掴みかかろうとする。

「待ってください!ここで犬死してはいけません。ここは従うしかないでしょう!」

「しかし、日本人が明治維新で多くの血をながし、日清戦争、日露戦争をへて、やっと手に入れた関税自主権を放棄するなど、国が滅んだも同じではないか!」

「しかし、我々には今はどうすることもできないんですよ!」

 武士は木下良太に向き直る。

「その話、承諾しました!どうか、我々を助けてください、木下さん!」

「よしわかった。それから松平、木下さんじゃないだろ、木下様だろ、なあ方月君もな」

「くそおっ!」

 祭童はその場に崩れ落ちて拳で地面を叩いた。


 木下軍の圧倒的航空戦力により明智光子の反乱は鎮圧された。しかし、方月軍もまた武装解除され、木下軍の配下についた。武士の松平軍もまた木下軍の配下に入ることとなった。

 毛麗軍の外務官僚となった駄目新蔵は渡米し、赤坂見附大虐殺の謝罪を行い、日本人がいかに残虐か、卑劣かを世界に訴えた。そして賠償金として10億円を支払うことを約束した。

 方月祭童はその大虐殺の司令官であったということにされ、逮捕され、アメリカに送還されることとなった。

 手を鎖でつながれ、無実の罪で連衡される祭童は、目に涙を浮かべて見送る松平武士を見つけてほほえんだ。

「武士、必ず守ってくれると言ったな、あの言葉信じているぞ」

 祭童は屈託の無い笑顔でを見せた。

「はい!かならず、かならず祭童さんを救ってみせます!無実の罪をはらしてみせます!」

 祭童は叫んだ。


明日が見えない。

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