毛麗の動向
毛麗の経済政策をヤスケ・クルーグマンが解説します
毛麗討伐にあたって、方月祭童は秋葉原の本部に松平武士、明智光子ら群臣を集め、ヤスケ・クルーグマンに現在の毛麗軍の政治体制を解説させた。
日本政府は、各地でお互いが戦争をしながら共通通貨円を共用する奇妙な状況にあった。
それは自滅等の駄目新蔵が大阪鬼神の会と連合で通過させた法案道州制によって、国の機能が崩壊し、財政運用も地方が占有し、国が分裂して大規模公共事業ができなくなったためにインフラが寸断され、国が荒廃して軍閥が内戦を始めるような無茶苦茶な状況になってしまっていたのだ。
そんな状況の中でも比較的財政的に優位で大きな領土をもっている毛麗軍は奇妙な財政政策をとっていた。
「現状、、毛麗軍は駄目新蔵が亡命して以来、駄目新蔵の助言に従い、中国地方府の日本銀行に、銀行が保有する国債をどんどん買い取らせています。このままでは銀行が保有している国債が枯渇して、各自治体政府が金融の量的緩和ができなくなります」
「待て、毛麗軍が国債を買い占めることによって我らも金融の緩和ができなくなるということか」
祭童が問う。
「はい」
「いや、おかしい。そんな無茶苦茶な事をしなくても、政府が道路整備を行えば、生産効率性もあがり、市場に金がながれて景気が回復する。事実、祭童軍はそれで景気が急激に拡大している。それを目の前で見れば、公共事業の削減などするわけがないではないか」
「しかし、毛麗軍は、駄目新蔵が亡命して以来、駄目新蔵の進言を受け入れて、どんどん公共事業を削減し、政府支出を縮小しています」
「おろかな事を。そんな事をすればデフレが加速化して自国の経済が失速するだろう。いったい何が目的なのだ。何をしようとしているのだ?」
「はい、それは西暦2015年にスイスがユーロとのペッグ製をはずした時に超スイスフラン高になったときのように、超円高になります。それが駄目新蔵の狙いです」
「急激な為替変動によって日本の輸出企業が壊滅しよう。なぜ、毛麗ほどの知恵者がそのような愚かな事をするのだ。大量に失業者がでて毛麗軍配下の企業も多くが倒産し、大量の自殺者が出るだろう」
「それこそが駄目新蔵の目的なのです。毛麗軍はひそかにアメリカの株を少しずつ大量に空売りしており、意図的に日本発の世界金融危機を発生させ、株の空売りで大もうけするつもりです」
「しかし、配下の企業が壊滅し、自国民が大量に死ぬことになるのだぞ?」
「それでも毛麗氏個人は大もうけすることができます。国が破滅しても、自家用ジェット機で海外に逃亡し、その後は大金持ちとして優雅な生活を送ることができます」
「わざと金融危機を発生させ、自国民を大量虐殺して、自分だけ儲ける腹か?よくもそんな恐ろしいことが思いつくものだな」
「思いついたのは駄目新蔵です。毛麗はそれに乗っているにすぎません」
「そのような愚挙、なんとしても止めねばならぬ。早速毛麗に軍をすすめよう」
祭童は明智光子を見る。
「明智よ、そなた、木下の呼び兵力として木下の後方に展開せよ」
「くっ」
明智光子は唇をかんだ。
「どうした、お前の嫌いな売国奴を討伐できるのだぞ?」
「木下良太はノンポリで、前の浅井戦でも、意図的に多くの敵軍を逃しました。あのような日和見者の下につきたくはありません」
「そういうな、売国奴を討伐するのだ。お前の好きな愛国であろう」
「いちいち、お前の好きなと前置きなされますな!」
明智光子はコメカミに血管を浮き立たせてどなった。
「おお、こわいこわい」
祭童は半笑いでおどけて首をすくめた。
「受けぬのか、ならば前田犬に頼む」
「いいえ、お役目承知しました」
明智光子は苦虫を噛み潰したような顔をして退席した。
「ときに武士、武田の残党の糾合、うまくいっているようだな」
「はい、祭童様、LEE・ナオトラが驚くほどスムーズに武田軍の残党を編入し、今ではLEEの赤備えと呼ばれるほどの精強な部隊となっております」
「おお、それはめでたい。私はこれより京都に向かい、関西の財界人と交流を深めるつもりだ。そなたも一緒にこないか」
「私はまだ、関東が心配ですので……」
「そうか、ならば関東が落ち着いたら、かならず京都に来い。関西の財界人にお前を紹介しておきたい」
「ありがたき幸せ」
武士は深々と頭をさげた。
武田の残党の糾合を祭童に褒められる武士




