勝利と咆哮
新宿に派遣された本多勝軍
「油断するな!敵は虎の子のヘリコプター部隊を持っている。これを武田本隊に合流させるな。一機残らず撃破せよとの殿のご命令だ!」
本多勝が大声で叫んだ。
「おー!」
勢いよく兵士が叫ぶ。本多勝は祭童軍から供与された地対空ミサイルを装備した軍隊を率いていた。
武士軍最強と世間から言われる本多勝を武士は信頼してその最新兵器を全て渡していた。
「一大事でござる!」
本多次が本多勝に駆け寄ってくる。
「どうしましたか」
「敵のヘリコプター部隊が全て都庁を飛び立ったとのこと。このままでは武田本隊と合流されてしまいます」
「それは一大事!すぐさま、討伐にかかりまそう!」
そう言っているうちに上空にバタバタと音をさせてヘリコプターが横切る。
「撃て!」
本多勝が叫ぶ。
「ぎゃっ!」
短い悲鳴をあげて、地対空ミサイルを持った兵士たちが次々と倒れてゆく。
「何ごと!」
周囲を見回しても、誰もいない。
「敵のシンガリか!気をつけろ」
本多勝が叫ぶが早いか、次々と勝の周囲の味方が倒れてゆく。
「そこだ!」
本多勝が槍を突き出したところにユーベルトートがいた。ユーベルトートは素早く後ろに下がる。
「おのれい!貴様ごときが!」
本多次がユーベルトートに突進する。
「駄目だ!下がれ!」
本多勝が叫ぶ。
その言葉に本多次は反射的に下がるが、下がりざま、本多次の右手の親指が跳ね飛ばされる。
「うぐっ!」
本多次がうめき声をあげる。
「親指が使えなければ武器はもてない、飛ばされた指を持ってすぐ後方にさがれ!今なら接合できる!」
「しかし!」
「足手まといだといっているのだ。さがれ!」
「くすおおおおおおおおー!」
本多次は大声で叫んだあと、自分の親指をひろって、後方に下がった。
ユーベルトートの武器は日本刀だった。
「なかなかの業物だな」
「恐れ多くも阿保神やる夫閣下の秘蔵の名刀、籠釣瓶なるぞ!」
ユーベルトートが答えた。
「奇遇なり!我が蜻蛉切も村正よ!」
本多勝とユーベルトートがにらみ合う。
「勝様!こいつ強いですぞ、二人同時に切りかかりましょう!」
家臣の大河内源三が叫ぶ。
「そんな卑怯なマネができるか!」
勝が叫び返す。
「それよりも、命令の遂行です!次々とヘリは飛び去っておりますぞ!」
「ちい、やむ終えぬ、いくぞ!」
「はい!」
大河内源三と本多勝は二方向からユーベルトートに突っ込む。ユーベルトートはそれを軽やかによけて、源三の太腿に刀を刺してねじる。
「ぐはっ!」
源三が倒れる。
ユーベルトートはあくまでも最小限度の力しか使わない。大きく切り裂いて血のりがつけば、切れ味が鈍ってしまう。
「舐めたまねを!」
本多勝が槍を繰り出す。
ユーベルトートは後ろに飛び跳ねならがそれを軽々とよける。よけながら、本多軍の兵士の横におりたつと、その首を掴んでねじり殺す。
確実に、地対空ミサイルの操作が分かっている兵士を狙い撃ちで殺していく。
「早く!早くヘリを狙い打て!」
本多勝が視線を流した方向にユーベルトートはとびはねて、命令されて振り返った兵を切り伏せる。
「ちいっ!ミサイルは撃て!しかし、命令されても私の方は見るな!」
本多勝は叫ぶ。
「これで決着をつけてやる!うおおおおおおおおおおー!」
本多勝はユーベルトートに突進する。その顔めがけてユーベルトートは刀を投げつける。本多勝はそれを素早くよけながら、ユーベルトートの胸を槍で貫く」
「敵将、ユーベルトート討ち取ったり!」
晴れやかに勝は叫んだ。
「私の勝ちだ……」
小さな声でユーベルトートはつぶやいて事切れた。
「なに?」
勝は慌ててユーベルトートが刀を投げた方向を見た。
今まさに、ヘリコプターに狙いを定めて、地対空ミサイルを撃とうとした兵士のノドにユーベルトートの刀が突き刺さっていった。
「ああああああああああああ!」
本多勝はその兵士にはしりより、地対空ミサイルを持ち上げてヘリを探す。すでに、ヘリはすべて飛び去ったあとだった。
「くそおおおおおおおー!戦略上、完全な敗亡だあああああああーーーー!この勝がああああーこの勝が!まけたあああああああああーくそおおおおおおおおおおー!」
本多勝は狂ったように咆哮した。
そして戦いは続く




