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道(タオ)戦略的老子の解釈  作者: 公心健詞
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関東攻め

西国での紛争を解決した際童軍は関東に向かう

有岡城と伊丹空港を保有する荒木氏が大阪鬼神の会に併合されると、鬼神の会代表の橋元代僧正はテレビに出演して伊丹空港廃止を宣言した。

曰く、伊丹空港を廃止して外国人居住区を作り、そこに移住する外国人は全員無税にする。

実質的な外国の植民地にすると宣言したのだ。

 これに対して方月祭童は激怒し、万見千代を先鋒とし、明智光子や木下良太の軍勢も合わせて強襲した。

 鬼神の会から武器弾薬を補給されてからでは到底勝ち目がない。時間との戦いだった。無理矢理石垣をよじ登り、強引に城を攻める戦法をとったため、先鋒の万見千代が敵に胸を槍で突かれて戦死した。

 日本国内に外国の植民地を作ろうとしたこと、可愛がっていた万見千代が殺されたことで方月祭童は激怒し、城に敵兵を押し込めて火をかけて焼き殺した。

 城攻めのさい、城の地下牢から黒ちゃんが救出され、方月祭童は、黒ちゃんが裏切ったと勘違いしたことをすぐにわびに行った。黒ちゃんは顔で笑って気にしていない風であったが、その後は祭童にはよりつかず、ずっと木下良太にくっついて歩くようになった。

 武士も人質を殺さなかったことで、祭童から賞賛され、益々祭童から信頼をおかれるようになった。

 明智光子は日本の領土を植民地にしようとした荒木氏に激昂しており、その兵士を見つけ次第、家族ともども命乞いするものもかまわず皆殺しにした。

 木下良太の配下となった黒ちゃんの戦果は目覚しいものがあった。別所氏配下の神吉氏は難攻不落の城を持っていたが、女子供の命は助けると黒ちゃんが提案し、一次休戦して城に篭っている女子供を脱出させたあと、大将の神吉氏の酒に毒をもって毒殺して城を奪った。

 三木の堅城に立てこもった別所氏に対しては、城に通じる水道管に穴をあけ、そこからボツリヌス菌を注入して、城内に食中毒を蔓延させ、降伏に追い込んだ。

 黒ちゃんの謀略によって兵庫県は瞬く間に祭童軍の手に落ちたのだ。

 伊丹空港と神戸空港と神戸港を手に入れた際童は、大阪鬼神の会に対して祭童はこれら二つの空港に国際線を就航させ、関西空港の顧客を奪うと威しをかけ、大阪鬼神の会に講和を申し入れた。実は、最新鋭の兵器を装備した鬼神の会に対して、祭童軍は打つ手がなかったのだ。

 雑賀氏は強行に反対したが、大阪鬼神の会は橋元大僧正が隠居するとともに、祭童君と和解を受け入れた。

 これに対しては明智光子が激昂し、大阪鬼神の会との徹底抗戦を訴えた。しかし、周囲に敵を抱える祭童軍としては、

 これ以上大阪鬼神の会と戦う余力は無かったのだ。

 返す刀で、祭童軍は全軍を率いて武田軍討伐にむかった。

 武田家は改革派官僚の大久保長安を派遣したせいで、徹底した新自由主義政策をとっており、兵士はほとんど傭兵の非正規雇用となっており、かつての精強で忠誠心の強い武田軍団はもはや無かった。

 この祭童軍の軍事行動に対して、宮崎軍は非戦を訴え、戦争反対のデモを行うとともに、祭童軍の中野区侵攻に反対する署名を祭童に送ってきた。しかし、祭童はそれを無視した。


 祭童軍の先発隊、シヴァ・カーツと木下良太の軍が稲城市に進入すると、宮崎郡は府中の多摩川沿いまで軍を進めてきた。宮崎軍は一般市民に迷惑をかけないために、公園や平原で戦争をする習性がある。しかし、今回は多摩川を越えた場所に広大なゴルフ場があるにも関わらず、宮崎軍は川を渡らず、対岸の公園付近で軍を止めていた。

 総指揮をとっていた先発隊のシヴァ・カーツはこの宮崎軍と対戦するため、多摩川を越えるよう全軍に命令を出した。

 これに対して、木下良太が反対を表明した。

「敵の前で川を渡るなど狙い撃ちにしてくれというようなものです。敵を無視してやりすごし、挑発して敵が川を渡ってきたところを攻撃しましょう」と進言した。しかし、それに対してシヴァ・カーツは「軟弱者!」と言って木下を平手うちした。

「ぶったね!お父さんにもぶたれたことないのに!」

 木下良太は怒って、そのまま先発隊を離脱し、後方に撤退した。

「バカめ、私たちには最強の前田犬旅団もついている。負けるくわけがないわ!」

 そう言ってシヴァカーツは軍を進める。

 シヴァ・カーツが楽観したとおり、宮崎軍は多摩川を渡ってくるシヴァ・カーツを襲ってこなかった。

「さすが宮崎謙信ね、武士の心得を知っているわ。臆病者の木下良太め、あてがはずれたわね、ほほほ」

 川を渡りきったシヴァ・カーツの軍勢は公園の中に入る。公園といっても森林があるわけではなく、公園の中心に道路が通っており、左右には駐車場の仕切りがあって、周辺の見通しが極めて悪い。誰も人がいない。その道路ぞいの道をまっすぐ行軍していくと、開けた十字路に出た。そのむかって右斜め前の歩道がすこし開けていて、白とグレーとダークグレーのタイルが不均等にモザイク状にしきつめてある。そのタイルの上にキャンプワイヤーの材木が組んであって、火がもえている。その前に腰みのを巻いたちっこい女の子が手になにも持たずに練り歩いている。

「うんばばうばうばうんばっばー!」「うんばばうばうばうんばっばー!」「うんばばうばうばうんばっばー!」

 大声で叫びながら一人で火の回りを練り歩いている。

「おい、チビの小娘、何をしている」

 祭童軍の兵士がその子供に槍をつきつける。子供はその槍を素手で握ってそのまま投げ捨てる。兵士は「ぎゃーっ!」と叫びながら30メートルほど吹き飛ばされた。

「なんだこいつわ!」 

 兵士たちがひるむ。

「どうしたの、悪者が出たのね、でたわね、怪人!このシヴァ・カーツ様が退治してやるわ!」

「まった!」

 シヴァ・カーツの後ろから大きな怒鳴り声が聞こえる。

「待ってくんなよ、こいつはこの前田犬様の獲物だ。待ちくたびれたぜ、なあみるくちゃんよお」

 前田犬のことばを聞くと、そのおんなのこは薄ら笑いを浮かべた。

「会えてうれしいよ、前田犬、みるくちゃんがこの手でねじり殺してあげるよ」

 朝比奈みるくは薄ら笑いを浮かべた。

「生意気なガキめ!」

 祭童軍の兵士たちが数十人、朝比奈みるくにおそいかかる。

「どけ、どけい!」

 朝比奈みるくはそれらをこともなげに手ではらいのける。

 手で払いのけられた兵士たちは吹っ飛んで、あるものは手がちぎれ、ある者は内臓が吹き飛んだ。

「手を出すな、死人が増えるだけだ、この前田犬にまかせておけ!」

 前田犬は素手で朝比奈に走り夜。

「ぎゃはははははは!」

 朝比奈も猛然とコブシを振り上げながら前田犬に突進する。

ガチン!コブシとコブシがぶつかりあって、周囲に衝撃波が走り、周りにいた兵士たちが体がバラバラになって吹き飛ぶ。

「うわっ!」

 一番前にいシヴァ・カーツも衝撃波で鎧が粉々に砕け散り、胸のブラジャーが露出して慌ててかくした。

「なによこれー!」

「こいよ!」

 前田犬が両手を広げて朝比奈みるくを向かえいれる。

「いくぞおおおおおおおー!」

 助走をつけて朝比奈みるくが前田犬の胸倉にコブシを入れる。

ゴボッ!

 鈍い音がして前田犬が吹き飛ばされ、後ろに転がって三回転してとまる。

「こっちも行くぞ!」

「こい!」

 朝比奈が両手を広げる。

ゴシッ!

朝比奈の顔面に犬のコブシが炸裂し、ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴ!と朝比奈がころがる。

「あはははは!」

「ぎゃはははは!」

朝比奈も犬も笑った。

「いくぞこらっ!」

朝比奈が犬に突進して横から大振りのコブシを食らわす。それを犬はよけながら右足を蹴り上げる。それをすんでのところで朝比奈がよけて手刀で犬の腹をえぐろうとするが、犬が後ろにとびのく。

 

その時である。

「うおおおおおおー!」

 祭童軍の後方で大軍の声が響いた。

 駐車場の物陰に宮崎軍が隠れていたのだ。

「しまった!全軍撤退!」

 シヴァ・カーツが叫んだ。

「撤退だと!」

 前田犬が目を血走らせ歯を食いしばって朝比奈みるくを見る。

 朝比奈みるくはニタニタ笑いんがら手をヒラヒラされている。

「また来いよ犬コロ」

「チイッ、お前の命を取るのはしばらくお預けだ、それまで殺されるなよ」

「ぎゃはは、犬コロ意外にみるくちゃんを殺せる奴がいるかよ、ばーか!」

 前田犬は群がる宮崎の軍勢を殴り倒しながら退却していった。シヴァ・カーツも個人では宮崎の軍勢を次々となぎ倒しながらも、率いた軍勢は次々に宮崎軍に討ち取られていった。

 死に物狂いで水に飛び込む祭童軍の兵士たち。

「待てい!」

 宮崎軍に鋭い声が響いた。宮崎謙信の声であった。

「水に落ちた敵兵は攻撃するな。専守防衛。こちらからは攻めるな」

 宮崎謙信の言葉に、宮崎軍の兵士たちは素直に従った。


精強な宮崎軍

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