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道(タオ)戦略的老子の解釈  作者: 公心健詞
16/84

策士の職務

藤林長門と松平武士の対決がはじまる

1/1

藤林長門は中学校の制服であるセーラー服を着てパソコンの前に座り、黙々と動画をチェックしている。

「ネットで偉そうな事を言ってる連中はたがかメール一本送信して程度じゃねえか、そんなゴミみたいな味方なんていらねーんだよ」

 生放送でミマサカ・フーバーが口を滑らせる。

 生放送の録画内容を見ながら、発言内容を字起こしする。

「ミマサカ・フーバーはネット支援者はゴミと発言」

 スレッドを立てると、エサに釣られてネット住民がよってくる。

「馬鹿だなあ、そういう時は、クソジャップって煽りを入れたら入れ食いになるんだよ、わかってねーな譲ちゃん」

 グラサンが半笑いで藤林の頭から飲みかけの炭酸飲料にタンを入れて藤林の頭の上から流す。

「パソコンが壊れるからここではやめて、席をはずすから、やるんだったらそこでやりなさい」

 藤林が無表情で席を立つ。

「さあ、好きなだけかけなさい」

「興ざめなんだよ、バーカ」

 グラサンが炭酸飲料の缶を藤林の足に投げつける。それが足に当たって紫色のアザができる。

「こいつさ、最初びびらせやがって、調べたら中学校でいじめられて不登校いなってここに来てやんの。はったりかましやがってよお」

 グラサンが中卒の向かって言う。

「無視、無視、そんな奴相手にしてても耳が腐るだけだから無視して作業のノルマこなそうぜー」

 そこにユーベルトートが入ってくる。

 一瞬にしてその場の空気が凍りつく。

「今のやり取り、隠しカメラで確認させていただきました。そこの三人は今日かぎりで職をとき解雇します」

「ちょ、俺は何もしてねえだろうが」

 ハゲが噛み付く。

「あなたも見てみぬふりをしたので同罪ですよ」

「待ちなさい」

 炭酸飲料でびしょびしょになった姿で藤林がユーベルトートの前に立ちはだかる。

「何でしょうか」

「あなたに私の部下を解雇する権限はないわ。勝手なことはしないで」

「しかし、あなたに対するイジメを見てみるふりはできませんん」

「彼らが調子にのって快適に仕事をしやすいように私はやりたいようにさせているの。そのほうが彼らの

仕事がはかどりますから。萎縮して仕事に支障をきたしては困ります」

「では、せめて、私の部下を補充要員として常駐監視させてください」

「ご勝手に。ただし、足は引っ張らないように余計な事はさせないでくださいね」

「エリートで紳士的な者だけ先発して送ります」

「お好きなように」

 藤林は無表情のまま対応した。

 パソコン室に派遣されてきたのは、いずれも有能で質実剛健、文武両道に秀でたエリートの美男子ばかりであった。

 三人派遣されてきたエリートのせいで、それまでいた三人は萎縮して部屋の隅でパソコンを操作するふりだけして

常にその常駐員を意識するだけになってしまった」

「余計な事をしてくれたわね」

「真に申し訳ございません」

 藤林の言葉にも一言も反論せず、ユーベルトートの部下たちは深々と頭を下げ謝罪した。

 藤林はユーベルトートの部下たちにも扇動のやり方を教えたが、他人に成りすましたり、下品な言葉で人を怒らすような文章は書くことはできず、結局、レジスタンス側の人間がネット上に書き込んだ言葉をチェックして情報を収集する仕事だけをやらせることとなった。

「ん?松平武士、ブログをやってたのか、しかし課金して非公開にしてるな。何でブログ書いて人が見られないようにしてるんだ。ハッキングソフトで中身をみてやるか」

 ユーベルトートの部下が独り言を言いながらパソコンを操作している。怪訝な表情で藤林がそちらを伺う。

「ん?なんだこれ、ただの小説じゃないか、へったくそだなあ、はあ?何これ、妹萌え?どれどれ……」

「やめなさい!」

 藤林が叫んだ。

 ボウン!

 次の瞬間、ユーベルトートの部下の頭がふっとぶ。

「トラップだ!全員退避!」

 藤林が叫ぶとグラサンと中卒とハゲは「うわああああー!」と大声をあげ、耳をふさぎながら部屋の外に逃げ出した。

「ちょ、なんだ、これ」

 残された二人は困惑して周囲を見回す。

「スキすき大好きおにいちゃん♪大好きなおにいちゃんのために私のお尻は今日もぷりんぷりん、うふふ」

「ぎゃあああーなんだこの気持悪い歌はー」

「ぐええええ、吐き気がするー」

 バウン!グシャ!

 ふたりの頭が吹き飛んだ。

 そのあと、特殊工作部隊が防音マスクをかぶって部屋に突入し、火炎放射器で全てのパソコンを焼き払った。

 たとえラインを遮断しても、パソコン自体にトロイの木馬方ウイルスが仕込まれた可能性を考慮しての事だった。

「恐ろしい男ね松平武士」 

 藤林は無表情でつぶやいた。 

 パソコン室が使えなくなったので復旧が終るまでオンライン工作部隊には休暇がだされた。藤林の部下の三人は連れ立ってとこかに行ってしまった。

 一人都庁に残った藤林は毛糸でコースターを編んでいた。その時である。

「大変です、オンライン工作部隊の三人が越境してレジスタンスの領地に進入するところが監視カメラに写っています」

 兵士が藤林に走りよって報告した。藤林はその場に毛糸を投げ捨て走り出した。

 モバイルで都庁本部と連絡をとり三人の場所を確認する。

 藤林が到着すると、そこではすでに三人が敵の忍者に取り囲まれていた。

「わざわざ乗り込んでくるとは、甲賀衆も舐められたものね、死になさい」

 甲賀長門が手裏剣を投げる。その前にすばやく藤林が回りこみ、腕で手裏剣を受ける。

 ゴリッツと音がして藤林の右腕の骨の間に手裏剣が貫通した。藤林はそれを引き抜かず、両手からオタソードを出した。

「あなたたちは逃げなさい」

 厳しい声で藤林が言うと、三人は後ろも振り向かずに逃げ出した。

「逃がさぬぞ!」

 忍者の一人が後を追うが、それを藤林が素早くオタソードで切り裂く。

「距離をとれ、接近戦ではオタソードにはかなわぬぞ」

 甲賀が声をかけると忍者たちは遠巻きから手裏剣を投げる。しかし、長門がオタソードでなぎ払うとそれらはすべて

ドロドロの溶けた鉄の塊となって地に落ちた。

「どうしたんですか甲賀さん」

 そこに松平武士がかけつける。藤林は目を見張り、いままでずっと無表情だった口元に微かに笑みがこぼれた。

「相手に不足なし」

 藤林は両手に握ったオタソードを構えて戦闘態勢に入る。

「あ、君腕を怪我してるじゃん、一緒に病院いこ、ね」

 武士は藤林に微笑みかける。

「行くぞ!」

 藤林は武士に挑みかかる。

「ちょ、とっとまってよ」

 武士は驚いて藤林に手のひらをかざす。

「むっ!」

 藤林は慌てて後ろに飛びのいた。

「そ、そんな、これほどの力とは……」

 藤林は歯を食いしばる。

「くそっ、腕を怪我さえしていなければ互角に戦えたのに……」

 藤林は武士をにらみつける。

「は?一人で何やってんの?」

「いずれ決着をつけようぞ」

 吐き捨てるように言って藤林は走り去った。

「あ……はい」

 武士は呆然とその後姿を見送った。風にスカートがゆれて、ちょっとだけパンツが見えた。

「あ、白だ」

 ゴツン!

 甲賀長門が無言で武士の頭を殴る。

「いてててて」

 武士はしゃがみこむ。

 甲賀が武士を見下ろす。その目はチベットスナギツネのように乾いていた。


 都庁に帰ると、藤林はすぐさま三人を解雇した。

 三人は解雇に激怒し、藤林に付きまとっては罵声をあびせかけた。ソフトクリームをなげつけたり、炭酸飲料をかけられても、藤林は無視して通りすぎた。

 その後、パソコン室も復旧し、ユーベルトートが新しい人材を用意し、藤林が教育することによって、ようやく謀略工作の効果がでるようになった。

 レジスタンス内部で軋轢が発生するようになったことで、都知事のやる夫は喜び、都庁室に藤林を呼び出し激励し、部屋の外まで自らエスコートして見送った。

 藤林とやる夫が部屋の外に出ると、そこにはオンライン工作部隊をクビになった三人が震えながら土下座していた。

「都知事閣下、我々は都庁軍に忠誠を誓い、命を削っていままでお仕えしてきました。どうか、どうかもう一度だけ我らにチャンスを下さい、なにとぞ、なにとぞ!」

 大声で叫ぶ三人は目から大粒の涙を流している。

「おいおい、どうしたんだお前ら」

 困惑した表情でやる夫が歩み寄ろうとしたその時、長門は手からオタソードを出して、グラサンのクビを跳ね飛ばした。

「ひ、ひい!」

 あとの二人が慌てて逃げ出そうとする。それを後ろから中卒は頭を叩き割り、ハゲは胴切りにして殺した。

「何やってんだ、こいつら、俺に忠誠を誓うって言ってたっぺよ」

 やる夫は不快そうに藤林をにらんだ。

「いいえ、違います。これは威しです。もしここで都知事閣下がこいつらの願いを聞き届けなければ、都知事閣下は冷たいお方、情のないお方と世間からウワサを立てられます。それを計算に入れて、こいつらは都知事閣下を脅したのです。そのようなネガティブフィードバックをしかけてくる者を排除することこそ私の職務です」

 やる夫は藤林の言葉を聴いてしばしクビをひねって思案したが、そのあと満面の笑みをうかべた。

「お前の言うとおりだ。今後もその調子で頑張ってくれや」

「ありがたき幸せ」

 藤林は深々と頭を下げた。

藤林の策士としての気骨と職業意識を見せられる。

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