水着で温泉
待ちに待ったチーレム回
「もう戦争はやめる」
秋葉原の大通りを封鎖して歩行者天国をつくり、そこに士官全員を集めて方月祭童が宣言した。
「何言ってやがる!人がいっぱい死んで怖気づきやがったか、このクソアマあ!これだから女はダメなんだよ!」
祭童の弟の勝が激怒して罵声をあびせかけた。
「戦争して人が死んで、何もかもうしなって、誰も得をしない。ならば、都庁軍と若いして平和への道を
模索するべきではないのか」
「うるせえ!これだけ侮辱されて、踏みにじられて、あとに引けるかあ!」
「感情論では何も解決せん、消耗戦になれば我らが不利である。戦って、戦って、何もかもうしなってから
降伏したら主権もなにも失ってしまう。そうなる前に勇気をもって講和すべきだ」
「なにいってんだ!そんな事したら死んでいった英霊に顔向けができねえだろうが!」
「死んでいった者たちは生きている者たちを守ろうとして死んでいったのだ、国の滅亡を望んでいたのではない!」
「うるせえ、クソが!みんな、まだ戦うよな!都庁のクソどもにいいようにされていいのかよ!徹底的に
都庁と戦うだろ!あ?」
勝が周囲を見回すが、皆々顔をそむける。あの朝比奈一人であれだけの大戦力なのだ。常人では勝てない。それは
みんな分かっていた。
勝は祭童の方に向き直る。
「で?戦争やめてどうしようってんだ?俺たちは今まで都庁軍の食料を略奪して生活してきたんだぜ。戦争しねえで
どうすんだよ」
「商業を活性化させて働く」
「まっぴらだね!クソが!」
勝は吐き捨ててその場を離れた。他の者たちはあきらめ顔で下をむいていた。
武士には勝の感情もよくわかった。大勢の人が、あの赤坂見付のような惨たらしい殺され方をしたら
感情的になるのもむりはないのだ。
祭童は立ち去った勝は放置して、都庁軍との講和を進めた。
都知事は当初、講和に難色を示したが、ユーベルトート、朝比奈という二大勢力がこぞって講和を奨めたため、
講和に合意した。やる夫はわがままではあったが、聞く耳をもっている男だった。
講和直前、都庁軍の貨物船を沈められたのが大きな決め手になったようだ。このままレジスタンスを東京から
駆逐しても、小型船に乗りこみ、徹底的に輸送船を攻撃したり、海に機雷をばらまく可能性があった。
今、レジスタンスが海に機雷をまかないのは自分たちの領土があり、有明を拠点として対外貿易を
おこなっているからだ。レジスタンスが土地を失えば、機雷をまかない理由が無くなる。その事をユーベルトートも朝比奈もよく理解していた。
講和は都知事と元首相、元都知事、レジスタンスの代表である祭童との間で執り行われた。
政府はすでに有名無実となっていたが、一応、名目上、レジスタンスが元首相の駄目新蔵、元都知事の升柿幼稚を保護して養育していたのだった。
都庁軍との講和は成立したものの、元総理と元知事が統治する所領の場所で揉めた。
どちらも最前線である赤坂をほしがった。実質的には町工場がある台東区や土地が広い江戸川区、を所領としたほうが
利益が大きい。しかし、元上流階級の居住区である赤坂に二人とも固執してゆずらなかった。
最終的に赤坂を元首相が、東京を元知事が所領とすることで決着したが、二人とも機嫌をそこね、調印の席では
わざわざ席を数十メートル離してお互い礼をせずに係りの者が調印のサインのたびにその書類を両陣営にもっていくはめになった。赤坂といえば都庁軍との軍事境界線の間近にある危険地帯である。そんな事も意識せず、昔の
土地の格に固執する人たちに、武士は呆れるばかりだった。
都庁軍との講和が成立すると、祭童はカトリーヌ・ヤサウブローの父が経営する有明の温泉に将兵を案内した。
カトリーヌは赤いビキニで来ていた。カトリーヌは武士を見ると顔を真っ赤にして小走りにやってきた。
「ちょ、ちょっとあんた、さっき私の胸見てたでしょ、エッチ!」
「いや、この前怪我した胸のあたりは大丈夫かなって思って」
「あれは精神攻撃だから胸は大丈夫なの!みんな!もう!」
そうやってるとそこに、トコトコと山口ヒルダが歩いてくる。
「もう!カトリーヌだけ仲良くしてずるいでありますのんた!ヒルダも武士くんと仲良くするでありますのんた!」
ヒルダはスクール水着を着ており胸のところに「ひるだ」とひらがなで書いてあった。それがなにかコッケイで
武士は笑いをかみ殺した。
「あ、武士殿、ヒルダの胸が大きいから笑ったでありますか?体がちびっ子なのに胸だけ大きいから笑ったで
ありますか?」
ヒルダがぴょんぴょん跳ねて怒る。
「ちがうってば」
武士は必死に笑いをこらえた。それでも、ふくれるヒルダもかわいい。
「あーら、あんた、そんなに女の子引き連れてスミにおけないわねえ」
クロードが黒のものすごくきわどい水着を着てやってきた。胸のとろがあいていて、いまにも豊満な胸が
はみ出しそうだ」
「お前には俺がいるからいいじゃねーか」
後ろからミマサカ・フーバーが口を出す。
「誰があんたの女ですって、打ち殺すわよ」
「あー怖い、怖い」
ミマサカはクビをすくめてどっかに行った。
相変わらずあの二人は仲がいい。
「おーい、武士!」
声のする方向を見ると、きわどい紫の水着を着て胸をたゆんたゆん揺らしながら祭童がやってくる。
「あー祭童様、胸が大きくってスタイルもよくってずるい!ずるいであります!」
ヒルダがピョンピョン跳ねて怒った。
「あーきもちよかった、いい風呂だな、姉貴も一緒に来たかったなあ」
佐脇嬢がやってくる。
「うっせえ、あいつの事は言うなって言ってんだろう、ひつけえなあ」
「いーじゃねえか、休みの日くらいついてくんなよ、保護者面しやがってよお」
佐脇嬢が兄の前田をにらむ。
「だまれ、いつまでたってもお前が妹であることには変わらねえんだよ、アイス食うか?」
「あ、ソフトがいい、いくいくー」
佐脇嬢はぴょんぴょん跳ねながら前田についていった。やっぱりまだ子供だなと思った。
「なんだ、さっきから女のケツばかり見おって。女はそういう視線をすぐ見抜くのだぞ」
そういって祭童が武士の顔を覗き込んだ。
「そ、そんなとこ見てません!」
「じゃあ、胸を見てたのか、さっき私の胸をシゲシゲと見ていたように」
「そ、そんな……」
武士は言葉につまった、見てないといえば嘘になる。すごく魅力的で吸い込まれるように見てしまっていたのだ。
「さわらせてあげようか」
祭童が武士の耳元でささやく。
「うっ……」
武士は一瞬息をのんだ。
「嘘だよ、ばーか!きゃはは」
祭童は走り去っていった。その後姿を武士は呆然と眺めているだけであった。
「もう!祭童様のおしりばっかりみるなであります!見るならヒルダを見るであります。ほら、犬尻尾でありますよ!」
嫉妬したヒルダがお尻に犬尻尾をつけて武士の前に行ってブンブンと振った。
「いやー、にゃはははは」
頭をかきながら武士は苦笑いする。
「武士の馬鹿!」
カトリーヌがイキナリ武士のムコウズネを蹴り上げ、怒っていってしまった。
そこに忍者の甲賀長門が通りがかり、チベットスナギツネのような目で武士を見る。
「二兎を追うものは一兎を得ず」
甲賀長門はそういって去っていった。鍛え上げられていて、きりっとあがった綺麗なお尻だった。
おムネもいいけどお尻もね。




