レジスタンスの逆襲
レジスタンスは赤坂見付で攻撃を開始、反撃を試みる
「何?その木性火とかいうの」
「ですからレジスタンスの頭目が使っている東洋思想の五行です」
「くだらねえ、クラウゼビッツだけありゃ十分だっぺよ」
「そうでしょうか?」
「そうだ」
都知事室でやる夫都知事はユーベルトートの説明を聞いていた。
「なんていうか、もっと潰すとか殺すとかそういうのはねえのかよ」
「ありますよ」
「ならそっちを聞こう」
「はい、五行にはさきほど申しました生というものとともに、相手を害する剋というものがあります。すなあち
木酷信、庶民は神など信じず、宗教こそ害悪であり潰してなくしてしまうべきだと考えています。
火剋金、政治資金規正法など政治家は権力があっても法律によって己の身を制約されるため警察や司法が
大嫌いです。また軍隊面倒な存在です。政治家からすれば官職は寄付金もくれず、接待もしてくれず、
無用の存在です。しかも、命令によって警察や軍隊の上位職の人間をクビにしたり左遷したりする権限も持っています。
土剋水、信者は知者を見下し、聞く耳を持ちません。知者は教祖の矛盾点をあばきだし、教祖様のメッキをはがそうとする
悪いヤツラですですから信者にとって知者は無用なもので社会から抹殺しようとします。水剋火。
知者、学者は、自分の発明で世の中がよくなったり、世界を変える願望があるのに、それを邪魔するのが政治家です。
スキあらば予算を削ろうとし、しかも隠れて悪い事をしたり、選挙で当選するために嘘をいいます」
「それ、オラに対する悪口だっぺか?」
「いいえ」
「おめえ、知者だな」
「左様ですか」
やる夫はユーベルトートに近づいてガツンとヘルメットの上から頭を殴った。
「丈夫な頭だな」
「お怪我はありませんか」
「これくらいで壊れるような鍛え方はしてねえ」
「恐れながら!
そこに通信兵がはしりこんでくる。
「なんだっぺ!」
「ただいま赤坂方面にレジスタンス軍が侵攻、信濃町方面軍と交戦中です。ご指示を」
「あー?茶ヘル、お前がなんとかしとけ」
「はっ」
通信兵はユーベルトートにテレビ電話を手渡す。
「お電話かわりました、担当のユーベルトートです」
「至急援軍を!敵の奇襲攻撃を受け、一個師団壊滅しました!当方面軍だけでは支えきれません!至急援軍を!」
「信濃町といえば精鋭部隊が駐屯していたはず。それで、敵は何個師団で攻めて来たのですか? 」
「二人です!」
「二個師団でよろしいですか? 」
「二人です!」
「は?」
「うわ、来るな!化け物っ、ぐえっ」
あちらのテレビ画面に血が飛び散った。
「なんだーこれ?あっちの本部につながってんのかー?」
筋肉隆々にタンクトップ、鋼鉄の巨大なハンマーを担いだ男がテレビ電話の画面を覗き込んでいる。
「何やってんのよ、ミマサカ・フーバー、ほんと、あんたの子守はもうなっぴらなのよ」
「何言ってやがるクロード、敵はほとんど俺がやっつけてやったんだからよ、おめえはトイレの鏡でも見ながら
化粧なおしでもしてなよ」
「はあ?敵の一個師団壊滅したのは私でしょ?話し盛らないでくれる?馬鹿なの?死ぬの?ゴリラなの?それに
私は化粧しなくっても十分に美人なのよ!」
「へーへー、オッパイと顔だけは一人前だが、これで性格がともなってりゃねー」
「うっさいわよ、このへっぽこ!」
「いてっ、ケツを蹴るなよ、ばっきゃろー」
「あ?何これ」
「なんか敵さんの本部が写ってるみたいだぜー」
「そうなの? 」
クロード・ハンペータがテレビ画面を覗き込む。
「何よ、この薄汚いヘルメットは。こんなクソ弱い軍隊駐屯させてんじゃないわよ。もっと強いのよこしなさい、
亀の頭みたいなヘルメットかぶったお馬鹿さん」
「そうですか」
「ほんと、あなたたちクズね、ごみ、かす、弱い人たちを虐げて甘い汁を吸うゴミ虫」
「はいはい」
「ハイは一回でいいのよ、この低脳!あんたのヘルメットから血の匂いがするわ、いままでどれだけ
罪もない人たちを殺してきたのかしらねえ」
「はい、そうですか」
「この人殺し、あんたみたいなのは絶対に不幸になるは、絶対!あんたは破滅するのよ、ゴミ虫さん」
「はい、そうですか、そうですか」
クロードの罵倒にミマサカも加わる。
「なんだー、こいつユーベルトートって人殺しだぜ、とんでもない人間のクズなんだってよ、弱い者いじめが
大好きで戦争が大好きな人殺しのゴミなんっだってよー」
「はい、そうですか、そうですか」
「ごみ!かす!クズ!この腰抜け野郎、悔しかったらここに来て戦ってろや、弱虫ヘルメットがよお。待ってるぜ」
「はい」
「早くしねやクズ虫!」
「はい、はい、そうですか、そうですか……で?」
ブツッと電話が切れた。
「なんだ、赤坂に敵がせめこんでんのか?早く行って始末してこい」
「いいえ、行きません。来ているのは二人だけですから。それよりも今、港方面で何か軍の移動はありませんか?」
「いや、別に軍はうごいてねえよ、初芝埠頭に貨物船が来てるだけで」
「それですね、至急、近隣に駐在している精鋭の中でももっとも有能な人物を派遣してください」
「またわけのわかんねえこと言ってんのか。まあいいや、難しいことはわかんねえから全部お前に任せる。
失敗したら俺のせいにしろ」
「ありがたき幸せ」
ユーベルトートはやる夫に向かって深々と頭をさげた。
レジスタンスの人員は特殊能力者二人。この二人の攻撃で都庁軍は大打撃を被る。




