(5)
ドォン!
大砲の音がしたと思ったら、比較的近くで爆発した。
鼓膜がおかしくなり、素肌にパラパラと爆発の名残が当たって火傷するが、そんなの構っている余裕など一切なかった。
「海軍だわ! 早く、逃げるのよ!」
シェラザードの声が響く。
「……っ」
まともに粉塵を吸い込んでしまったエミュは、起き抜けという事もあり、激しく咳き込んだ。
「私に掴まって。エミュ」
シェラザードに掴まり、何とか一番近い塹壕にたどり着く。
そこには数名の先客がいて、驚いた様子でこちらをしげしげと見つめてきた。
それもその筈、二人は裸同然だったのだから。
「死神エドワードの女か?」
一番位が高そうな海軍の制服を着た二十代半ばの男が、そう尋ねてくる。
エミュは口元を両手で覆い、未だ咳き込みつつ、二人の話を聞いていた。
「誘拐されたのです。私はソウの国の王女でシェラザードといいます」
シェラザードがそう言うと、その将校は上着を脱いで、差し出してきた。
「シェラザード姫。よくぞご無事で! 皆、一旦下がるぞ」
その号令で、その場にいた一同は何も言わずに頷いた。
☆章割りしてなかったので、適当な感じに……。