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84.慣れた手つき

84.慣れた手つき


 タクシーが教えてもらった住所の近くまで来ると、康祐は和美を起こそうと試みた。しかし、和美は起きる気配すらなかった。そうこうしているうちに、タクシーの運転手が和美の言っていたマンションを探し当てた。

「今はこれがあるから、うんと楽になったよ」

 支払いを受け取りながら運転手はご自慢のカーナビゲーションを指した。

 どうにかこうにか和美をタクシーから降ろすと、抱きかかえるようにしてマンションのエントランスへ向かった。

「参ったなあ」

 オートロックだった。悪いとは思ったが、康祐は和美のバッグの中を探してみた。本人が起きないのだから仕方がない。鍵はすぐに見つかった。オートロックを解除しマンションの中に入った。ご丁寧に、鍵には部屋番号が記入してある。康祐はその番号通りに508号室まで来ると、玄関のドアに鍵を差し込んだ。開いた。

 とりあえず、明かりを点けて辺りを見渡した。廊下の先がリビングのようだった。康祐は和美をリビングまで運び、ソファーに降ろした。それから、いくつかの部屋を覗いてみた。ベッドルームを見つけて、和美をベッドに移した。靴だけを脱がせて康祐は立ち去ろうとした。そして、あることに気が付いた。鍵を閉められない。

「仕方がない。彼女が起きるまでリビングで待つか」

 ちょうどその時、和美が起き上がった。

「よかった!僕はこれで帰るから、ちゃんと戸締りをして」

「ダメ!もう少し待って。シャワーを浴びたいの」

「シャワーなら一人でもできるだろう」

「酔ってるから無理!主任が洗って」

 和美はそう言うと、服を脱ぎ始めた。

「ちょっと待て…」

 康祐が止めようとしたが、和美はあっという間にすべてのものを脱ぎ捨てた。そして、康祐のズボンのベルトを緩め始めた。

「主任も脱いでください」

 和美は慣れた手つきでズボンを下ろすと、今度はワイシャツのボタンを外しにかかった。抵抗出来なかったのかと言うと、決してそうではなかった。呆気にとられている間に康祐は和美に裸にされてしまった。

「さあ、行きましょう!」

 和美は康祐の手を取って浴室へ向かった。








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