表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/100

52.トラブル

52.トラブル


 はじめは週に一度程度だった。ママは若い割に煮物などの中年受けする料理が得意だった。それらの料理は最初に食べた筑前煮に負けないくらい美味かった。


「俺の田舎では筑前煮のことを“がめ煮”って言うんだ」

「あら、お生まれはどちらなんですか?」

「九州の大分だ」

「まあ、私は福岡なんですよ」

「そうなの?じゃあ、隣同士じゃないか」

 二人は同じ九州出身だという事で、急に親近感を抱くようになった。小田切はそれ以来、店に顔を出す回数が増えていった。


 博子が帰り支度を整えて康祐の席へ向かっていると携帯電話の着信音が鳴りだした。小田切の机の上で鳴っている。小田切は今日、現場から直帰することになっている。

「あら、主任ったら携帯を忘れて行っちゃったのね」

 その直後に会社の電話が鳴った。博子が受話器を取ると、相手は焦ったように話を切り出した。どうやら、現場でトラブルがあって、すぐに小田切に来てほしいという事だった。博子は康祐と相談して、緊急なので自宅に連絡し、伝言を頼むことにした。

「小田切さんのお宅ですか?ティーエムアーキテクトの佐久間です。実は…」

 博子は一通りの事情を説明した。

「あら、主人は出張なのではなかったでしょうか?」

 電話に出た小田切の妻はそう聞き返してきた。出張?そう聞いて博子は咄嗟に、下手なことは言えないと思った。

「主人はひと月前から出張で週末しか帰宅しないのですよ」

「ええ、ですが今日はたまたま会社に用事があって、戻っていらしたので帰宅されたかもしれないと思いまして…」

「そうでしたか。主人は仕事人間ですからそのまま現場に戻ったのかもしれませんわね」

「あ、はい。そうかもしれませんね。それではそちらの方に連絡を入れてみます」

 電話を切ると、博子は康祐を見た。どうやら小田切は出張だと言って家には帰っていないらしいと告げた。

「なんか信じられないなあ。それより、現場の方が心配だよ。その現場なら僕も知っているから、今から僕が顔を出してみるよ」

 そう言って康祐は事務所を飛び出した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ