46.日曜日に付き合って!
46.日曜日に付き合って!
6月に教会で二人だけのウエディングなんて…。結婚式で着るウエディングドレスは、式場でレンタルする。それを前借りして来るわけにもいかない。この期に及んで…。6月まであと1週間しかないのに、思いつきで出来るほど簡単なことじゃないわ。
結婚式の準備は着々と進んでいった。既に6月の半ば。康祐が6月に二人だけで教会に行こうと言ったことなど、博子はすっかり忘れていた。
初めて博子が手料理を披露して以来、定時で帰宅したときは博子が夕食の支度をして康祐を待つようになっていた。
結婚式の後1週間、新婚旅行やなんだかんだで二人とも休暇を取っている。康祐はその間、仕事に支障が出ないようにずいぶん前から調整をしていた。そして不在の間は主任の小田切が代理で業務を行ってくれるという事もあり、比較的時間に余裕が出来ていた。
博子が食事の支度を終えると、計ったように康祐が帰ってきた。
「ねえ、今度の日曜日なんだけど、ちょっと付き合って貰いたい所があるんだ」
「あら、どこ?」
「まあ、退屈はさせないから」
康祐は具体的なことを言わず、浮かれたような顔でオニオンリングフライを一つ摘まんで口に放り込んだ。
「うわっ!これ美味いね!すぐ着替えて来るよ」
康祐はそう言うと、寝室へ姿を消した。
日曜日は康祐の車で木場まで出かけた。そこは何の変哲もないマンションだった。
「このマンションに知り合いがいて、全部段取りしてくれたんだ」
博子には何の事だかさっぱりわからなかった。車から降りて康祐に案内された部屋に入って博子は目を丸くした。
「れっきとした教会だよ」
康祐が言った。こんなマンションの中に教会があるなんて思いもよらなかった。『堺福音教会東京チャペル』ちゃんとしたキリスト教の教会だった。
「お待ちしてましたよ。新婦さんはこちらで準備をして下さい」
教会のスタッフらしい女性が博子を手招きしている。博子には何が何だかわからなかった。康祐はずっと、ニヤニヤしながら博子の様子をうかがっている。
「やっぱりジューンブライドだよね」
康祐の言葉に博子はハッとした。そして思い出した。やっぱりこの人は本気だったんだ!




