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38.連れ

38.連れ


 “わかば”の食事代は湯川が出してくれた。博子は断ったのだが、強引に押し切られた。新大橋通りを湯川と並んで歩き、中の橋に入る頃、博子の携帯に康祐からメールが入った。博子は立ち止まってメールを確認した。

『8:00頃には行けるから先に飲んでて』

 携帯を見ている博子に湯川が声をかけた。

「彼氏から?」

「ええ、まあ…」

「待ち合わせ?」

 博子は実は“純”で康祐と待ち合わせしているのだと湯川に告げた。湯川は納得したように頷いた。

「どうりで!じゃあ、一緒に入らない方がいいね」

 湯川はそう言うと、先に一人で歩いて行った。博子は湯川を追いかけて大丈夫だからと言い、二人で店に入った。

 店に入ると、二人の顔を見て曜子は驚いた顔をしていた。

「たまたま会ったんだ。彼氏と待ち合わせなんだって」

 湯川が先にママに告げた。とりあえず、二人でカウンター席に着いたが、湯川は遠慮して、一つ空けた席に座った。


 都営新宿線の電車の中はラッシュを過ぎたこの時間でもそこそこ混み合っていた。背中を押された康祐が振り向くと、見覚えのある女性がそこに居た。理恵だった。

「康ちゃん!やっぱり康ちゃんだ。今、帰りなの?」


 博子たちが店に来て数分後、入口のドアが開く音がした。康祐だった。博子は笑顔で康祐を迎えたが、一瞬で怪訝な表情に変わった。知らない女性と一緒だったからだ。よりによってこんな日に女連れで来るなんてどういうつもりなのかしら…。

 康祐が博子の隣に座ると、その女性は康祐の横にすわった。そして、まじまじと博子を眺めてから康祐に向かってこう言った。

「おめでとう」

 康祐はその女性を博子に紹介した

「電車の中で偶然会って、これからプロポーズしに行くと言ったら、どうしても君の顔が見たいって無理やりついて来たんだ。元妻の理恵」

 元妻?この人が…。






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