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33.けじめ

33.けじめ


 若杉家についた康祐は玄関のインターホンを押した。すぐに麻美の声がした。

「ティーエムアーキテクトの佐久間です」

「あら、こんな早くからどうしたの?まあ、いいわ」

 麻美はそう言うとしばらくしてから玄関のドアを開けた。ドアの隙間から見えた彼女は下着の上にTシャツを着ただけの姿だった。康祐は一瞬、ギョッとしたがすぐに麻美が早く中に入るよう促した。

「恥ずかしいから早くドアを閉めて」


 康祐は応接に通され、麻美はお茶を入れて来ると言ってキッチンへ向かった。麻美は着替えることもせずにお茶を入れて応接に戻って来た。

 こうして見ると、確かに麻美の体は魅力的だった。康祐の真向かいに腰を下ろした麻美はわざと下着を見せる様に足を組んだ。

「昨夜は話の途中でお(いとま)して申し訳ありませんでした」

「まあ、律儀なのね。それでこんな朝っぱらから続きをしに来たの?」

「実は、僕には婚約者が居るもので…」

「バカねぇ、そんなこと関係ないわよ。私にだってダンナがいるわよ」

 麻美はそう言うと、康祐の横に座り直して体を寄せてきた。そして、康祐の手を取り、(あら)わになった自分の両足の間に滑り込ませた。康祐は手を退こうとしなかった。麻美は康祐の唇に自分の唇を重ねた。

「一つお願いがあります」

「大丈夫よ。全部大丈夫だから安心して」

 麻美は康祐の話を聞こうともせず、康祐の服を脱がし始めた。そして、康祐の手を取ると、寝室へ入っていった。


 博子は何事もなかったかのように業務をこなしていた…。そのつもりだったが、高田に声を掛けられた。

「そんなにそわそわしてどうしたの?もしかして佐久間から若杉さんのことを聞いた?」

「はい。社長ってひどい人ですね」

「すまん。だけどあいつなら大丈夫だから」

「はい。分かってますよ。さて、お昼は何をご馳走してもらおうかしら」

「あれ?僕は一杯食わされたのかな?」

「さあ、どうでしょう」

 そう言って博子は満面の笑みをして見せた。




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