3.面接に立ち会ってくれ
3.面接に立ち会ってくれ
今日の夕方は人と会う約束があるのだけれど…。博子はどちらを選ぶか秤に掛けた。答えは一瞬で出た。
「分かりました。これから伺いますが、30分ほどお時間を頂いても宜しいですか?」
面接に1時間かかったとしても、待ち合わせの6時半には移動時間を含めても余裕で間に合う。この時はそう思ったのだった。
「分かりました。お待ちしております」
高田はそう言って電話を切った。
株式会社ティーエムアーキテクトには康祐の様な設計士が15人いる。他に営業担当が2人、あとは社長と事務の女子社員。
この日は女子社員が休んでいることもあり、フロアには康祐と社長だけだ。
営業マンはほとんど社内に居ない。直行直帰ということもしょっちゅうだ。設計士達も現場に出向くことも多く、そう言うときは社に戻らないこともある。
そんな状況で電話を終えた社長が康祐に声を掛けた。
「今から新しい女の子の面接をやるから立ち合ってくれ」
「えっ?僕が面接にですか?」
「おう!いくら小さな会社だと言っても、二人くらいは面接官が居ないと格好付かないだろう」
康祐は思った。まあ、社長の言うことも分からないではない。面接の相手は先ほどの電話の女性なのだということも分かっている。なかなか礼儀正しい落ち着いた感じの印象があった。正直なところ、ちょっと会ってみたいと思ってもいた。
「分かりました」
康祐は返事をした。幸い、今は立て込んでいる仕事もないことだし…。
30分を少し過ぎた頃に彼女はやって来た。応接室へ案内するために康祐が受付まで彼女を迎えに言った。
康祐は電話で年齢までは聞かなかったが、二十代の後半だろうか…。肩に付くか付かないかのまっすぐな黒い髪がとてもきれいだ。顔立ちも整っていて、電話の声のイメージにぴったりだった。そして、適度に日焼けした肌が健康的に見える。ダークグレーの落ち着いたパンツスーツもセンスがいい。
当たりだ!康祐はそう思った。