27.いやな予感
27.いやな予感
博子は大島の中の橋にあるスナックに来ていた。先日、康祐と一緒に飲んだ店だ。
ママの曜子がお通しのプレートを置いた。
「佐久間さんと待ち合わせ?」
「そういうわけではないんですけど…」
確かに約束をしたわけではなった。康祐もすぐに帰ると言ってくれたのだが、博子はまっすぐ家に帰る気にはなれなかった。
「呼んじゃえばいいじゃん!」
曜子がそう言い、博子もそうしようと携帯電話を手に取った。その時、博子の携帯にメールの着信が入った。
「あら!もしかして彼かしら?」
曜子の言う通り、康祐からのメールだった。
『ちょっと遅くなりそう。純にでも行ってて』
“純”とは博子が今いる、この店のことだ。博子はそのメールに返信せず、そのまま電話を閉じた。なんだか嫌な予感がする…。
「違ったかしら?」
「そうではないんですけど、仕事、遅くなるみたい」
「あら、そう…。残念ね。でも、ゆっくりしていってね」
「はい。そうさせてもらいます。ママも一杯どうですか?」
康祐のグラスにはヴーヴクリコが注がれていた。隣では、かなり酔った若杉の妻が康祐にもたれかかっていた。
「奥さん、かなり酔ってらっしゃるので、今日はもうこの辺にしておいた方が…」
「あら、奥さんはやめて。麻美と呼んで」
麻美は康祐の首に両腕を巻きつけると、顔を近づけてきた。
「奥さ‥じゃなくて、麻美さん、ご主人が居ないのにいけません」
「あら!じゃあ、居る時ならいいの?」
「そうではなくて、ご主人に叱られます」
「いいのよ。あの人もきっと今頃どこかで同じことをしているわ…。それとも、こんなオバさんじゃ嫌かしら?」
「オバさんだなんて…。麻美さんは素敵な女性だと…」
そう話している途中、康祐は突然、麻美に唇をふさがれた。




