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 康祐に取り次いだ電話の相手…。お客様だということは判っている。けれど、嫌な予感がする。若杉だと名乗った女には気を付けなければならない。根拠はない。ただ、女の勘とでもいうべきか、とにかく、博子はそうしなければならないような不安感を抱いたのだった。

 メールを確認した康祐はふくれっ面でこっちを見ている博子に微笑んだ。康祐は時計を指して立ち上がった。間もなく5時になる。

 終業を知らせるチャイムが事務所内に鳴り響くと博子は康祐の後を追って事務所を出た。


 康祐と博子は九段下駅前のスターバックスに入った。康祐は社長から任された仕事のことを博子に説明した。博子も頭では納得していた。

「君があんな顔をするなんて意外だったよ。改めて“女の子”なんだなあって思った」

 康祐は笑いながら言うけれど、博子は笑う気にはなれなかった。

「気を付けて下さいね…」

「大丈夫だよ。要点だけ聞いたらすぐに帰って来るよ」

 康祐は博子の言葉の意味が解っていなかった。博子は何も言わず、康祐の顔を眺めた。


 康祐が若杉家を訪ねると、旦那は出掛けていて奥さんだけしかいなかった。康祐が出直してくると告げると、彼女はこの件は自分が任されているからと康祐を招き入れた。

 出されたお茶を飲みながら、しばらく世間話をしていた。ところが一向に家の話が始まらない。

「ところで、さっきの打合せの時に言い忘れたことというのは…」

 康祐が切り出すと、彼女は席を立ち康祐の後ろに回った。そして、康祐の肩に手を置き、耳元で囁いた。

「主人は今夜、帰ってこないわ。だからゆっくりしていってちょうだい」

 康祐はびっくりして思わず立ち上がった。

「い、いえ、ちょっと予定があるので長居はできないんです」

「あら、高田さんがあなたに任せたのはこういう部分も含めてのことなのだと思っていたのだけれど、違ったのかしら?」

 社長の名前を出されたら康祐としても無下にはできない。それにしてもこの人は…。








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