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25.どことなく似ている

25.どことなく似ている


 康祐は席に戻るとズボンのベルトを緩めた。博子の手前、意地でも全部平らげてやろうとひたすらカツカレーを詰め込んだ。スパイスの効いた美味いカレーではあった。しかし、あの量は尋常ではなかった。のどが渇いたが水もお茶も入り込む余裕がないほど、康祐の腹は膨れていた。

「おい、どうした?」

 社長の高田だ。いきなり康祐の背後から声をかけてきた。

「い、いえ何でもありません。ちょっと食べ過ぎちゃいまして」

「まさか、カツカレーじゃないだろうな」

「えっ?」


 康祐は午後から高田と外出した。高田の幼馴染が家を建て替えるというので設計を依頼してきたのだという。高田は康祐に担当させるつもりで打合せに連れてきたのだ。

「腹はもう落ち着いたか?」

「はい」

「なら、よかった。客先でお茶も飲めないようじゃ失礼だからな」

 高田はそう言って高笑いした。 それにしても、康祐は社長があの店のカツカレーを知っていることが驚きだった。

 先方に着くと、高田の幼馴染は夫婦で打合せに応じた。打合せは一時間ほどで済んだ。細かい内容は改めて奥さんの方と進めることになった。

帰る途中、康祐は高田に聞いた。

「あの店にはよくいらっしゃるんですか?」

「ああ、学生の頃によく行ったよ。それより若杉のところは任せたぞ」

「はい、ご期待に添えるように頑張ります」

 若杉というのが高田の幼馴染の名前だ。幼馴染の旦那は落ち着いた紳士といった感じだったが、奥さんの方は美人ではあるが、活発で世話好きなお姉さんといった感じだった。どことなく理恵に似ている。康祐はそう思った。


 事務所に戻ると、早速、若杉の奥さんから電話が入った。先ほどの打合せで言い忘れたことがあるから今夜にでも来てほしいというのだ。康祐は仕事が終わってから訪ねる旨、伝えて電話を切った。

 すぐに博子からメールが来た。電話を取り次いだのは博子だったから。

『だれ?』

 博子はわざとらしいふくれっ面をしてこっちを見ている。




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