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変なAIシリーズ

カーナビよ! 俺を何処に連れて行く気だ⁉

作者: 野井琅世
掲載日:2026/07/22

事前に謝罪しておきます。

北関東の方々、申し訳ありません。



 カーナビが壊れた。

 どうしようかと思ったが、無いと困るので安いカーナビを購入した。

 今日は、そのカーナビを試しつつ、友人に会いに行くところだ。

 まあ、最悪、ナビが無くとも辿り着けるので、本当にお試しのつもりだった。

 そして、今、試しに使用してみて本当に良かったと思っている。



『五百メートル先、魔界の門入口です』



「何処に連れて行く気だよ⁉」



 思わず叫んだ。

 叫ばずにはいられなかった。

 決して俺は悪くないと思う。


『魔界の門を潜ると、北関東自動車道です』


「インターチェンジじゃねぇか!」


 インターチェンジを魔界の門扱いはどうかと思う。

 と、言うか、北関東自動車道を魔界扱いするんじゃねぇ!

 単なる高速道路だよ!


「このナビ、クセが強すぎるだろ……」


 思わず口に出た。

 何を思って、こんな案内をするようにしたのか開発者を問い詰めたい気分だ。

 だが、今更言っていても仕方がないので、とりあえず車を栃木方面に向かわせる。

 この際、最低限、目的地に辿り着けるのなら目を(つむ)るつもりだ。


『一キロメートル先……』


 カーナビが何やら話し始める。

 今度は何を言い出すつもりなのか?

 真面な案内である事を祈るばかりだった。



『姫騎士がオークと戦闘中です』



「群馬で何があった⁉」



 本当に何が起きているのか。

 聞いた情報からは何も分からない。

 と、言うか、この話が事実なのだとしても、高速道路上で戦闘をするな、としか言えない。


『五百メートル先、姫騎士がクッコロ状態です』


「知らねぇよっ!」


 本当に知った事ではない。

 それを運転手に聞かせて、このカーナビはどうしてほしいのか。

 姫騎士を助けろとでもいうつもりなのだろうか?


『この先、オーク村パーキングエリアがあります』


「あってたまるか!」


『休憩しませんか?』


「オーク村で休憩する訳ないだろ! もう少し、真面な休憩の勧め方をしろよ!」


 叫びながら、パーキングエリアを通り過ぎる。

 パーキングエリア内まで見えた訳ではないが、少なくともオークの姿は確認できない。

 と、言うか、当たり前の話だが、オークなど居る訳が無かった。


「群馬を何だと思ってるんだよ!」


 このカーナビ、群馬をファンタジー世界か何かと思っているのではないだろうか?

 そんな疑問が頭をよぎる。

 とりあえず、気にしたら駄目な事は分かるが、無視するにはツッコミどころしかない。

 正直、少し苛々(イライラ)する。

 だからこそ、意識して心を落ち着かせ、車を走らせ続けた。

 (しばら)くは道なりだ。

 カーナビの案内も無いだろう。

 そう思った時だった。


『ストロベリーキングダムに入国しました』


「栃木をイチゴ王国だと思ってる⁉」


 イチゴは栃木の名産だが、別にイチゴに支配された国ではない。

 あと、不意打ちで訳の分からない案内をするのは止めてほしい。


『ストロベリーキングダムから、行方不明の姫騎士を探してほしいと緊急ミッションが……』


「さっきのパーキングエリアに居るんじゃない! 知らねぇけどな!」


 カーナビに、緊急ミッションまで発令されてたまるか!

 高速を逆走でもさせたいのか! 


『目的地の再設定が必要です』


 思わず舌打ちした。

 訳の分からない案内の次は、動作不良かと思った。


『目的地が、北関東の裏切り者になっています』


「茨城は何も裏切っちゃいねぇよ!」


 もう何度目になるか分からないが叫ぶ。

 何をもって、茨城を裏切り者呼ばわりしているのか。

 いくら何でも、茨城県に失礼すぎる。


『茨城には海があります』


「海があるだけで裏切り者になるなら、日本の都道府県の大半が裏切り者だよ!」


『群馬・栃木は茨城と手を切って、埼玉と同盟を組むべきです』


「海なし県で(くく)ろうとすんな! あと、別に北関東の括りは同盟じゃねぇだろ!」


 海有り県に親でも殺されたのか?

 海有り県に対する当たりが強すぎる。


『また、山梨・長野と手を組んで、東京に攻め込む事を進言いたします』


「何の進言⁉ カーナビが日本に戦乱を起こそうとするんじゃない!」


『茨城には、再同盟をチラつかせ、ネズミの王国に攻め込ませましょう』


「千葉な! ネズミなランドあるだけで、別にネズミの王国じゃねぇから!」


 叫びながら、カーナビの画面をチラ見する。

 そして、画面を確認した瞬間、思わず突っ伏しそうになった。

 運転中なので、かろうじて(こら)えたが……


「何でカーナビの画面で戦略図を表示してんだよ⁉」


 そう、カーナビの画面で戦略シミュレーションが始まっていた。

 完全に案内を放棄している。


『カーナビの野望・全国編です』


「何を思って、そんな機能があるんだよ⁉」


『運転中の退屈しのぎです』


「運転中にゲームをしろってか⁉ 事故るわっ!」


 開発者の頭の中を覗いてみたい。

 そして、運転免許を持っているのか確認したかった。

 車の運転経験が無いから、こんな物を開発したのではないだろうか?

 それか、開発者は事故を誘発したいのかもしれない。

 開発者は車を憎んでいるのかもしれないとさえ思った。


『カーナビの野望・全国編を終了します』


「そうしてくれ!」


 叫ぶと、カーナビの画面が暗転する。

 訳の分からないゲームが終了したようだ。


 だが、ホッとしたのは束の間。

 何故か、荘厳な音楽が流れ始める。


『カーナビ・クエストを起動します』


 その言葉と共にカーナビの画面に表示されるゲームタイトル。

 それを横目で見て……


「RPGを起動するなぁぁぁぁっ!」


 俺の力の限りの絶叫が北関東自動車道に響き渡った。

一応ですが、私は北関東の人間ではありません。

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