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第72話 偽教師真白ハルナ

 今こそ受けた恩を返すとき!

 シズカさんはそうだと思った。

 彼女の中で、もう自分がなんたら星人なんて意識はなくて、思わず異星の技術を語ってしまうところだった。

 それをハルナちゃんが、止めてくれたのだ。

 普段、あんまり友好的な感じがハルナちゃんからはしないけど、とにかく破滅から救ってくれた。


 ハルナちゃんはきっと準備不足だ。

 彼女をこの時代に送り込んだ「何者か」は何も知らないのだ。

「高等学校」はシズカ達の「青春学校」とは違うのだ。教科なんて概念は無い。未開の蛮族である地球人のやり方の知識が無くては、目の前のハルナちゃんのように慌ててしまうだろう。

 しかし彼女も誇り高きケンタウリ人、未開の蛮族である地球人の学問など、オチャノコサイサイに決まってる。


「ハルナちゃん先生は、当然全ての教科を担当するに決まっているわ!」


 ハルナの窮地を救い、かつケンタウリ人の誇りを守るため、トラブルシューター・シズカは全力でフォローする!いらんことを!


「??……そうよ、全てよ!」


 多分違うと思うけど。

 そうは思いながら、先任であるシズカのフォローに乗っかるハルナだ。


 ホームルーム直後のほんわか雰囲気が崩壊した。

 全教科担当ってなんだ?小学校じゃあるまいし。

 真白ハルナ先生。小さいのにすごく賢そうだし、座学全て担当と言われても何となく、「そーなんだー」って雰囲気があるけど、まさか音楽保健体育家庭科全て担当できるなんて凄い!

 小さいのに…!


「ククク……正体を現したわね、ハルナちゃん先生!」


 それはハルナに問いかけた女子生徒だ。

 右手でメガネをくいっと上げて左手でハルナを指さす。

 探偵だ!


「良いこと?貴方のいた国ではどうかは知らないいけど」


 ハルナは特に出身地の話をしていないのだが、全体が白い彼女が日本人ではないことは明らかだろう。


「ここでは教員免許を取得できる下限の年齢は20歳からなのよ!だからあなたのような幼い女の子が教師になる事は不可能。ましてや全教科担当なんて、ありえないのよ!」


「幼くないし……」


 実際より若く見られることは自覚しているが、幼いとまで言われるとは。

 ちょっと落ち込むハルナ。

 追い打ちをかける探偵女子。

  

「あなたはきっと間宮先生を殺害し、彼に成り代わろうとしたのね!」


 メリットが全くない!

 それに、間宮先生は……。


「間宮先生なら私が町に戻ってきた日には多分死んでたと思う。あの辺で」


 シズカが指さすのは校庭の隅、体育倉庫の辺り。


「10……1、2、3……全部で13の十字架に(はりつけ)られていたわ」

「そんな……」


 驚愕女子が口を押さえ、膝から崩れ落ちる。

 なんだコイツ等と思いながらもシズカは続けたか。

 

「でも終戦の翌日にはもう何も残ってはいなかった」

「一体誰が……」


 話し回し(トークローテーター)男子が繋ぐ。


「……一体誰が、ですか。ここは「何が起こってるんだ?」そう回すのが普通。なのにあなたは「誰が」と言った。つまりあなたは犯人を、もしくは犯人に近しい人物が先生の遺体を隠蔽した事実を知っている、もしくは実際に見た……」

「憶測で物を言わないでくれ!僕はただこの事件は、人間以外に黒幕はあり得ないと考えて」

「たいした勘だ。もしくはあなたが……」


 ストーリーボード男子がメモするホワイトボードは矢印がいったり来たり。

 

「あ〜もういいかな?先生、職員室に戻らなきゃ……」


 もしくは、学校から撤退するか。

 困惑するハルナに、シズカはただ頷いた。


『あとで話がある』


 ハルナとすれ違う時に、二人だけにわかるケンタウリ語で。シズカは語りかけた。

「もしくは」多すぎ問題

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