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第43話 喫茶グリモワール

「何かバタバタしてたみたいだけど」


 ここはこだわりのロマン喫茶「グリモワール」。いつもの奥の席に座るのは、いつもの二人。

 町が夏祭りの間、スコップはミツルさんを愛でて楽しんでいたので、何があったのかは知らないし、知りたくもない。でも向かいに座っている猫姉さんの様子からして何があったか聞く必要があるようだ。

 そうそう、結局ミツルさんはシズカに会わず帰っていった。ただ、第23号窟はそのままなのでまた戻ってくる気なのだろう。


「シズカに接近した形跡もないし、何しに来たんだ?」


 彼女も超先進文明の生まれだ。何か自分にはわからない仕掛けでもしていたのだろうと、スコップは納得することにした。


「シズカさん何かあった?」

「ナニモナイデスヨ」

「ミップルが君の所にお冷やを置くときにスゴい睨んでたんだけど?」

「……私に言わせれば、なんで知ってんのか?ということなのだけど」

「まさか、祭りのどさくさで姫にチューしたんじゃないだろうね」

「してない。チューはしてない」

「この国の言葉って便利だよね?「は」っていうことは、チュー以外のことはしたのね。ミップルが怒る何かを」

「あんた、名探偵か?」

「そのエロ猫さんは!」

「げ、ミップル……」

「ペロリをしたんです!」

「何?ペロリ?」

「未遂だ!ほら、向こうのお客さん、用があるんじゃ……」

「戦いのあと腰を抜かしたシズカさんを心配した姫の優しさにつけ込んで!」

「コエガオオキイデス……」

「姫のほっぺ、首筋……」


 ビシッとスコップが持つグラスが悲鳴を上げる。


「浴衣の合わせ目から除く、胸元……」


 ピキリ。

 チガウチガウ……。


「恥じらう姫が身体を捩ると露わになる、白いおなか……」


 バキン!

 チガウッテチガウッテ……。


「帯も緩んで、肩に掛かっているだけになった浴衣の前を強引に広げて……」

「スコップさん、爪!爪ぇ!そんなことしてないからぁ!」

「……ホントの所は?」

「ブチュろうとして、やま……姫が付けてないことに気付いて」

「気付いたの?」

「……ちょっと見えた」

「……この人、おっぱいを見た途端、鼻血吹いて倒れたんです」

「有罪!」

「だって、仕方ないじゃ…」


 ブスリ。


「なんでソレ、あんたも持ってんの……」


 ドサリと音を立ててシズカが床に落ちた。


「あ、つい」

 普通の人間、ケンタウリ人もシリウス人も含む人類だったら本当にどうにかなっちゃうほどの麻痺毒だ。「つい」でやられては困る。

 店内は大騒ぎ。まるで出されたお菓子が原因で倒れたかのように見える。


「どうしよう……」


 噂通りの超即効性に、ブッ刺した本人もびっくり。


「刺されても五秒は動けるのか……改良の余地あり。いや、あまり強くしても耐性を獲得するだけか……?」


 製作者は不満らしいが。


「ま、今回ばかりはシズカさんのせいだけとはいえないか……」


 スコップはポーチからアンプルを一つ取り出した。


「ミップル、息止めて、十秒」


 アンプルから緑色の煙が出てくる。それはすぐに店内の空気に溶け込んで見えなくなってしまった。


「なんれす?それ」

「ん?都合のいい薬だよ。さあ皆を元みたいに座らせよう」



 スコップはシズカを荒縄で縛った。家まで引きずって帰るつもりだ。


「ミップル。私は数日前の記憶なら……映像記録として取り出すことが出来る!」

「先輩?」

「後で家においで」


 スコップはプラモデルを買ってもらった少年のような、良い笑顔をしていた。


「シズカさんが何を見たのか、確認しないと不味いだろう?」


 そしてシズカを店の外まで引きずっていくと、姿が見えなくなった。

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