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第34話 シズカ、エターナルキズナシャワー

「ニャァァァァァァ~!」


 シズカは飛び起きた。


「転換炉!」


 謎の言葉とともに。


「あ、シズカ」


 昏睡から目を覚ましたシズカ。その大人しくはない目覚めの声に気付き、山田が枕元に駆け寄ってきた。


「山田~。……あ!違う!ごめんなさい近づいたらダメなんだ!でももうしないから、許して~転換炉はイヤだよ~」


 イヤイヤするシズカさんはちょっと可愛い。


「シズカどうしたの?……スコップ先輩、シズカ起きました」

「一日もたなかったか、薬への耐性獲得速度が尋常じゃないな。本当に人類か?」


 ヤオハチがシズカにブッ刺した注射器には、おなじみの対シズカ毒が入っていたのである。

 スコップの予想では朝まで目が覚めないはずだったのだが、今日の昼前にブッ刺されて今は夕方。ちょっと長い昼寝程度で覚醒してしまった。

 どこまで毒、もとい薬を強くできるのか、すごく興味が沸いてくるスコップだ。


「シズカさん、落ち着いて。ほら、姫は怒っていないよ。君が怯えるようなことは何も起こっていない」

「ホンマに?夢やったん?」

「ホンマホンマ。スリスリはしてたけど、ペロペロはしてないから、ギリギリ事案じゃないよ」

「……転換炉しない?」

「転換炉が何かわからないけど、しないよ。君は怪我をして寝ていた。お腹がすいたので美保のところでご飯をもらって、また寝て起きた。それだけ」


 シズカのしたことは、合意であろうがなかろうが、絶対ダメ。しかし当時のシズカには判断能力がなかったとされ、被害者である山田が許したため、処分保留中だ。

 ちなみに転換炉とはシズカの時代のテクノロジーで、物質をエネルギーの状態に変換する装置だ。銀河規模の犯罪者は生きながら転換炉に入れられるという残酷な刑罰があるのだ、まあフィクションの産物だが。


「でも、お姉ちゃんのにおいがしたし」

「シズカ、お姉さんいたの?」

「うん、すっごい可愛いんだけど、怒ったらトテモコワイ……。本当にいなかった?私連れて帰られなかった?私二人目じゃないよね?」


 あのハンサムさん、じつは可愛いんだ。スコップはちょっと萌えた。

 シズカの姉のミツルは今も洞窟に潜んでおり、シズカを送還したりはしていない。彼女は時空監察官監査官などではなく、普通のOLだ。


「大丈夫だよ。さあ、動けるんならシャワーでもしておいで。ご飯にしよう」

「うん……」

「どうした?どこか痛むかい?」

「ちょっと、付いて来てくれないかな。怖くて……」


 そうだった。この辺りが原因で暴走したのだった。

 


「スコップ~そこにいる?」

「いるよ」


 浴室のドアの前にスコップは座り込んでいる。ちょくちょくスコップの所在を確認するシズカ。

 周りに誰かが見ていれば、怖い何かは現れないはずだ。


「スコップ~何か歌っててよ~」

「シズカが、ここまでお化け嫌いだったとは」

「ねぇ、スコップ、いる?」

「いるから、さっさと終われ!」


 シズカハウスの夏の定番。ヒヤムギ。市販のストレートつゆでいただく。


「ミホのところのお素麺美味しかったな~。私もアレンジしてみよう」

「止めな!」

「料理素人のアレンジなんて毒にしかならない……」


 過去最高の真剣さで制止するのは山田だ。ちょっとワイルドが入るくらい何かあったのだろう。

 別にシズカも本気でやりたいわけではなかったので、黙って座り食事を再開する。


「そーだった。私、仕送りが来なくなってたのだったわ」


 無理して起きたのにご飯がなくて、狩りをしていたのだ。ちなみに野鳥は捕獲してはいけません。


「仕送りなの?」

「ん~補給?とにかく9月に入ったら届くはずだったのに、夏休みが何回もあるから9月にならないから物資が届かないの」

「夏休みは何回もあるけど、9月は9月よ?」

「そうそう。そんなことになってたら、この町に永遠に9月ないよ」


 ではどうして届かないのか。


「どこに届くの?物資って」

「あの奥の部屋」


 工作室の横はまだ誰も立ち入ったことはなかった。


「見に行っていい?」

「散らかってるから、あんまり見せたくはないんだけどな」


 新たなエリア「転送室」が解放された。


 薄暗い部屋の真ん中には、円形のステージがあった。そう、転送室の転送機だ。

 珍しい未来の機械を見て、山田はちょっとワクワクしている。


「あ、これが電源……」


 おなじみの電源マークは34世紀の異星でも使用されていた。


「シズカ、もしかしてだけど」


 何か、多分、スイッチ入れたら光る感じ。


「この機械電源入っていないんじゃ?」


 シズカは何も言わず、何もなかったかのように、スイッチを入れた。ブーンと微かに機械がうなり始める。 


「時空を超える機械が100Vで動くんだ。未来ってすごい」

「この機械が時空を超えているわけじゃなくてね、超空間への入り口を開くだけの機械で、超空間を維持している機械は本部にあってね……」

「あ、何か出てくる」

「箱か」

「あ、みんな手伝って!超空間が開いてるうちに、前回の梱包材を放り込むの、穴に!」

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