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第31話 町内会役員集会

 海辺町の公民館。

 入ってすぐの大広間、そのさらに奥では毎月、自治会役員達による集会が行われている。毎月第一週の金曜日、夜8時からだ。普通のサラリーマンであれば、翌日に休日出勤とかあればちょっとキツい。しかし今期の役員は皆、自営業だったり?尚更キツいんじゃないだろうか?


「全ての議題はとりあえず終わったかな」

「そうですね」


 会長が問い掛けると副会長が肯定する。

 それを合図に、集まっていた各班の班長達が解散していく。民生委員が微動だにしない主要役員五名を胡乱な目で見つつも立ち去った後、真の集会が始まる。

 黒猫五傑(こくびょうごけつ)。町の住人達からはそう呼ばれている。


「いきなりの召集とは、おだやかではないな「仁」よ」


 薄い紫のパーマがな魅力のふくよかな女性が、緑ジャージに腹巻きの痩身な初老の男性、町内会長だ、を詰問する。しかしその声には非難の色はない。


「そう言うな、「信」よ。マミちゃんからの緊急タレコミだ。動かざるを得まいて」

「お主は昔からマミには弱いな」

「まとこじゃ」


「礼」「知」が笑う。

 痩身の初老の……どちらかがどちらかだ。歯が無い方が「知」に決めた。


「しかし、この事が真であれば「義」よ、我ら黒猫五傑の顔に泥を塗る行為ぞ……?」


 自治会の集会の時はあれほど精力的に発言していた「義」は黒猫五傑がはじまると俯き黙ったままだ。


「我等が愛し子が、飢えて野鳥まで狩ろうとしていたところを、「料亭みほ」のマミちゃんが保護して、大事には至らなかったと言うが、真か?「山田旅館」のさち子よ!」

「なんと!」

「愛し子の監視はそなたの娘の役ではなかったか!」

「答えよ!」


 ノリノリの老人達。


「……起きたことは事実っ!しかし、娘の情報ではあと2日、愛し子殿は動けなかったはず……!」

「「義」よ。いかな愛し子とはいえ、4日も飲まず食わずではそりゃ起き出すぞ」

「……確かに!」


「義」は愕然とした。


「その間一度も見舞いに行かなかったのか!」

「愛し子の寵愛を一身に受けておきながら!」

「色ボケ娘が!」

「ご一同、そう興奮なされるな。死ぬぞ?」


 「知」とかは胸を押さえて苦しそうだ。


「そなたの娘にはしかるべき罰を与えるが、そなたにも相応の責任をとってもらわねばならぬ……分かるな「義」よ」


 「仁」も本意ではないのだろう。無敵だと強くなれない!優しいだけじゃ越えられない。


「相変わらず美人には弱いわね~?で、さっちゃんどうするのさ?」


 口調はフレンドリーだが「信」の視線は厳しい。

 

「……夏祭りの協賛企業筆頭?だったかしら、八月の罰は」


 さち子は苦しげに自治会規約第一〇九条付表一の条項を思い出し口にする。

 協賛の筆頭は、祭り費用の五パーセントを出資する取り決めだ。旅館は長い間休業中。家計は切迫していないが、常に微妙なバランスで賄っているだけ。協賛金は痛すぎる出費だ。

 しかし、祭りが盛況であればリターンは大きい。

 

「そうだな。でも、奇数年の二回目だからな。アイツが出るかも知れねぇ」

「そうね気をつけなよ、この前は出なかったからね「無貌(むぼう)の少女」」

「うわぁ、そうだよね~出るよね」


 だいたい、ゆうきが職務を全うしないからみんなから責められるのだ。少し早いが、娘には頑張ってもらわねばならないだろう。


「それは、ゆうきにやらせるよ」

「それもそうだ、そのための「姫」なのだから……」

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