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動き出した時計

電車で二駅分乗って、私は家に帰る。

玄関の時計は、22時30分を指していた。


私は樹と交わした新たな約束のため、

テーブルに真っすぐ向かう。

ライブに出かける直前まで

原稿と格闘していたから、

ノートは開いた状態で置いていた。


すぐにその場面を写真におさめ、

樹にメッセージを送る。


『久しぶりだから腕も落ちてる気がするけど、

やっぱり樹には読んでほしいな』


するとすぐに樹から返信が来た。


『ありがとう。ゆっくり読ませてもらうね。

今日は咲もゆっくり休んで』


私は樹からのメッセージを確認して、

テーブルの上を片付ける。

もらった万年筆を机に飾り、写真を撮って、

再び樹に送信する。


『プレゼント、ありがとう!大事に使うね』


私は疲れを癒すべく、

樹の楽曲を流しながら入浴した。


今日は土曜日だ。

明日はまだ休みだから、

もう少し夜更かししても大丈夫だろう。

そう思いながら、湯船に浸った。

日付が変わり、29歳の1年が始まった。


寝る支度を一通り済ませて、

樹からのメッセージを確認する。


『咲はやっぱりすごいな。この物語もすごく好きだ』


樹からのメッセージには、あの部分が良いとか、

色々な感想が書かれていたけれど、

その一言だけで、私は自信を取り戻せた気がした。


『ありがとう。執筆、もう少し頑張ってみる。

今度はサイトで公開もしてみようかなって』


樹もまだ起きていたようで、すぐに返信が返ってくる。


『うん。楽しみ。咲のワードセンスすごく好きだから』


『私も樹の曲、好きだよ』


あの頃を思い出す。

またそんなやり取りができるようになったのだと

嬉しくなって、私は祝い酒を開けた。

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