生徒会の革命(1)鶴屋反乱、生徒会長失脚編
「新生徒会になったので、なにか全校でイベントをしましょう」
と副会長の佐々木が言い出した。生徒会長の藤永もうんうん言っている。こいつらの中では確定事項なのであろう。
いらんことは、しなくてよろしいと思うのだが。
「賛成」
「異議なし」
というのは2年生集団だけじゃねえか。1年生集団はなんもいってねーぞ。
「みんなが楽しめるものにしたい」なんてほざいてたが、ここで言うみんなは、こいつらが見えてる範囲のみんなだ。すべからく全員というものではない。こういうのを聞くと虫唾が走る。一般生徒による一般生徒のお祭りである。
「何か案は無いか?」
あるわけない。
「おい、一年生たち、なにか案は?」
偉そうに。
「人に意見聞く前に、自分たちは案出さないんですか?」
と俺は言ってやった。
「綱引きはどうか」
俺は馬鹿にして大爆笑してやったら、律と浅葱から全力で足を踏まれた。
「いやあ~手厳しいねぇ」
「ドッジボール バスケットボール バレーボール サッカー 競技かるた 2倍精神衰弱 騎馬戦 弓道 クラス対抗リレー 麻雀 ポーカー」
こんなもんですかね、と副会長の佐々木は言った。
どれもあまりやりたくないな。もうやったことあるだろ。
新生徒会発足のイベントなのに、既成のイベントをしてはあまり意味がない気がする。
新生徒会が今まででの踏襲でよしとするのか?まあそこまで考えついてないんだろうね。
何の案も言わない1年生集団をしり目に、2年生が何がいいあれがいいとをしていた。だが俺は傍観者だ。
「なんとか言いなさいよ」
と浅葱が言うので
「ふ〜ん」
と誤魔化していた。
「いっそのこと誰も楽しめない競技にすればいいのになあ。そうすればと本当の意味での平等ができます」
と律が言うと、
「それだ!北高美術科による表現の自由展をしよう!生徒会長!これどうすか!!!」
と言い!浅葱が机をバンバン叩きつけた。
「それいいですねえ」
会計の鶴屋さんが反応した。存在感が薄いから忘れるところだったよ。
「そんなこといわれてもねえ」
「聞いたことがない展なんだけど」
「普通科より偏差値が低い美術科上がりが何を言う」
「意味不明」
「楽しくない、下らない」
「アホ」
「バカ」
「誰も楽しくないイベントをする意義なんかない」
2年生軍は猛反対。
「イベントが楽しいと誰が決めたんですか?じゃあ卒業式が楽しいんですか?」
と律が言うと、
「それとこれは別問題だ、馬鹿」
「馬鹿馬鹿うるさい、馬鹿って言ったほうが論破されているんですよ」
と鶴屋さんは言う。
まあそれは正しい一面もあると思いますよ。
「多数決とるったって同数だからな、1年2年」
虚空の空へ、表現の自由展は散ってしまうのか。誰にも、この場で押し切る策はない。
が、ここで思いがけないことが起きる
「生徒会長の秘密を知ってます。これと交換で表現の自由展をやりましょう。とりあえず、誰もいない場所に行きませんか?」
なんと、鶴屋がこう切り出した
「は?」
「秘密?誰もいない場所?言うに事欠いて頭がイカれたのかなあ?」
「その虚勢ももうじき崩れますよ」
「なんのことだよ、言ってみろよ」
「別室でね」
「こんなゆすりには屈しない」
「あくまでベースが事実ですからね。一緒に別室まで来ていただけませんか?」
「秘密なんて別にないよ」
「一緒に別室まで来ていただけないでしょうか?」
「行かない」
「じゃあこここで言っても構いませんか?」
「言ってみろよ」
「本当に、いいですか?」
「早くしろ。お前のメッキが剥がれる前にな」
「3回目です。いいですね」
「しつこい」
「時雨沢……」
と言ったところで、鶴屋は一旦言葉を切った。しかし、生徒会長の顔を見ると、青白くなっていた。
「をアンタはもてあそんで自○させた」
その場の7人の心の中は、「えっ???????」に支配されていた。7人全員の視線をまともに見れず、生徒会長は机にガックリうなだれていた。鶴屋の告発が正しいかどうかは、生徒会長の態度が如実に知らしめていた。
「ここにいつ人にも、口止めをしといたほうがいいんじゃないですかね。あなた、後2年間の学校生活で地獄見るよ」
「みんな、これは、違うんだ」
「生徒会長の態度に、ウソかウソでないかは出てましたね。この場の7人も見てしまいましたね。7人を代表して聞きますが、これは真実なのですか?」
と俺は聞いたが答えない、まるで無視をしているかのようだ。それが気に食わなくて、生徒会長が座っている机を思いっきり蹴った。うなだれていた机を思いっきり蹴られて、上半身が跳ねた。
「私の、犯した間違いだった」
と言質を取った。
「鶴屋さん、聞きましたか?」
「はい」
「鶴屋さんにご提案があります。これだけの秘密、表現の自由展だけで終わらせたら、もったいないですよ。時雨沢というお方が、鶴屋さんと非常に近しい仲であったと推測するんですが、こいつの生徒会長としての権限を奪って、こいつにはお飾りの生徒会長になってもらいましょう。書類上の生徒会長は藤永ですが、実質的権利は鶴屋さんが持ったらどうですか?そっちのほうが面白いと思うんですが?」
「いい案ですね。採用します」
結局1年生が生徒会を掌握したことになってしまった。あとはしーらね。