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妻と息子を亡くした男と息子の嫁

お義父さん、お茶ができましたよ。

いえいえ、謝らないで下さい。私が好きでしていることですから。


……息子の嫁に甲斐甲斐しく世話を焼かれるのは何だかむず痒い?

もう!お義父さん!いつも言っているでは有りませんか!

私とお義父さんはれっきとした「家族」なんですから!

そんなことは気にしなくてもいいんです

───そう、そうですよお義父さん。

お義父さんはただ美味しいそうにお茶を飲んでいればいいんです

私はその方が嬉しいですよ




お義父さん!急に外に行くなんてどうしたんですか?!

……息子と妻の墓参りに行く?

駄目ですよ!腰が悪いのにそんなことしたら更に悪化しちゃいますよ!

まだまだ元気だから大丈夫?何言ってるんですか!もう五十代なんですよ!無理なんてしたら身体があっという間にボロボロになりますよ!

もしお墓が気になるようでしたら代わりに私が行きますから!

納骨してから一度もお参りしていなくて、もどかしい気持ちは分かりますけど、それでお身体を悪くしたらお義母さんも夫も悲しみますよ


……今日は妻との結婚記念日だからどうしても行きたい?


(以下二行、男に聞こえないように小声で)

あの女っ!やっといなくなったと思ったのに……

邪魔しやがって……!


……駄目です。絶対に許しません

顔が怖い? 当たり前でしょう 結婚記念日が大事なのかもしれませんが、私にとっては今生きているお義父さんの方が大事ですから。

……私には亡くなったお義母さんと夫が大事に思っているお義父さんを守る義務があるんです

……ようやく分かってくれましたか

今から私がお墓参りにいってきますからお義父さんは家にいてくださいね!

今、はいって言いましたね!約束ですからね!


それじゃあ行ってきま……えっ?この和菓子を墓の前に供えて欲しい、妻の好物だったから?


……分かりました。お義父さんの代わりにお供えしておきますね







お義父さん、もう一度言っていただけませんか?

……再婚相手を探したらどうだ?

何を言っているですか。こんなおばさんを貰ってくれる人なんていませんよ

……君はまだ若いじゃないか?それに綺麗なんだから貰い手なんていくらでもいる?

───お義父さんは私のことが邪魔なのですか?血の繋がっていない娘が家にいるのは苦痛なのですか……?

嫌じゃない?なら何故!

こんなにできた娘を枯れた男のもとで縛り付けていては申し訳ない?

───お義父さんっ!私、怒ってますよっ!!

私は好きでこの家に留まっているんです!

決して同情や夫への義理でお義父さんのところにいるわけじゃないんですっ!

だからそんなこと言わないで下さい……

そんな悲しいこと思わないで下さい……


……今回は特別に許してあげます。ええ、私とお義父さんは「家族」ですから。だから……







私のことを捨てないでくださいね……









やっと見つけましたよ、お義父さん……!

まさかとは思いましたが、本当に墓地にいるなんて……

駄目じゃないですか。私のことを一人にするなんて

……大体、何ですかこの置き手紙はっ!

今までありがとう。そしてごめんなさい。私は妻のもとへ旅立ちます?

ふざけないでくださいっ!!

なんでっ!なんであの女なんですかっ!!

私ではあの女の代わりにはならないんですかっ!!

……好きでもない男と結婚して、やっとあなたと一緒に暮らすことができると思ったのに!

あなたの心はまだあのアバズレに囚われたまま!

くそっ! くそっ!! お前さえいなければ!私はっ!!


……妻の墓に乱暴をするのは止めろ?

アハハハッ! あなたっていう人は本当にっ!

私もあの女と同じ、あなたの「家族」なのに!



……もういいです。少しだけ痛くしますね、お義父さん




バチッ


































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