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廃墟の

作者: 神名代洸

使わなくなると荒れる。

それは知ってる。

分かってる。

閉店した店の駐車場がそうだから。



荒れたコンクリート。

隙間から生える雑草。


ポツリと【売り地】と書かれた看板が立っている。



ここは人通りが多い交差点の角にあった店の跡。

中華料理屋だった。

ただいつ通っても駐車場はガラガラだった。

目玉になるものがなかったのかはたまた味がイマイチだったのかは入ったことはないからわからない。

ただよく使う道だった為、目にはしていた程度。


看板は外されてはいるが建物は立ったまま残されている。

夜にはあたりは暗く、交差点の所と立地はいいはずなのだが真っ暗だった。

昼間は通ることはあるが、夜はほとんど来ない街の為さほど気にもしていなかったのだが、ある日たまたま夜に通ることになった時明かりがついていたので気になった。確かここは閉店してからだいぶ立っていたはず。他の人が買いにでもきたのかとも思ったが,何しろ夜の7時。物件を見にくる時間でもあるまい。不思議だと思った。でもそこに車を止める勇気はない。何故か嫌な予感がしたのだ。


少し離れた場所に車を止めて店の様子を伺う。

時間が遅いからそんなに待ってはいられないが、ちょこっとならとハンドルに顎を乗せて見ていた。


すーっと人が出てきたようだ。

気付かなかった。

まあ、そこそこ離れてはいるから音は聞こえないか。

その時背後が急に寒くなった。

気のせいだと気を持っていき車のエンジンをかける。

スタートした後も後ろがどうも気になって仕方がなかった。

しかし遅い時間の為これ以上はここにいられないとそのまま車を走らせた。しかしどうも気になるのでミラー越しに後ろを見るとガラスが汚れていた。

手の跡のようだ。

なんで?

ここには人はいないし、その手のは聞いたことないからまさか出るなんて思いもしなかった。

精神疾患を患っている為そのせいかもと思ったが、あり得ないものが見えてることに恐怖しかなかった。

後ろから振り返って前を見た時ボンネットに山姥のような女が張り付いてるのを見て恐怖しかなく、このまま車に乗っていられないと車から降りると車の異常は無くなっていた。

何だったんだと不思議に思ったが怖いのを何とか気持ちを抑え込み車に乗り込んだ。


ガタガタと震える手をなんとか落ち着かせようと片方の手でぐっと握る。それでも多少の震えは残っていた。


「な、何なんだよ。一体何があったんだ?怖いじゃんか。やっば。一人で来なきゃよかったよ。」


ここから自宅へは片道30分はかかる。

所々民家はあるが明かりがついていない建物もあるため不気味さが消えてくれない。

ラジオでもかけて気分転換をしようとしたのだが、聞こえるのは砂嵐だけ。おかしい…。今は何か番組がやってる時間のはず。終わるなんてありえない。

何度かボタンを押してチャンネルをかけると[わぁ〜〜〜。]と不気味な声が聞こえてきたので、怖くて即切った。

そうこうしているうちに自宅まであと10分となったので、こうなったら自分で歌を歌おうと知ってる曲を片っぱしから口ずさむ。


そしてようやく無事に自宅に帰ってきたとき後ろのガラスを見ると手形があちこち張り付いていた。

怖くてその日は洗車にも行けなかったのだが、翌日になると手形は一つ残らず消えていた。

一体なんだったんだ?

分からない。


明るくなるのを待って即洗車に行った。

とにかく残ってたら怖いから消したかったのだ。

だが、その道は病院への通院で必ず使う道。

なるべく見ないようにしている。


今日もその道を使って病院へ…。




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