表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/41

第2章④願い、叶えました

「え?あるの?願い!」

小さい子供のようにわかりやすく喜んだ。

「ああ、あるとも。そのかわり、難しい願いだぞ」

「大丈夫大丈夫、どんな願いだって叶えてあげるから」

大阪のオバチャンみたいに人懐っこく手で叩いてきた。

「じゃあ、願い事を言うな」

「オーケーオーケー。バッチこい」

そんな野球人みたいな悪魔に魔球を投げることにした。

「僕を満足させてくれ」

「……はい?」

しめしめ、癖を見ぬたと思ったら違うボールが来たみたいな困惑をしている。

「だから、僕を満足させてくれ。退屈なんだ。面白いゲームでもすごい人との出会いでも未知なるものの発見でもなんでもいいんだ」

「……ええっと」

おいおいどうした悪魔さん。今まで僕を困らせたバツが当たったんだよ。困って顔が赤くなっているよ?

「どうした、できないのか?だったら契約は無理だ」

「その、じゃあ」

「ん?」

「私の体で」

「それは要らないです」

「なんでー!」

彼女は狼の遠吠えのごとく叫んだ。

「いや、君、人じゃないじゃん」

「……!」

風呂を覗かれたみたいに顔を真っ赤にしているが、こっちも顔が赤くなった。まさか、この悪魔からそんな言葉が出てくるなんて驚いた。

 でも冷静に上から下まで舐め回すように見たら、顔は悪くないしスタイルも悪くない。人間だったら断らなかったかもしれない。

……

「いや、まあ、人じゃないから」

変な空気になったから話題を変えようと思ったが、言葉が思いつかなかったので、録音機能のように同じことを繰り返した。こんなことなら、こんな願いを言うんじゃなかった。

「――じゃあ、あたしが人間になったらいいんですね」

「――はい?」

「だから、あたしが人間になったらいいんですね?」

いやいやいや。あれ?へんな流れになっている?

「いやー、それはやめたほうがいいんじゃないかなー。だって、悪魔を辞めるって大変なことだと思うよ」

「でも、そうすれば願いが叶うんですよね?」

いやいやいや。ちょっと待て。べつにそれで僕の願いが叶うわけではないと思うのだが。

「あのね。ちょっと落ち着こう?ね?」

「じゃあ、人間になります」

あっ、ちょっ、お前、待て!

あっ、こいつの体がオーロラのように輝き始めたぞ、いかにも魔法かけてますみたいな雰囲気で!

あっ、ちょっ、……えぇ。


「……人間になりました」

僕は1人の女性と出会った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ