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初めに+第1章①憂鬱な大学生活

〇初めに


 僕はあの光景を見ていた。

 昔出会った女の子との光景を。

 あの薄くなっていく光景を。

 それはどこかの公園みたいなところだった?滑り台……かな?ブランコ……かな?シーソー……かな?

 僕はその女の子と遊んでいたの……かな?

 普通、そういう思い出の光景ははっきりと覚えているものだと思っていたが、そんなことはなかった。その女の子の顔もその日の天気もその時の僕の気持ちも何もかも光景の中に置いていった。

 覚えていることは、兎年であるその年のその月の3ヶ月後には世界が滅びると、ノストラダムスが大予言していたことだけである。



 ――ちょうど12年後――


「うへ?」

僕の視界には空が広がっていた。それは一般的に言うと青空というものであり、心が晴れやかになるものだった。

しかし、僕の心は全く晴れることがなく、憂鬱な気分の中、大学の芝生の上で寝そべっていた。

僕は口の周りのヨダレを袖で吹きながら、どうしてここで寝ていたのかを思い返した。

(そうだ、気分が晴れないから、気分転換に出たんだ!)

一般的にモノゴトが行き詰まった時には気晴らしで散歩するのが良いと聞いていたので、それが正しいのかを実験してみた。その結果、意味がないという結論に達した。相変わらずムカムカするだけであり、むしろそのムカムカが日光の暑さで増長している気がする。しかし、意味がないということがわかっただけでも進歩である。失敗は成功の元である、とは誰かが言っていたものである。まあ、その理論が正しいのかは未だに実証しきれていないのだが……アインシュタインさん、ごめんなさい……エジソンだっけ?……まぁいいや。

 緑の芝生を中心に西洋風の教会のような講堂が並ぶ大学なのだが、はっきり言って行く大学を間違えた。それは挨拶がなっていない店くらい、入ってすぐに気づいたことだ。しかし、そのまま底なし沼にハマるようにズルズル続いて、いまや立派な大学2回生になっていた。

 僕は大学は学問をするところだと思ってきた。そのために椅子にボンドを垂れ流ししたくらい座り続けて勉強していた。その結果得たものは、車の免許を取得するための視力検査にコンタクトレンズをつけてギリギリ合格するくらいの視力の悪さくらいであった。そういうデメリットを得て獲得したものが、憂鬱な大学生活だった。


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