ホームセンター
前話は増減しませんでした。
あのGMがやらかしてくれたお陰で、道めっちゃ混んでるやん。
まあチャリやから関係ないんやけど。
車一歩も動いてへんで?
ここ、こんな混むとこやないんやけどなぁ。
まあ俺はチャリやし関係ないから、ほなさいなら。
チャリンコで走ること約十五分。
でっかいホームセンターに着いた。
おお、居るわ居るわ。
GMに唆されたオタク連中が。
俺もそうやけど。
君ら滅多に見ぃひんけど、どこに居るん?
「いらっしゃいませー」
「あ、すいません。初めてでもできるDIYキットって無いですかね?」
「ちょっと待ってくださいねー」
慌しくない店員のあんちゃんに声かけて付いて行く。
俺が考えたのは、突如バールとかを買うよりこう言った方がまだあり得るシチュエーションやと思ったからや。
こう言っておけば、GMの言うことが嘘でも後から自分でも使えるしな。
「こちらですー」
「ああ、ありがとうございますー」
「いえいえー」
語尾うつったやん。
さて、と。
何があるん?
バール、ペンチ、スパナ……色々置いてんなー。
流石大型ホームセンター。
おとんに貰った一万円と自分の貯金から下ろした二万円で買えるだけ買っていく。
無難にトンカチとかでええやろ。
あとは、あれやあれ。
釘とホッチキスの芯飛ばすやつ。
えげつない覚え方してるけど、そこは気にせんといてな。
買いもん籠パンパンになってきたけど、大分余るなぁ。
お金。
うーん、ちょっと散財するか。
どーせおとんからの一万円札まだあるし。
使わな怪しまれるやろ。
勝手にそう思っとこ。
あ、ここって包丁も売ってんの?
ほな工具よりこっちのがええやん。
今更返すのもめんどくさいし、このまま籠に入れてまえ。
お?電話?
おとんから?
『ああ、薫?まだかかる?』
「もうちょっとかかるで?どしたん?」
『ちょっと塩買ってきてくれへん?あと卵も』
「帰りでええの?」
『そのホームセンターで売ってるやろ?それでええから。ほな頼んだで』
「あ、ちょっ」
切れてもーた。
言うだけ言うて切りよったぞ。
あのおとん。
塩、塩、塩。
塩?
どこにあんねん。
塩どこー!
卵は無いやろ流石に。
うそん、卵あったわ。
逆に塩ないんやけど。
「すいません、塩ってあります?」
「塩ですか……塩、塩。ちょっと待ってくださいねー。先輩、塩ってありますー?」
その反応分かるわー。
そうなるて……。
誰がホームセンターで卵と塩買うねん。
スーパー行けや。
おとん!スーパーに戻れやぁ!
「お客さん、ありましたよー」
「ああ、ありがとーございますー」
あったわ。
なんか業務用レベルの袋に入った塩が。
むっちゃ安いけど俺、チャリやねんなぁ。
しゃーないか、えっちらおっちら帰りまっさ。
オタク連中と一緒に籠持って並ぶ。
俺、工具買いに来たはずやねんけど、籠の中身八割方キッチン用具なんやが。
おっかしいなー。
こんなはずやなかったんやけどなー。
まあ頑張って塩は手に持って、他はチャリの籠ん中入れて帰りますよ。
おとんにもうちょっとお小遣い請求したろ。
割に合わんわ。
この大きさはー。
いった!!
なんか踏んだんやけど!!
家帰って即これかいな。
チャリ置いて、荷物持って往復してたらこれやで。
ツイてへんわーこの頃……。
ん?なんやコレ?
ビー玉?
俺こんなとこにビー玉転がした覚えないんやけど。
「ああおかえり、買ってきたか。塩と卵は?」
「ただいま、そこや」
「そこ?え、でっか!!多っ。なんぼしたん?」
「はいレシート。これ見て」
「こんな要らんてー」
「ほな自分で行きーや」
「まあええわ」
ええんかい。
「また色んなモン買ってきたな」
「そうや、おとん。ここにビー玉?落ちててんけど、なんか知らん?」
「知らん」
「そっか」
「どこにあったん?家?」
「家、玄関口。足の裏えぐれるかと思った」
「踏んだんかいな。なんか塗っとくか?」
「ええよ、別にそんな大層なケガしてへんし」
「まあ手ぇ洗っといで。お昼ご飯出来てるさかい」
「うぃ」
なんなんやこのビー玉。
ポケットにでも入れとくか。