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50.素の私とは
「これでは足りないか。貴方はどうしたら私だけではなく他の者達に気を許すのか」
普通なら異性のイケメンの膝にのりお互いの呼吸までわかる距離でいちゃいちゃ場面だろうな。
だけど、私は、私達は。
「気づいていたんですね」
返事はないけど聞こえないなんてありえない距離だ。
「ふっ、ばっかみたい」
つい笑いがでた。
「ヒイラギ」
「気なんて緩んだらどうなるの? 陰口になっていない悪口や嫌みは分りやすいから楽だよ」
怖いのは。
「笑顔で、優しくされて。中身はどうなのかな?」
見えないモノのが一番怖い。
「誰が貴方に何を言った?」
触れあっていたおでこは離れ両手首を掴まれ、私を見ろと揺すられた。
「答えろ」
真剣な刺されそうな顔。
「何も」
掴まれた手首が痛みを訴えるけど感じないと無視をする。
「本当に何もない」
「なら何故」
何故って言われても。
「言ってしまえば、私が、信じられないだけ」
そう。
それしかない。
「そうだな。例えば、陛下が私を処分するようフランネルさんに命じたらどうする?」
私、こんな意地悪な奴だったんだなぁ。