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ラクがしたい冒険者~誰か俺を養って~  作者: あさまえいじ
第一章
3/50

第2話 

続きました。

よろしくお願いします。

さぁ今日も未来への投資を行うとしよう。

昨日、冒険者になって寄付金を渡すことができた。これで今後近づいても問題ないだろう。

俺の計画は着実に進んでいる。


さて、今日もクエストをクリアして、孤児院に寄付金を渡しに行くぞ。


冒険者ギルドについて早々、ギルド長に呼ばれた。何でも、昨日は俺を疑ってしまったことを謝罪しているようだ。別にそんなことはどうでもいい。そんな暇があったら金を稼がなければいけない。時間は有限だ。


ギルド長の返事に適当に相づちを打って、部屋を退出して、受付に向かった。


side ギルド長マーキス


「いきなり来てもらってすまない。ギルド長のマーキスというものだ。」

「キッドだ、問題ない。」


いきなり呼び出したのに落ち着いている。悠然と構えている。体も大きいが器もでかいということだろう。だが、本当に顔が怖いな。オーガが泣いて逃げそうなほどだ。

いかんいかん、昨日エリー君に自分で言ったばかりではないか。人を顔で判断してはいかんな。彼は行動はとても紳士的だ。


「昨日はうちの者が迷惑をかけた。申し訳ない。」

「何のことだ?」

「うちの職員が君を疑ってしまった、ギルド職員として、無実の冒険者を疑うなどあってはいけないことだ。」

「別に気にしていない。話はそれだけか?」


本当に気にしていないようだ。私は気になることを聞いてみた。

「君はなぜ、孤児院に寄付をしているんだ。何か訳があるのか?」

「子供が育つには金がかかる。」

「それだけの理由で?」

「それだけだ。話はこれだけなら俺は行く。」


そうして、部屋を出て行った。

俺は彼出て行った後、腰を上げることができなかった。

俺は英雄と呼ばれる存在を見たことがある、知り合いにもいる。だが彼はそんな低俗な存在ではない。そんな、自分の利益のみを求めるような器の小さい人間ではない。

彼は聖人だ。見返りを求めず、弱気を助ける聖人だ。

俺にできることは少しでも彼を助けになることだ。何か困ったことがあれば、何をおいても助けたい。


side out


昨日の受付の子がやたらと謝ってきた。はて、昨日の対応に問題があったのだろうか?特に気にしていないが、むしろ、最初で何もわからないのにおすすめクエストを集めてもらって感謝しているほどだ。そのことを伝えたら、より謝りだした。どうしたらいいのだろうか?


一通りやりつくしたのか、スッキリした顔で仕事に打ち込みだした。え、困ってること?俺はモンスターを倒すのに苦労していると相談した。職員さん、エリーさんというらしい、は先輩冒険者がおれのコーチをしてくれるようだ。




side ギルド職員エリー


「昨日は大変申し訳ありませんでした!」

「昨日の対応に何か問題があったのか?」

「私は昨日のあなたを怖いと思いました。」

「別に気にしていないが?」


「それだけではありません。実入りの少ないクエストを紹介致しました。」

「おれはここでは何もわからない。クエストの受け方も。そんな俺にいくつものクエストを集めてもらって感謝している。」

「本当に申し訳ございません!」


私は本当に謝り通しだった。

何も知らない新人冒険者に他の冒険者が受けないクエストを受けさせた。何も知らないから、それが普通だと思って、私の言うことを信じて、私はギルド職員でありながら、彼を騙してしまった。いけない、彼をこれ以上困らせてはいけない。彼に信じてもらえるギルド職員に成らなくては。


「失態は職務で埋めさせていただきます。冒険者として何かお困りはありませんか?どんな些細なことでも構いません。私に挽回の機会をください。」

「そうだな、モンスター退治に苦労している。」

「モンスター退治ですね。それでしたら、先輩冒険者に指導を受けるというのはいかがでしょうか?経験は力です。」

「そうか。教えを請えるのならばありがたい。」

「わかりました。お任せください。」


side out 



コーチをしてくれるのが、上級冒険者のテオさんだ。テオさんは俺に非常に親切に指導してくれた。俺は今まで、殴ることしかしていなかったのに武器の使い方を教えてくれた。しかも、武器までくれた。本当にいい人だ。


side 上級冒険者テオ


「テオだ。よろしく。」

「キッドだ。今日はよろしく頼む。」


エリーさんがキッドの指導を頼んできた。俺は昨日の後ろめたさを感じていたので、引き受けることにした。


「ではまず、武器の確認だ。私は双剣を使う。キッドは何を使う?」

「私は素手だ。武器は持っていない。」

「素手か。それは良くないぞ。いいか、素手で戦えるということは長所だが、それだけ間合いが近いということだ。間合いが遠いほど先制攻撃ができる。最終的に近づいたときに素手に切り替えたほうがいい。」

「なるほど。確かにその通りだ。だが俺は先程言ったが、武器は持っていない。」

「ならこれを使ってみるといい。私の双剣だ。お古だが、手入れはしてあるから練習用としては問題ないだろう。」

「ありがたい。使わせてもらう。」

「ではまず、双剣の特性は手数だ。とにかく自分にとって振りやすい形を見つけるといい。」

「ああ。試させてもらおう。」


キッドは私から受けっとた双剣を振り出した。真上や斜めから振り下ろし、水平に払いなどいくつか試しだした。私は驚いた。慣れて少しずつ剣速が上がっていくにつれ、左右の手で複雑な軌道を描きながら、恐ろしい速さに加速していく。


「も、もうそのあたりでいいだろう。そろそろ実戦に移ろうか?」

「ああ。そうだな。動かし方は理解した。」

「では、モンスター退治に行こう。」


私とキッドは都市から出て、近場の草原に来ていた。

「あそこにウルフがいるだろう。あれを倒してみよう。」

「ああ。わかった。」

「では、まず私が手本見せよう。」


私はウルフに近づくと、ウルフが私を威嚇してきた。

その程度で怯むわけもなく、近づいていく。


”GRAAAA”


ウルフは私に襲い掛かってきたが、冷静に躱し、すれ違いざまに斬りつけた。


”GYAAA”


ウルフは断末魔を上げながら、倒れた。

私は倒したウルフの冒険者御用達のマジカルバッグに収納した。


「キッドもやってみよう。」

「ああ。わかった。」


キッドがウルフを探している。どうやら見つけたようだ。

キッドは速度を上げてウルフに近づいていく。おお、なかなか速いな。


キッドは攻撃してきたウルフを真正面から真っ二つにした。


「な、双剣で真っ二つにした。」

「少し違うな。あの時は横に躱して、斬りつけていたな。もう一回だ。」


そう言ってキッドはウルフを斬りかかり続けていた。

ウルフが逃げている。必死で、命がけで。

なんだか、ウルフがキングオーガから逃げているよう見えてきた。


「キッド。もうそのあたりいいだろ。」

「だが、俺はテオのように斬れていない。」

「いや、自分のやり方を見つければいい。私のやり方が正しいわけではない。あくまで参考にすればいいだけだ。」

「そうか。感謝する。」



私とキッドはギルドに帰ってきた。

「最後にモンスター退治を行った後には、ギルドでモンスターを引き渡す。退治したモンスターによってお金に換えてもらう。ここまでやってモンスター退治だ。」

「ああ、わかった。すまないが俺の分も引き取ってもらえるか。」


エリーさんがキッドからバッグを受け取った。

「はい。お預かりします。え、ウルフ討伐数162匹?え、こんなにですか。」

「ああ、全てキッドが退治したよ。」

「いえ、失礼しました。ウルフ1体で銅貨5枚となりますので、162匹で銀貨8枚と銅貨10枚となります。」

「わかった。感謝する。」


換金を終えて、解散となる前にキッドに

「キッド、1杯飲まないか。」

と誘った。しかし、キッドはそれを断った。

「俺にはいかなければいけない場所がある。」

「孤児院に寄付をしに行くのか?」

「そうだ。ああ、双剣を返さなければな。」

「いやいいよ。それはあげるよ。使ってくれ。」

「そうか。感謝する。」


私とキッドはそうして解散した。


side out



ありがとうございました。

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